9月7日(ブルームバーグ):2012年末までの景気回復に賭けている資産家ジョン・ポールソン氏の主力ヘッジファンド、「アドバンテージ・プラス・ファンド」の運用成績が年初来でマイナス34%となっていることが、事情に詳しい複数の関係者の話で明らかになった。
ファンドは非公開だとして関係者が匿名を条件に語ったところによると、企業の買収や経営破綻などの事象から収益機会を狙うアドバンテージ・プラス・ファンドは、8月のリターンがマイナス15%だった。これに対しS&P500種株価指数は先月5.7%下落した。同ファンドのうち金建て部分のリターンは年初来でマイナス17%、8月はマイナス7%だった。
ポールソン氏(55)が率いるヘッジファンド運営会社ポールソンの運用資産は350億ドル(約2兆7000億円)。同氏は年初以降の損失を踏まえて強気な投資を縮小している。米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式の保有は6月末時点で6040万株と、3月末の1億2400万株から減らした。BOAの株価は年初来で44%値下がりしている。
ブルームバーグの総合ヘッジファンド指数によると、業界全体の年初来のリターンはプラス3.4%。8月はマイナス1.1%だった。
ポールソン氏の広報担当、アーメル・レスリー氏はリターンに関してコメントを控えた。
ポールソンが提供するファンドの大半はドル建てと金建てから選ぶことができる。米景気回復の行き詰まり懸念や欧州債務危機を受け、金相場は8月に12%上昇した。事情に詳しい関係者1人が匿名で語ったところによると、ポールソンの顧客の40%は金建てで投資している。