2010年9月4日土曜日

日本、財政支出余地なし IMF報告書 ギリシャとともに警告

【ワシントン=東京新聞】国際通貨基金(IMF)は一日、日本の債務の水準について、先進国の中でも財政支出の余地が「小さいか、存在しないほど悪化した状態」と分析する調査報告書を発表した。

 財政危機に陥ったギリシャや危機が懸念されるポルトガル、イタリアの三カ国とともに警告し、債務増加が制御できなくなる前に財政再建に取り組む必要性を指摘した。

 調査は先進国二十三カ国が対象で、経済成長率などから危険度を推計。米国や英国、スペインは財政政策が「抑制されている段階で、現時点で日本よりも危機の度合いが低い」と判断した。

 同日に発表した別のリポートでは、先進七カ国(G7)に対し、中期的な観点から財政再建を進めることを要請。歳入増加策として、日本に対し、「消費税の税率引き上げ」を提言した。

2010年9月2日木曜日

日本やギリシャなど4カ国、先進国で財政特に深刻-IMF

9月1日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は1日発表の調査リポートで、先進国の中で債務水準が維持不能な水準に最も近づいている国として、ギリシャとイタリア、日本、ポルトガルを挙げた。

  IMFの調査スタッフはこのリポートで、これらの4カ国が財政赤字の制御不能状態の進行を回避するには、思い切った予算削減が必要になるリスクが著しく高いと指摘。従来の予算削減では十分でないためと説明した。また、米国とスペインの財政も圧迫されていると指摘した。一方、IMFの別のリポートでは、先進国のデフォルト(債務不履行)リスクを示す指標には、「市場の過剰反応」が反映されているとの見方を示している。

リポートは「行動は変えることができるため、財政に余地がほとんどないか、あるいは全くないと指摘された国についても、公的債務の急増や政府のデフォルトを予言するものではない。過去は運命ではなく、むしろ変えなければならないものであり、財政政策を『旧態依然』としたやり方で進めることはできない」と指摘。「特に財政政策は、過去の行動が示唆するよりも強く債務に向き合う必要がある」と強調した。

IMFがこの日発表した3本のリポートの2本目では、欧州債券市場のボラティリティ(変動性)は「依然高い」としながらも、欧州のデフォルトリスクについては退け、必要とされる財政調整は「困難」だろうが、以前にも達成されてきていると指摘した。

さらに、「われわれの見方では、債務再編のリスクは現在、著しく過大評価されている」とし、「市場の動きは経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を反映したものだと受け止めることは通常は賢明だが、市場の過剰反応は時々起こるものであり、各国に対して悪影響を及ぼす」と論じた。

2010年9月1日水曜日

ソロス氏予言のバブルか、金投資スイス保有の倍に膨らむ-1500ドルも

8月31日(ブルームバーグ):投資家が保有する金の量が、スイスの金保有量の約2倍に達している。金相場を最も正確に予想してきたアナリストらは、少なくとも過去90年で最長となっている金の上昇局面が、景気動向にかかわらず、今後も続くと考えている。

  ブルームバーグが集計したデータによると、アナリストらは過去2カ月間に2011年の金相場見通しを他のどの貴金属よりも大幅に引き上げ、年間ベースで10年連続の上昇になると見込んでいる。また、ニューヨーク市場の金先物オプション取引は、12月までに1オンス=1500ドルに上昇するとの見通しを示唆している。これは、6月21日に付けた過去最高値の1266.50ドルを18%上回る水準だ。金を裏付けとするETP(上場取引型金融商品)を通じて保有される金の量は約2072トンと、過去最高水準から0.3%以内のところにある。

  ドイツのコメルツ銀行のアナリスト、オイゲン・ワインベルク氏は「景気が素早く回復しようとさらに低迷が続こうと、新たな買い手が市場に参入するはずだ」と指摘。「景気が堅調になれば宝飾品需要が拡大する。景気が弱いままか、悪化すれば、投資家らは安全な投資先を求めるだろう」と述べた。1-3月(第1四半期)の相場予想が最も正確だった同氏は、金相場が来年は1400ドルに上昇するとみている。

  通常、金融市場がストレスを受ける局面で選好される資産に対する需要を反映し、ETPを通じた投資家の金保有量は3週連続で増加した。24日には米2年債利回りが過去最低の0.4542%に低下。円の対ドル相場は15年ぶりの高値に達した。米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やドイツ銀行、米シティグループは、相場急落に対する防御手段となるファンドや金融商品を提供している。

           スイス金準備の倍

  ブルームバーグが調査対象としているETP10本を通じて、買い手は今年、金保有量を274トン積み上げた。今年の平均価格で計算すると103億ドル(約8700億円)に相当する。産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が集計したデータによると、投資家の総保有量は、スイスの金準備1040トンのほぼ倍の規模に膨らんでいる。ブルームバーグのデータによると、ETPの金保有量の合計は7月19日時点で過去最高の2078トンに達した。

  最も大口の買い手の1つはソロス・ファンド・マネジメントだ。同社の管理・運用資産総額は約250億ドル。ファンドを運営する資産家ジョージ・ソロス氏は1月にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、金を「究極の資産バブル」と表現し、バブルの初期に購入するのは「理にかなっている」と説明した。

  米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、ソロス・ファンドは金を裏付けとするETPとしては最大の「SPDRゴールド・トラスト」の株式34万1250株を4-6月(第2四半期)に売却した。その後も524万株を保有しており、これは金約16トンに相当する。ソロス氏は広報担当者を通じて、持ち高の変動に関するコメントを控えると語った。

            金相場の見通し

  ブルームバーグがアナリストやトレーダー、投資家29人を対象に実施した調査の中央値によると、金相場は来年1500ドルと、ロンドン時間30日午後5時半(日本時間31日午前1時半)現在の1237ドルから21%上昇するとみられている。今年これまでの相場予測が最も正確なドイツ銀のダン・ブレブナー氏(ロンドン在勤)は、金相場が1550ドルに達する可能性があると予想している。

  金相場は1月以降13%上昇し、米国債のリターン(投資収益率)7.9%を上回っている。一方、先進国株の指標であるMSCI世界指数は7.2%、商品24銘柄で構成するS&P GSCIトータルリターン指数は9.4%それぞれ低下している。