2011年7月31日日曜日

FRB、米デフォルトの可能性に準備=地区連銀総裁

 [フィラデルフィア 20日 ロイター] 米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は20日、連邦債務上限引き上げが期限の8月2日までに合意されず米国がデフォルト(債務不履行)に陥った場合に備え、連邦準備理事会(FRB)が準備を進めていることを明らかにした。
 同総裁はロイターのインタビューで、FRBは数カ月前から財務省と緊密に連携し、8月2日に米国がデフォルトに陥った場合の措置について検討してきたと述べた。

 そのうえで「今は有事の対策モードに入っている」と語った。

情報BOX:米債務引き上げ協議、予想されるシナリオ

[ワシントン/ニューヨーク 19日 ロイター] 米連邦債務上限引き上げ問題は、デフォルト(債務不履行)回避に向けてぎりぎりの段階にきている。財務省によると上限に達するのは8月2日で、これに向けて予想されるシナリオは以下のとおり。  

 ◎4兆ドルの財政節減案  

 オバマ大統領と共和党のベイナー下院議長は先月、10年間で4兆ドルの財政節減案を協議した。3兆ドルの歳出削減と1兆ドルの歳入増で、富裕層へのブッシュ減税の廃止や税制の抜け穴を是正が含まれる。

 主要格付け会社は、4兆ドル規模の財政赤字削減策で合意できなければ、債務上限が引き上げられてもトリプルA格付けを格下げする可能性があるとしている。

 ただ、下院共和党の保守派議員は歳入増を盛り込んだ案は支持しない方針。  

 ◎超党派上院議員グループ案  

 19日には上院の超党派議員団が10年間で3兆7000億ドルの節減策を公表、オバマ大統領も支持の意向を表明した。年金や医療保険などの社会保障の改変で3兆ドル近くを捻出するほか、税制の抜け穴是正で1兆ドル近くの歳入増を狙う。

 下院共和党保守派の反対が予想されるが、4兆ドル節減案とは違い、増税は含まれていないため、可決される可能性がわずかに高まる。また格下げを回避するに十分とみられている。 

 ◎2.4兆ドルの節減案  

 債務上限引き上げと同等の節減を目指す案も協議され、オバマ政権は2012年11月の大統領選挙後までの歳出を保証するためには2兆4000億ドルの引き上げが必要と訴えていた。約1兆ドルの削減が協議されていたが、民主党は税控除廃止により4000億ドルの歳出増を目指していた。しかし下院共和党の歳入面での反対により頓挫していた。

 この案で合意すれば、格下げの可能性は残るが、市場の安定につながる可能性がある。 

 ◎予備案  

 上院共和党のマコネル院内総務が最初提示した案で、上限引き上げへの有力な案とみられており、オバマ大統領に2012年11月まで3段階にわたり2兆4000億ドルの上限引き上げを認める。この案では議会手続きの関係で、共和党は引き上げを投票する必要はない。

 8月2日が迫るにつれ、この案への支持は集まり、大統領も必要性を認めている。

 しかし歳出削減は1兆5000億ドルしか見込んでおらず、格付け会社が格下げ回避には不十分と判断する見通し。ムーディーズは19日、この案では長期的に債務を制御できないため、1年以内に格下げになる可能性があると指摘した。  

 ◎交渉決裂、デフォルトに  

 デフォルトが起これば市場は混乱し金利は上昇、信用力低下、ドル安につながるとみられる。またリセッション(景気後退)や格下げにもつながる。

2011年7月17日日曜日

米国債デフォルトの場合、世界的な金融危機の再来も

[ニューヨーク 8日 ロイター] 市場では米国のデフォルト(債務不履行)に対する懸念が広がっている。たとえ一時的であってもデフォルトを起こせば米国に対する信頼感が損なわれ、世界的な金融危機の再来を招きかねないためだ。
 市場関係者は、実際にデフォルトとなる可能性はゼロに等しいとみているが、米政府が8月2日までに連邦債務上限を14兆3000億ドルから引き上げることができなければ、米国債の利払いや元本の返済ができなくなる。

 米国債は世界の債券市場のベンチマークとなっているため、そうなれば全世界の国債のみならず、株式や他のリスク資産全体に売りが広がる可能性がある。

 米財務省は5月中旬に連邦債務が上限に達して以来、当面のやりくりでデフォルトを回避しているが、米議会では与野党の対立が続いており、予断を許さない情勢となっている。

 米国が万が一デフォルトに陥った場合に予想される影響を以下にまとめた。

 <米国債市場>

 米国債はパニック売りを浴び、利回りが急上昇する可能性がある。

 主要3格付け機関は、国債の元利返済ができなければ「テクニカルな」デフォルトとみなすとして、さらなる元利返済の遅れが生じた場合には米国の格付けを「AAA」から引き下げることを検討する考えを示した。
プルデンシャル・フィクスト・インカムの最高投資責任者、ロバート・ティップ氏は、一時的なデフォルトであっても、長期債利回りが現在の水準から0.4―0.5%上昇するとの見方を示した。

 <マネーマーケットファンド>

 一部のアナリストは、デフォルトを受けて米国債価格が下落した場合、投資家がマネーマーケットファンドから資金を引き出し、株価が1ドルを割り込む可能性があると懸念している。

 リーマン・ブラザーズが破たんした直後の2008年9月に、リザーブ・プライマリー・ファンドで同じことが起きた。その際、ファンドの動きは世界的に凍結状態となった。

 米連邦準備理事会(FRB)のデータによると、マネーマーケットファンドは2010年末時点で、短期債を中心に3350億ドルの米国債を保有している。

 <政府機関の閉鎖>

 米政府が新たな債券発行ができなくなれば、連邦政府機関が閉鎖される可能性がある。その結果、政府職員が自宅待機を強いられるほか、債権者や請負業者への支払いや支援金の支払いが不可能になる。前回政府機関が閉鎖されたのは1995年だった。

 債務が上限に到達する8月2日以降の支払い日程は次の通り。
*8月3日:社会保障を受けている5500万人の米国民に対する支払い(610億ドル)

 *8月4日:短期国債の満期(300億ドル)

 *8月11日:短期国債の満期(270億ドル)

 *8月15日:利付き国債の四半期ごとの利払い日(256億ドル)

 <外国中央銀行>

 米国の多額の債務に対する懸念から、中国人民銀行をはじめとする外国の中央銀行は米国債の購入ペースを落としている。

 アナリストは、デフォルトになれば外国中銀が米国債を売却するのではないかと懸念している。

 3月末時点で、外国人による米国債保有額は4兆4800億ドル。そのうち70%を外国の中央銀行が保有している。

米財務省のデータによると、2010年9月から2011年3月までの間、外国人による米国債購入額は1カ月を除いて毎月減少している。その一因は、ドル安に対する懸念から、外国中銀がドルに偏重したポートフォリオの分散を進めているためとみられている。

 中国による米国債保有額は3月末時点で1兆1000億ドルに達し、外国勢としては1位。2位は日本の9080億ドルだった。

 一方、FRBは国債買い入れプログラムの結果、保有額が1兆5000億ドルに達している。

 詳細は以下の通り:

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
(in billions of dollars)
HOLDINGS 1/ AT END OF PERIOD


New 5/ Old 5/
Series Series
Apr Mar Feb Jan Dec Nov Oct Sep Aug Jul Jun Jun May Apr
Country 2011 2011 2011 2011 2010 2010 2010 2010 2010 2010 2010 2010 2010 2010
------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------ ------

China, Mainland 1152.5 1144.9 1154.1 1154.7 1160.1 1164.1 1175.3 1151.9 1136.8 1115.1 1112.1 843.7 867.7 900.2
Japan 906.9 907.9 890.3 885.9 882.3 875.9 873.6 860.8 832.5 817.3 799.9 801.2 784.8 793.8
United Kingdom 2/ 333.0 325.2 295.5 277.9 271.6 242.5 209.0 190.5 181.0 107.2 94.5 363.6 350.7 321.1
Oil Exporters 3/ 221.5 222.3 218.8 215.5 211.9 204.3 207.8 215.4 211.7 209.3 210.2 216.3 228.6 232.9
Brazil 206.9 193.5 194.3 197.6 186.1 189.8 183.0 181.0 170.5 167.7 163.8 158.5 161.5 164.4
Taiwan 154.5 156.1 155.9 157.2 155.1 154.4 154.5 153.3 153.4 153.8 151.9 128.6 126.2 126.9
Carib Bnkng Ctrs 4/ 138.1 154.8 169.4 166.5 168.1 158.8 146.3 157.7 172.6 164.1 178.9 165.9 166.3 153.2
Russia 125.4 127.8 130.5 139.3 151.0 167.3 176.3 173.3 173.7 175.7 168.2 123.4 126.8 113.1
Hong Kong 122.4 122.1 124.6 128.1 134.2 134.9 135.2 131.9 133.9 131.2 137.0 141.0 145.7 151.8
Switzerland 112.4 111.6 110.4 107.6 107.0 107.0 107.7 110.0 113.0 111.8 106.5 100.1 84.4 80.0
Canada 87.7 93.3 92.9 86.5 76.7 76.7 66.1 56.5 44.9 43.0 35.9 93.7 84.8 81.9
Luxembourg 78.4 81.1 81.0 83.0 86.4 81.9 78.5 86.1 79.0 98.9 97.6 96.6 75.6 76.9
Germany 61.3 59.8 58.3 61.1 60.5 58.6 58.2 57.9 56.8 55.3 52.2 54.0 55.8 54.8
Thailand 60.7 57.1 57.6 56.5 52.0 52.2 52.7 50.4 47.3 40.8 35.7 49.3 46.3 46.9
Singapore 60.3 55.7 66.7 57.8 72.9 62.2 66.4 56.7 55.4 55.3 53.3 50.5 40.6 42.4
India 42.1 39.8 40.3 40.6 40.5 39.7 40.1 40.0 37.9 38.4 35.4 36.4 29.3 31.0
Ireland 40.2 44.0 42.0 44.4 45.8 50.0 48.9 51.5 49.5 51.1 55.7 48.3 48.0 45.7
Turkey 37.9 36.2 34.3 32.9 28.9 29.1 27.8 27.8 29.7 26.7 25.7 25.5 27.6 27.9
Belgium 31.6 32.2 32.0 32.1 33.2 33.4 33.4 33.8 51.9 34.3 34.8 17.2 17.6 18.5
Korea, South 30.8 32.5 31.2 31.9 36.2 39.8 39.4 38.7 39.9 37.6 37.0 38.7 37.8 38.7
Poland 27.4 28.4 27.3 26.3 25.5 27.2 28.8 28.4 26.6 24.8 25.7 23.2 23.4 24.6
Mexico 26.7 28.1 34.6 34.4 33.5 32.6 34.8 36.8 36.1 33.5 33.1 33.2 34.2 33.1
Italy 24.8 24.2 24.3 24.6 23.7 23.6 23.7 24.1 23.6 23.2 22.7 20.1 20.8 20.3
Philippines 23.9 23.4 22.7 22.8 20.1 19.2 18.5 18.5 19.3 20.3 20.0 14.3 14.4 15.0
Netherlands 23.6 25.1 24.9 25.4 22.7 22.1 22.0 23.1 25.1 24.2 24.7 17.3 17.6 19.6
Sweden 21.4 21.3 17.7 17.0 16.8 15.2 16.1 15.4 16.8 17.7 17.6 16.5 13.4 15.3
Norway 21.1 21.4 20.8 19.4 19.6 19.0 18.0 18.1 17.5 16.3 15.4 16.1 15.2 15.0
France 20.3 17.7 30.2 30.2 15.0 20.1 23.5 23.3 26.1 19.8 24.2 36.0 37.9 40.6
Colombia 19.8 20.2 20.1 19.8 20.2 20.3 16.7 16.3 16.5 16.4 16.4 17.0 15.7 15.7
Israel 19.3 18.9 19.8 19.9 20.6 20.5 17.9 17.6 16.3 17.9 18.3 18.4 20.1 19.9
Chile 18.6 16.7 16.0 15.0 13.9 13.4 13.4 13.0 13.0 13.1 12.0 12.2 12.0 12.0
Egypt 13.6 15.3 14.9 20.7 26.0 29.8 30.5 30.6 29.2 25.9 25.0 29.4 28.0 21.1
Australia 13.1 10.3 12.6 14.7 14.9 14.9 15.7 18.0 15.5 19.2 18.4 14.5 14.1 17.9
Malaysia 12.0 11.2 11.3 11.3 11.5 11.7 11.6 11.5 11.7 11.7 11.1 11.1 10.5 10.9
All Other 199.0 199.1 196.9 194.4 193.0 200.5 201.5 204.2 206.7 206.8 199.1 171.1 174.6 168.1
Grand Total 4489.1 4479.2 4474.3 4453.0 4437.9 4412.5 4372.9 4324.1 4271.8 4125.3 4069.9 4002.8 3958.1 3951.1

Of which:
For. Official 3206.6 3175.7 3186.3 3176.9 3188.4 3211.6 3227.2 3192.1 3144.1 3099.2 3071.4 2690.3 2690.8 2715.1
Treasury Bills 421.5 414.9 432.4 438.9 462.3 499.2 531.3 495.4 486.9 473.5 454.4 454.4 466.9 498.5
T-Bonds & Notes 2785.2 2760.8 2753.9 2738.0 2726.1 2712.5 2695.9 2696.7 2657.2 2625.8 2617.0 2235.9 2223.8 2216.6

Department of the Treasury/Federal Reserve Board
June 15, 2011

1/ Estimated foreign holdings of U.S. Treasury marketable and non-marketable bills, bonds, and notes
reported under the Treasury International Capital (TIC) reporting system are based on annual
Surveys of Foreign Holdings of U.S. Securities and on monthly data.
2/ United Kingdom includes Channel Islands and Isle of Man.
3/ Oil exporters include Ecuador, Venezuela, Indonesia, Bahrain, Iran, Iraq, Kuwait, Oman, Qatar,
Saudi Arabia, the United Arab Emirates, Algeria, Gabon, Libya, and Nigeria.
4/ Caribbean Banking Centers include Bahamas, Bermuda, Cayman Islands, Netherlands Antilles and Panama.
Beginning with new series for June 2006, also includes British Virgin Islands.
5/ New series reflect new benchmark survey taken in this month. Estimated positions based on the
previous survey are shown for comparison.


 <レポレート>

 デフォルトが起きれば、銀行やディーラーがレポ市場で調達する資金のコストが高くなる可能性がある。彼らは投資やトレーディングを行うために調達する翌日物金の担保として、米国債を活用している。

 米国債の信用力が低下すれば、投資家はレポ市場を通じて銀行や証券会社に米国債を担保として貸し出す資金の金利を引き上げる可能性がある。

 昨年末時点で、商業銀行は2990億ドル、ブローカー/ディーラーは950億ドルの米国債を保有している。

8日時点の翌日物レポレートは平均0.05%程度だが、デフォルトになれば金利が急上昇し、銀行にとって短期資金の調達コストが上昇する可能性がある。

 ニューヨーク連銀のデータによると、2011年5月10日時点で、米国のレポ市場の規模は1兆6000億ドル。そのうち約30%が米国債を担保としている。

 <保険会社/年金基金/ミューチュアルファンド>

 保険会社や年金基金、ミューチュアルファンドは、保険金や年金、償還金の支払いに支障をきたす恐れがある。

 彼らは安全な資産と考えて米国債を保有しているため、支払いや償還のために資金調達する必要性が生じれば、簡単に売却する可能性がある。

 2010年終盤時点で、生命保険や損害保険会社による米国債保有額は合わせて2530億ドルだった。ミューチュアルファンドは2960億ドル、年金基金は4870億ドルの米国債を保有していた。

 <モーゲージや消費者ローン金利>

 米国ではモーゲージ金利、ビジネスローン金利、他の借り入れコストは直接、間接的に米国債利回りと結びついている。

そのため、連邦政府のローンコストが上昇すれば、消費者や企業にとっても借り入れコストの上昇につながる。

 ローン金利が上昇すれば、低迷している住宅市場や住宅価格をさらに悪化させる要因となるほか、国内総生産(GDP)の3分の2を占める消費支出の落ち込みを招きかねない。

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のデータによると、30年物の固定モーゲージ金利は6月2日に終えた週に4.55%に低下した。昨年12月時点では4.71%だった。

 米国債利回りが上昇すれば、30年物のモーゲージ金利は2010年4月以来初めて5%台に乗せる可能性がある。

NY金(15日):上昇、週間では9週連続高-09年11月以来最長

7月15日(ブルームバーグ):ニューヨーク金先物相場は上昇。米国の債務問題が深刻化するとの懸念が広がり、安全な逃避先としての金が需要を集めた。週間では9週連続高と2009年11月以来で最長だった。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスに続き、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も米国の格付けを引き下げる可能性があると発表した。連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は前日、経済情勢に応じて対応する用意があると述べた。前日の金相場はオンス当たり1594.90ドルと、最高値を更新した。

リンド・ウォルドックのシニアストラテジスト、アダム・クロフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は「質への逃避買いが目立っている」と述べ、「市場参加者は米経済が基盤を維持できるのか、また量的緩和第3弾なしに済ませることが可能なのか、疑問を抱き始めている」と続けた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は80セント高の1オンス=1590.10ドルで終了した。週間ベースでは3.1%の値上がり。

ユーロ崩壊のシナリオに備えよ-ソシエテ・ジェネラルとUBS

7月15日(ブルームバーグ):フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルは、ユーロの「メルトダウン」に備えることを投資家に勧めた。スイスのUBSは欧州債務危機がユーロの存在を脅かすところまで悪化する可能性を指摘した。

  ソシエテのストラテジスト、デービッド・デドゥーシュ、オリビエ・コーバー両氏は14日の投資家向けリポートで、「ヘッジするのに、まだ遅過ぎることはない」とし、ユーロのドルに対する「一段の劇的な崩壊の可能性を完全に排除することはできない」と説明。ユーロの1ユーロ=1.40ドル超への回復はヘッジのチャンスだと指摘した。

  UBSの為替ストラテジスト、クリス・ウォーカー氏は「ユーロ圏債務危機が大幅に悪化し通貨ユーロそのものの存続が脅かされるほどになれば、デンマークがクローネのユーロ・ペッグ(連動)を放棄する可能性がある」とし、その場合、クローネは長期的にユーロや他の北欧諸国通貨に対して上昇する公算が大きいと述べた。

  ロンドン時間午前8時5分(日本時間午後4時5分)現在、ユーロは1ユーロ=1.4142ドル。12日には3月11日以来の安値となる1.3837ドルまで下落した。

江沢民の知られざる?事実・経歴 出身大学、実は……

香港や日本の新聞紙上で「江沢民氏死去」と報じられてからもう何日経ったでしょうか。その後、香港紙は報道内容を撤回し、中国大陸のメディアもいまだ死去と報じてないばかりか、ネット上でそれに関する話を検索しようとすると「関係法律と法規、政策によって一部検索結果が表示できません」という答えが返ってきてしまったりします。

  それだけ江沢民氏の死というのは簡単、無神経には報じられないものなのでしょう。その理由や憶測については既に多くの中国通の方が書かれてると思いますので、それらの記事を検索していただければと思います。

  本日、私が書こうとしておりますのは意外に同氏の経歴で知られていないこと、日本のネット上で検索しても触れられていないこと、であります。一般的に江沢民氏について語られている略歴は次のとおり(外務省サイトより抜粋)だと思います。


1.現 職
 中華人民共和国主席(国家主席)、中国共産党総書記、政治局常務委員、党及び国家中央軍事委員会主席
2.略 歴
1926年 8月17日 出生(江蘇省揚州市出身)
46年 4月 中国共産党入党
47年 上海交通大学電気機械学部卒業
49年 以降 上海益民食品第一工場副工程師、工務科長兼動力部主任、工場党支部書記、第一副工場長、上海石鹸製造工場第一副工場長
53年 第一機械工業部上海第二設計分局電器専業科長
55年 モスクワ・スターリン自動車工場で実習(~56年)
56年   長春第一自動車製造工場動力処副処長、副総動力師、動力工場長
62年   第一機械工業部上海電器科学研究所副所長
    上記工業部武漢熱工業機械研究所長、代理党委書記
71年   上記工業部「専門家視察組」の長としてルーマニアに派遣さる。上記工業部外事局副局長、局長
80年 8月 国家輸出入管理委員会副主任兼秘書長
  9月 国家外国投資管理委員会副主任兼秘書長
    上記両委員会党組メンバー
82年 5月 電子工業部第一副部長、党組副書記
  9月 第12期中央委員
83年 6月 電子工業部長、党組書記
85年 6月 上海市党委副書記
  7月 上海市長(~88.4)
86年 3月 上海市党委副書記
87年 11月 第13期政治局委員、上海市党委書記
89年 6月 13期四中全会にて政治局常務委員、総書記

  11月 13期五中全会にて党中央軍事委員会主席
90年 3月 第7期全人代第3回会議にて国家中央軍事委員会主席
92年 1月 第14期政治局常務委員、総書記、党軍事委員会主席
93年 3月 国家主席、国家軍事委員会主席
97年 9月 第15期政治局常務委員、総書記、党軍事委員会主席
98年 3月 国家主席、国家軍事委員会主席

  ここで注目していただきたいのは「1946年中国共産党入党」「1947年上海交通大学卒業」という箇所です。実は江沢民氏が先に入学したのは「上海交通大学」ではありません。同氏は江蘇省揚州市出身です。そして同氏が大学受験をした当時は中華民国の時代であり、首都は南京でありました。そんな時代にエリートであった同氏が入学したのは「南京中央大学」でした。当時の中国No.1大学です。同氏が同大学に入学しても不思議はないし、むしろ自然と言えます。

  では何故、わざわざ卒業大学を「上海交通大学」としてあるのでしょうか。実は「南京中央大学」に同氏が入学したのは1943年。汪兆銘による日本傀儡政権下の南京における最高学府への入学だったのです。

  この事実は中国南京では多くの人が知っています。私が「江沢民は南京大学(当時の南京中央大学)OBである」と聞かされたのは私が南京大学の修士課程に通っていた2001年の頃でした。私は修士生である傍ら南京大学外国語部で日本語を教えていました。ある日、外国語部のオフィスで講義の準備をしていた時です。「丸尾、この建物は昔、江沢民が寝ていた宿舎だったんだぞ」そんな話を聞かされたのです。

  2002年は南京大学の建校百周年の年でした。南京大学にとっての百周年というよりは江蘇省にある数ある大学にとっても百周年の年でした。と言いますのは、江蘇省のほとんどの大学は南京大学から派生していったからでした(汪兆銘政権下の南京中央大学は現在の南京大学と東南大学を合わせた大きさで、大変な規模でした)。それだけに2002年は南京市中がお祭り状態でした。実に様々な記念行事が催され、南京の街自体もこの年に合わせて大分綺麗に再開発されました。

  私が南京大学建校百周年記念大会に出席した時でした。一般的には中国共産党幹部は自身の出身大学の記念行事には顔を出すものだったようです。会場に集まった何千人という学生達はきっと江沢民国家主席(当時)の登場を期待していたのでしょう。江沢民主席は記念式典に姿を見せず、メッセージだけが読み上げられました。そしてそのメッセージが読み終えられた時、何と会場の学生からはブーイングが起こったのです!

  私も内心、国家主席の登場を期待していた(だから式典に参加した)ので、ガッカリしたものです。江沢民氏が1943年に揚州中学を卒業した時、抗日を唱える南京の大学生達は皆、重慶や成都に学び舎を移していました(蒋介石の国民党政権は重慶市を臨時首都としていた)。もちろん江氏も志があれば、四川省に行く選択肢もあったはずです。しかし、同氏が選んだのは故郷の揚州に近い南京で、日本傀儡政権下の教育を受けることでした。

  戦争が終わり、汪兆銘政権が解体されると南京中央大学は上海交通大学ととりあえず合併をして親日教育色を一掃されることになります。その後も、江氏は上海に留まり、上海交通大学で学位を取得することになりました。そして江氏が南京大学OBであることは全く語られなくなったのです。

  江沢民氏は養父である江世侯(叔父)に育てられたといいます。江世侯は中国共産党幹部にまでなった方らしいのですが、実は実父の江世俊は日本軍占領下の揚州で特務機関に勤めていたといいます。日本占領下の南京大学に入学したという事実が全く語られないのと同様に、「“漢奸”の息子であったという事実を伏せるために叔父の養子ということにしている」という見方もあります。

  江沢民氏の死亡についても色んな説がこのところ出てきました。しかし、いずれにしても重体であり、本人が再度、政治の表舞台に立つ可能性は如何程でしょうか。「江沢民氏は最後の最後まで旧日本軍との関係を隠し続け、中国の最高権力者としての立場を守り続けた」という結果になりそうです。

モルガンSから独立へ、天才が率いる成績20%超のクオンツ取引チーム

7月7日(ブルームバーグ):ニューヨークのグリニッチビレッジのカフェ・ビバルディで、ピーター・ミューラー氏はピアノの腕を披露する。キャロル・キングのなじみのメロディーからバン・モリソンやキャット・スティーブンス風の自作自演までレパートリーは豊富だ。

  「It’s not the same anymore」「I’m still lookingfor myhome」と同氏は歌う。聴衆はカップルでハウスワインを飲みながら礼儀正しく拍手する。10ドルのチップをバケツに入れる客もいる。

  40ブロックほど北でダッフィースクエアを見下ろす42階建て高層ビルで、ミューラー氏(47)はもっと手厳しい人々を相手にしている。同氏はウォール街で最も大切に守られている秘密のトレーディングマシンを作り出した数学の天才だ。ブルームバーグ・マーケッツ誌8月号が報じた。

  ミューラー氏は米証券大手モルガン・スタンレーのプロセス・ドリブン・トレーディング(PDT)グループを創設し、億万長者になった。グループでは約70人の博士号取得者やコンピューターの使い手がアルゴリズムを多用したプログラムを用いて世界市場での価格のかい離を見つけてはモルガン・スタンレーの自社資金を投資している。

            好奇と羨望

  グループは外部投資家から出資を受けていないので、ミューラー氏はPDTの戦略と運用成績を秘密にしている。このせいでPDTはライバルたちの好奇と羨望(せんぼう)の的だ。GMO(ボストン)のアージュン・ディベカ会長は、ミューラー氏が「モルガン・スタンレーのために巨額の利益を上げていることは知られているが、その方法は誰も知らない」と話している。

  ミューラー氏は秘密主義を悪いなどとは思っていない。「われわれが何をしているか競争相手には何一つ知らせたくない」と話す。同氏の角部屋のオフィスには妻のジリアンさんと2人の子供たちの写真が飾られているほか、何年も前に「引退」させた使い古したスノーボードもある。

  吟遊詩人でヨガに熱心、数学オタクのミューラー氏はモルガン・スタンレーの幹部らしくない。身長178センチ体重73キロの同氏は太陽と水と山を示すアメリカ先住民のシンボルをかたどった手作りの銀のお守りを首にかけ、独特の呼吸法を持つアシュタンガ・ヨガをたしなむ。ポーカーのチャンピオンで、1年に何回か米紙ニューヨーク・タイムズのためにクロスワードパズルを作り、オンラインで熱心なファンを集めている。

          平均リターン20%

  1993年のPDT開始から2010年末までの年間平均投資リターンはプラス20%以上と見積もられると、グループに近い関係者が述べた。自己勘定トレーディング部門のPDTはヘッジファンドと会計手法が異なるが、概算リターンは調整済みでヘッジファンドとの比較が可能だ。

  ヘッジファンド・リサーチ(HFR、シカゴ)によれば、1993年7月1日-2010年末までのヘッジファンドの平均成績は年プラス10.4%だった。

  関係者によると、PDTはシャープレシオ(リスクに対するリターン)が3-4という記録を打ち立てた。リスク調整後ベースのこのリターンで、PDTはS&P500種株価指数の10倍を達成した。同じ期間のS&P500種の年間上昇率は約8%だった。

  コンサルタント会社ケーシー・クワーク・アンド・アソシエーツ(コネティカット州ダリエン)のパートナー、ダニエル・チェレギン氏は「すごい。クオンツ運用者の中でトップクラスだ」と感心する。

            規制改革

  モルガン・スタンレーに20年近く在籍したミューラー氏は今、独立しようとしている。大恐慌以来の大規模な金融規制改革がこの時期を早めた。金融機関はPDTのような自己勘定取引のグループを分離または閉鎖している。10年7月に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)や消費者保護法が理由だ。

  金融規制改革法に盛り込まれたいわゆるボルカー・ルールは銀行が自己勘定取引事業を行内に保持することを禁じ、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(未公開株)ファンドへの自己資金投資を中核的自己資本(Tier1)の3%までに制限している。そのような ファンドを、3%を超えて保有することも禁じられる。

  ゴールドマン・サックス・グループは10年の年次報告書で自己勘定取引部門のロングショート・ポジションの大半を解消したこと、グローバル・マクロ・グループでも解消を進めていることを明らかにした。モルガン・スタンレーは今年3月に、06年に買収したヘッジファンド会社のフロントポイント・パートナーズのスピンオフ(分離)を完了した。バンク・オブ・アメリカ(BOA)は4月に、主なプライベートエクイティ(未公開株)事業を同事業経営陣に売却する計画を明らかにした。

            スピンオフ

  PDTの番が来た。モルガン・スタンレーは1月に、PDTを12年末にスピンオフすると発表。PDTを別会社とし、新会社の優先株ポジションを購入するオプションを保持するという。購入の条件は明らかにしていない。

  何十年もの間、自己勘定取引部門はモルガン・スタンレーなど投資銀行の事業の中心を、助言や引き受けからトレーディングへと転換させてきた。これら金融機関は巨額の自社資金を賭けて売買する取引エンジンとなった。株式非公開の共同経営体だった各社が公開企業となった時、自己勘定部門は株主の資金を使って賭けをするようになった。

  2000年代の半ばには、このような自己勘定トレーダーらが爆発的に拡大する債務担保証券(CDO)市場の中心になっていた。こうした商品は信用バブルを膨らませる燃料の役割を果たした。バブルは最終的に破裂し、爆風はベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)を吹き飛ばした。

             利益

  金融機関が自己勘定取引に幕を下ろすとともに、利益は低下するかもしれない。モルガン・スタンレーは08年にレバレッジ引き下げなどによりリスクを減らし始めた。以来、同社の債券トレーディング収入は低迷している。今年1-3月(第1四半期)の同社純利益は前年同期の17億8000万ドルから45%減少した。各社は概して、自己勘定取引による収益を特に公表しないが、ゴールドマンは昨年、大半の年で収入の10%程度だとしていた。

  このような利益の原動力を失うことは、デリバティブ(金融派生商品)やデビットカードをめぐる金融規制改革法の他の制限に加えて、今後数年の金融機関のリターンを低下させるだろうと、ポーテールズ・パートナーズのアナリスト、チャールズ・ピーボディ氏は言う。

  同氏は「金融規制改革法はその累積効果によって予想リターンを低下させる」として、「ほぼ全ての事業が何らかの制限を受ける」と話した。

  モルガン・スタンレーの広報担当、マーク・レイク氏はPDTについてコメントしないと述べた。

             戦略

  モルガン・スタンレーの元従業員らによると、PDTは主に、スタティスティカルアービトラージ、もしくはスタット・アーブと呼ばれる統計的分析に基づく取引で利益を上げている。ある銘柄がそれまでの取引履歴に照らして一時的に割高になっているとみられると、PDTはこの銘柄を空売りする一方で割安銘柄を買い持ちにする。

  12銘柄の石油サービス会社株のなかである日、6銘柄が値上がりし、6銘柄が下がっているとする。この流れはある時点で反転する。この瞬間を正確に見抜くことが、PDTの取引の難しいところだ。

  事情に詳しい関係者2人によると、PDTは誕生以来、成績がマイナスになったことは2四半期しかない。通期のマイナスはないという。

            通期はプラス

  ミューラー氏はクオンツファンドが壊滅状態に陥った07年8月、PDTのかじ取りをしていた。当時はレバレッジを利かせ過ぎたヘッジファンドやその他の投資家が4日の間に数十億ドルを失った。PDTもモルガン・スタンレーの自己勘定部門内の他のグループとともに1日で3億9000万ドルの損失を出した。同社の届け出が示している。しかしPDTは持ち直してプラスの成績で年を終えたと、同グループに近い関係者らは述べた。08年10-12月(第4四半期)も世界的な信用危機の中で大きな損失を出したが通年はプラスだったという。

  390億ドルを運用するクオンツ投資会社、AQRキャピタル・マネジメントの共同創業者、クリフォード・アスネス氏はミューラー氏について、「素晴らしく頭がいいと思う」として、「PDTは最高の会社になるだろう」と述べた。