2011年9月20日火曜日

オフショア銀行8行を捜査中、脱税ほう助の容疑-米連邦大陪審

9月20日(ブルームバーグ):米連邦大陪審はオフショア銀行8行を、米国民の脱税をほう助した疑いで捜査している。米司法省がウェブサイトで明らかにした。

  米司法省は2009年にスイスの銀行最大手のUBSが顧客の脱税を助けたとして起訴に持ち込もうとしたが、UBSは7億8000万ドルを支払うとともに脱税ほう助を認め米内国歳入庁(IRS)に250口座余りの情報を引き渡すことで和解し、起訴を免れた。UBSはその後さらに4450口座のデータも引き渡した。

  同省のウェブサイトによれば、オフショア銀行の顧客に関して150件の大陪審捜査が開始された。30人が起訴の対象で、ほかに13人が海外資産隠しを助けた罪で起訴されるという。

  ウェブサイトではまた、「世界の8行のオフショア銀行に対する大陪審捜査が追加で開始された」としている。訴訟の結果にかかわらず、捜査は「スイスの銀行の名高い秘密主義に大きな打撃を与えた」とも指摘した。

  司法省は捜査対象の8行の名前は明らかにしていない。同省のミラー報道官は19日にコメントを控えた。

金相場:年内に2000ドル上回る見通し、「信頼の危機」で-BN調査

9月20日(ブルームバーグ):金相場が、投資需要の急増により年末までに1オンス当たり2000ドルを上回る可能性が高いとの見方がブルームバーグが実施した調査で示された。

  モントリオールで開かれたロンドン金市場協会の年次会議でブルームバーグが実施した調査によると、回答者16人の平均値で、金相場は年末までに最高で2038ドルに上昇するとの見通しが示された。来年の最高値は2268ドルと予想されている。

  ニューヨークの金先物相場は今年に入って25%高騰し、6日に過去最高値の1923.70ドルに達した。欧州の債務問題の悪化と米国の経済成長の低迷見通しを背景に需要が拡大し、金相場は上昇した。

  エーデルワイス・ファイナンシャル・サービシズのプジャン・パンジワニ社長は会議でのインタビューで「大きな要因は信頼の危機であり金は安全資産だ」と指摘。「金相場が下落する可能性はほとんどないと思う」と述べた。

  投資家が株式や一部通貨から分散投資を目指したため、金現物相場は年間ベースで11年続伸し、少なくとも1920年以降で最長の上昇相場となっている。金に裏付けされた上場投資信託(ETF)の金保有量は過去2年間で31%増加し、8月8日に過去最高の2260.5トンに達した。

金相場、年内に2400ドルに上昇も-ゴールドコアのオバーン氏

9月19日(ブルームバーグ):金相場が今年の高値からさらに上昇し過去最高値を更新すると、ゴールドコアのエグゼクティブディレクター、マーク・オバーン氏はみている。金融の混乱で投資家の需要が高まるためだという。

  金相場は年内に1オンス=2400ドルまで上昇し、来年には3000ドルを付けると予想。年初来では25%上昇しており、6日にはニューヨーク市場で過去最高値となる1923.70ドルを記録した。

  オバーン氏はカナダのモントリオールでの業界会議で19日にインタビューに応じ、「非常に広範囲にわたるグローバルな需要がある。金融や地政学的、マクロ経済、システミック面のリスクが需要をけん引しており、こうしたリスクが多少軽減されるまで見通しはかなり健全だ」と述べた。

  欧州の債務危機のほか、米国がリセッション(景気後退)に再び陥るとの懸念で資金逃避先としての金の需要が高まる中、金相場は11年連続で上昇する見通しだ。欧米の景気不振とアジアの中産階級拡大が金の購入につながるとして、相場上昇が購入の動きを抑えることはないとオバーン氏はみている。

  同氏は「不安という要素はある」が、それが需要の根本的な要因ではないと思うと指摘。「やみくもな不安ではなくむしろ慎重に分散投資を進める警戒の動きだ」とし、他の多くの資産より「金のファンダメンタルズ(需給)は魅力的だ」と語った。

2011年9月19日月曜日

欧州の銀行、160兆円相当の資産売却が必要に-米アポロのブラック氏

9月16日(ブルームバーグ):欧州のソブリン債危機に伴い、域内の銀行は総額1兆5000億ユーロ(約160兆円)相当の資産売却が必要となる-。米プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの責任者、レオン・ブラック氏が16日、こうした見方を示した。

同氏はロシア南部のリゾート地ソチでの投資フォーラムで「大規模な売却となるだろう。売却はすでに始まっている」と述べた上で、資産売却が今後数年続くと予想した。

  ブラック氏によれば、ギリシャとポルトガル、スペイン、それに恐らくイタリアの公的債務水準をめぐる懸念が銀行に身売りや不動産ローン債権と不良債権の売却を促すことになる。

  同氏は、こうした資産売却は投資対象をソブリン債から多様化する上で「類まれな好機」をもたらすと指摘、アポロはこうした資産の一部にロシアと共同で投資することに関心を持つだろうと語った。

ギリシャ危機に駆けつけたら… 「米に言われたくない」

産経新聞 9月18日(日)7時56分配信

 【ロンドン=木村正人】ギリシャ財政危機の対応を話し合うためポーランド西部ブロツワフで16、17日に開かれた欧州連合(EU)の非公式財務相理事会。対応の遅れにしびれを切らした米国のガイトナー財務長官が急遽(きゅうきょ)、乗り込んだが、欧州側の反応は「米国には言われたくない」と冷ややか。かえって欧米間の亀裂を露呈する結果となり、金融市場の混乱に拍車をかけかねない状況だ。

 「もめている場合ではない。各国の政府と中央銀行が対立するのは、もっとも危険なことだ」

 ガイトナー長官は、ギリシャ危機対応で足並みの乱れが目立つ欧州各国に結束を呼びかけた。その上で、欧州金融安定化基金の拡充を提案した。

 これに対し財務相会合の議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相は「部外者とは協議しない」と不快感をあらわにし、ドイツのショイブレ財務相は「(各国の負担増は)有権者の理解が得られない」と、一蹴した。

 またガイトナー長官は世界経済の減速に対応した景気刺激策の必要性も強調したが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は17日の会見で「他の主要国と比べて欧州はまだまし」と取り合わなかった。

 「米国の方が(経済の)指標は悪いのに、われわれに何をすべきか言うのは奇妙なことだ」(オーストリアのフェクター財務相)

 「米国こそどうやって財政赤字を削減するのか」(ベルギーのレインデルス財務相)

 欧州の財務相の米国批判は辛辣(しんらつ)だった。

 ギリシャからイタリア、スペイン、さらにはフランスにまで財政危機が飛び火する懸念が高まるなか、欧州側は財政再建を最優先と位置づけており、景気重視の米国との立場の違いは、一段と鮮明になっている。

 16日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャの財政赤字の削減を条件に第6弾となる80億ユーロの融資を実施することで合意し、当面の危機は何とか回避した。

 だが、12月には50億ユーロの第7弾融資を控えており、財政再建が進まなければ、再び実施が危ぶまれ、市場が混乱する恐れがある。さらに2013年以降の第2次救済策も、9月中に終わるはずだったユーロ導入17カ国の議会承認が10月以降にずれ込む公算が大きくなっている。

 ギリシャのデフォルト(債務不履行)不安がくすぶり続けるなか、各国の結束は見えないままだ。