2009年3月18日水曜日

ヘッジファンドのポールソン、アングロゴールドに12.8億ドル出資

3月17日(ブルームバーグ):資産家ジョン・ポールソン氏率いるヘッジファンドのポールソンは、英アングロ・アメリカンから産金で南アフリカ共和国最大手、アングロゴールド・アシャンティ株12億 8000万ドル(約1260億円)相当を取得した。ポールソンは金資産への投資を拡大している。

アングロ・アメリカンの17日の発表文によると、アングロゴールド株1株につき、ポールソンは32ドルを支払い11.3%株式を取得した。ブルームバーグのデータによると、今回の出資でポールソンは、アングロゴールドにとって2番目の大口株主となった。

ポールソンは電子メールで、「アングロゴールド・アシャンティは、経営体制がしっかりしていながら過小評価されている世界の大手産金会社の1社だと考える」とし、「同社が世界での事業拡大戦略を実行することに期待している」と説明した。

各国政府が景気てこ入れに向けて大規模な財政出動を行うなか、ヘッジファンドは将来見込まれるインフレに備え、金資産に注目している。ポールソンは、カナダの産金会社キンロス・ゴールドにも4.1%出資し、同社にとって4番目の大口株主となっている。

金相場は今年これまでに3.7%上昇、一方米主要株価指数のS&P500種指数は15%下落している。この日、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場4月限は午後3時20分(日本時間18日午前4時20分)現在、前日比5.30ドル(0.6%)安の1オンス=916.70ドルで取り引きされている。

投資家ファーバー氏:今後2年間は中国など新興国の資産が「買い」

3月16日(ブルームバーグ):著名投資家マーク・ファーバー氏は16日、投資家は今後2年間にわたり、景気が上向くのに伴い、中国など新興国の資産を購入すべきだとの考えを示した。

ファーバー氏は香港でブルームバーグテレビジョンのインタビューに対し、中国株は今年これまで主要株価指数の年初来騰落率が世界一と上昇しているものの、いったん2008年の安値に下げる可能性があると予想。この下落局面は、投資家にとって良い買い場になるとの見通しを示した。

同氏は「急速に成長する国々では、時々後退がみられる」と指摘。中国株は「安値を再び試すとみられるが、今後2年間は恐らく投資の好機となろう」と述べた。

MSCI世界株指数は今年に入って18%下落。深刻化する金融危機や世界的なリセッション(景気後退)が企業利益に与える悪影響が懸念され、昨年の年間騰落率は42%安と過去最大の下げを記録した。一方、中国株の指標、上海総合指数は今年に入って16%上昇している。

ファーバー氏はまた、ロイター・ジェフリーズCRB指数が「大幅に下落」したため、工業用金属と貴金属は魅力的な投資先だと指摘した。CRB指数は昨年1年間で36%下落。今年もこれまで8%安となっている。

同氏は過去半年で19%上昇した金を引き続き選好。米ドルを含む通貨の動向が「好ましくない」ことを理由に挙げた。

ファーバー氏は過去に、8年間にわたる強気相場の始まりに金を買い推奨した実績がある。金相場は当時、1オンス=300ドル未満。昨年は一時1000ドルを超えた。この日は932.78ドル。同氏のウェブサイトによると、また1987年のブラックマンデー(株価大暴落)の1週間前に米国株の売りを勧めたという。