[ワシントン/ニューヨーク 19日 ロイター] 米連邦債務上限引き上げ問題は、デフォルト(債務不履行)回避に向けてぎりぎりの段階にきている。財務省によると上限に達するのは8月2日で、これに向けて予想されるシナリオは以下のとおり。
◎4兆ドルの財政節減案
オバマ大統領と共和党のベイナー下院議長は先月、10年間で4兆ドルの財政節減案を協議した。3兆ドルの歳出削減と1兆ドルの歳入増で、富裕層へのブッシュ減税の廃止や税制の抜け穴を是正が含まれる。
主要格付け会社は、4兆ドル規模の財政赤字削減策で合意できなければ、債務上限が引き上げられてもトリプルA格付けを格下げする可能性があるとしている。
ただ、下院共和党の保守派議員は歳入増を盛り込んだ案は支持しない方針。
◎超党派上院議員グループ案
19日には上院の超党派議員団が10年間で3兆7000億ドルの節減策を公表、オバマ大統領も支持の意向を表明した。年金や医療保険などの社会保障の改変で3兆ドル近くを捻出するほか、税制の抜け穴是正で1兆ドル近くの歳入増を狙う。
下院共和党保守派の反対が予想されるが、4兆ドル節減案とは違い、増税は含まれていないため、可決される可能性がわずかに高まる。また格下げを回避するに十分とみられている。
◎2.4兆ドルの節減案
債務上限引き上げと同等の節減を目指す案も協議され、オバマ政権は2012年11月の大統領選挙後までの歳出を保証するためには2兆4000億ドルの引き上げが必要と訴えていた。約1兆ドルの削減が協議されていたが、民主党は税控除廃止により4000億ドルの歳出増を目指していた。しかし下院共和党の歳入面での反対により頓挫していた。
この案で合意すれば、格下げの可能性は残るが、市場の安定につながる可能性がある。
◎予備案
上院共和党のマコネル院内総務が最初提示した案で、上限引き上げへの有力な案とみられており、オバマ大統領に2012年11月まで3段階にわたり2兆4000億ドルの上限引き上げを認める。この案では議会手続きの関係で、共和党は引き上げを投票する必要はない。
8月2日が迫るにつれ、この案への支持は集まり、大統領も必要性を認めている。
しかし歳出削減は1兆5000億ドルしか見込んでおらず、格付け会社が格下げ回避には不十分と判断する見通し。ムーディーズは19日、この案では長期的に債務を制御できないため、1年以内に格下げになる可能性があると指摘した。
◎交渉決裂、デフォルトに
デフォルトが起これば市場は混乱し金利は上昇、信用力低下、ドル安につながるとみられる。またリセッション(景気後退)や格下げにもつながる。
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