2011年2月11日金曜日

インタビュー:消費税率15%程度への引き上げ必要=柳沢元厚労相

[東京 10日 ロイター] 柳沢伯夫・元厚生労働相(城西国際大学学長)は10日、ロイターのインタビューに応じ、社会保障の持続可能性と2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を確保するには、現在の財政状況を踏まえると、現行5%の消費税率を15%程度に引き上げる必要性があると指摘した。
 デフレ下での増税による経済への影響に配慮すれば、一気に2段階で引き上げるより、小刻みに段階的に引き上げることでインフレ効果も生まれ、デフレ対策になると述べた。他の選択肢も含め、参画する「社会保障改革に関する集中検討会議」で提言する考えを明らかにした。

 インタビューの概要は以下の通り。

 ──05年の自民党財政改革研究会報告で「消費税の社会保障目的税化」を打ち出した。当時、政調会長代理として問題提起して以後、最近までの状況をどのように受け止めているか。

 「当時、財政の問題が頭痛の種だった。研究会のテーマは財政問題だが、財政の最大のプレッシャーは社会保障分野で、財政健全化=社会保障の問題。これは今も同じだ。明確に社会保障の目的税としての消費税を打ち出し、それが社会保障の安定財源になると同時にプライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡回復に役立つことを検証しながら検討を進めた。明記はできなかったが、高齢者3経費(年金・介護・医療)と社会保障の機能強化で消費税率10%が透けて見える報告書をまとめた」

 ──その後、消費税率10%を提言した。

 「(その後の報告書で安定的な社会保障制度構築には)少なくとも消費税率10%への引き上げが必要との報告書をまとめた。しかし、リーマン・ショック後に前提となる税収が、(リーマン・ショック前の)50兆円台から37兆円まで落ち込み、プライマリーバランスを同時に回復させることを目的とすると10%はもう崩壊している。今日では、10%以上が必要、15%程度が必要という状況になってきている」

 ──社会保障の持続可能性を維持し、同時に財政再建を確保するには、15%程度は必要ということか。

 「今回はもう少し精緻(せいち)に考える必要がある。目的税にした場合の対象経費をどうとらえるかだ」

 ──子ども手当も対象とする考えか。

 「『子ども手当』というと、(民主党がマニフェストで打ち出した)あのタイプの子ども手当の財源になるので、その言葉は使いたくない。育児や若年者の雇用など、どの範囲で取り込むのか考えなければならない。そうした試算はまだできていない」

 ──6月の成案では、消費税率の上げ幅と時期を明記すべきと。

 「率については、プライマリーバランスの回復を考えるべきだ」

 「時期については、気合いの問題。デフレ克服の課題とこの財政再建・社会保障安定化をどうからませるのかは考え方がいくつかある。

 ひとつが、財政赤字が増えることには目をつぶって、デフレ克服のために財政・金融政策を出動し円安に誘導する。この3点セットを3年間行い、3年後に(引き上げを)スタートさせるという考え方。もうひとつが、デフレにあまり重荷にならないように小幅に、段階的に引き上げていく。そうすれば、かえってインフレ効果が生まれる。第3が、何年か先に5%ずつ引き上げる。しかしこれはデフレ効果がきつすぎ、経済が冷えきってしまう」

 「個人的には、2番目の選択肢が現実論として良いと思う。実施スケジュールの選択肢は考えられるが、決断するのは総理。総理が不退転の決意でやらざるを得ないことだ」

──デフレ下では増税は難しいとの認識か。

 「デフレ下でも、たとえば2%ずつ、1年おきに上げていくと、需要の強化に役立つ。デフレ対策にもなる」

 ──自民党は与野党協議には慎重だ。消費税の社会保障目的税化では一致しているが、安定財源を確保してバラマキと批判している子ども手当の財源となることを警戒する。増税しても財政再建につながらないリスクはないか。

 「そうならないような設計をする」

 ──消費税率は15%程度への引き上げが必要との認識か。

 「おおよそのメドとしてはそういうことだろう。ひとつは遅れたこと。リーマン・ショックで土台が下がったこと。この2つで5%近くのものが増えてしまった」

 ──格付け機関は政府の実行力を注視している。

 「その通り。諸外国と違って、(最悪の財政状況でも)危機だと言われないのは唯一、(消費税の)上げ幅に余裕があるということと、不確かだが、政府として取り組む姿勢が評価され、かろうじて一人前のレーティングになっている。しかし、財政赤字はほとんど『クレージー』なレベルに達している。悠長なことを言っていられない」

──最近の長期金利上昇の受け止めは。

 「米国の長期金利も上がり始めたので、米国が金融政策をどう運営するかにもよるだろう」

 ──自民党は「Xデープロジェクト」で、国債が暴落した場合の対処方針の検討を始めた。

 「その感覚の方が正しい。そのぐらい(財政状況は)緊迫した問題だ」 

 ──税・社会保障一体改革が実行されなければ、格付けは下がり、エコノミストはトリプル安を懸念する。

 「私が集中検討会議に参加するのは、自民党政権がもう一度(政権に)復帰するまで待っている時間的余裕はないと思ったから。この1点だ。政府は少なくともスケジュールを明確に打ち出すべきだ」

新興国から先進国への資金シフト継続、過剰流動性がUターン

[東京 10日 ロイター] 新興国から先進国への資金シフトが継続している。日米株は高値警戒感もあって利益確定売りが出ているが景気回復期待を背景に高値圏を維持。一方、新興国株はインフレ対応による金融引き締めを警戒し軟調な展開となっている。
 先進国の金利上昇傾向が強まっているが、米失業率は依然高過ぎるとしたバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言から、マーケットでは米量的緩和第2弾(QE2)がしばらく継続されるとの見方が多い。維持された過剰流動性はこれまで流入していた新興国から先進国へのUターンを強める見通しだ。

 <日米株は高値圏維持> 

 新興国株からの資金流出が続いている。中国の追加利上げの影響は限定的だったが、中国を除く主要なアジア株はいずれも前日に続き軟調な展開。南米でもブラジルのボベスパ株価指数は年初からの下落率が8.2%に達するなど年初からのパフォーマンスがさえない。

 高い成長率に支えられBRICsや他のアジア市場は、2008年の世界的金融危機以降も投資先として人気を集めていたが、最近の食料品などのインフレへの対応で金融引き締め姿勢を強めていることを懸念し、投資家が資金を引き揚げているためだ。

 トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーによると、2月2日までの1週間に新興国株式ファンドからの純資金流出額は41億ドルとなり過去最大を記録した。

 一方、日米など先進国経済は順調で株価も高値圏にある。米ダウと日経平均は高値警戒感もあって利益確定売りに押されているが、下げは小幅。前日の米市場では「フローで大きく利食いに来る向きは少なく、下落時の押し目買いは継続」(外資系証券トレーダー)とされ、新興国から先進国への資金シフトが継続しているとの声が出ていた。

 元メリルリンチの投資ストラテジスト、リチャード・バーンスタイン氏は8日、米国の中小企業株はBRICs株よりもはるかに高いリターンが見込めるとの見解を示した。2009年には米国経済や米国株に対してより悲観的だったバーンスタイン氏だがスタンスを一転、2年近く続く米国株の上昇は今後も続く余地があると述べた。「米経済は世界でも有数の改善をみせた。米小型株のグロースとバリューは、世界でも最大の成長ストーリーだ」という。

株式市場だけでなく債券市場でも米国回帰の傾向は強まっており、今週の四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)の第2弾となった米10年債入札は、海外勢や大手機関投資家を含む間接入札者の比率が71.3%に達している。

 <バーナンキ証言で過剰流動性の維持予想>

 日米の株価を押し上げているのは景気回復期待であるが、実はそれを支えているのが新興国経済だ。

 1月の米ISM製造業景気指数が約7年ぶり高水準となるなど「米国の製造業は新興国経済の拡大を享受している」(T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏)という。日本も新興国向けだけではなく、新興国向けが拡大し経済が堅調な米国向けにも輸出が増加するなどダブルメリットを享受、10年12月の輸出は前年比13%増と加速している。

 金融引き締め傾向が続き多少伸び率が鈍化したとしても、新興国経済は人口増などに支えられ成長が続くみられている。IMF(国際通貨基金)によると2011年の世界の経済成長率見通しは4.4%(2010年は5.0%)。先進国の2.5%(同3.0%)に対し新興市場国および途上国は6.5%(同7.1%)と新興国がけん引する構図は続く見通しだ。

 しかし、新興国にとってはインフレが悩みの種。インフレは新興国自体の内需拡大が主因とはいえ、先進国の金融緩和によって生み出された過剰流動性が商品市場などに入り込むことで加速させている面も大きい。その過剰流動性の大きな出どころである米量的緩和第2弾は、バーナンキ米FRB議長が9日、米国の景気回復は力強さを増している兆しが出ているものの、失業率は依然として高過ぎるとの認識を示したことで、市場ではしばらく続きそうだとの見方が強まっている。

 T&Dアセットマネジメントの神谷氏は「先進国のソブリン問題もいったん小康状態となっている。金融引き締めが続く新興国よりも金融緩和が維持されている先進国への投資を選択する方が無難だと投資家は判断している」と述べる。そのうえで、今月18─19日にパリで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で、先進国の金融緩和に対する新興国からの批判が強まるのかを注目しているという。

 <ドル円はしっかり、円債先物は小反発>
ドル/円は82円前半から82円半ばへとじりじり上昇。82円後半からの輸出企業の売りとの攻防になっている。米長期金利のレンジが切り上がったことがドル/円を押し上げているが、83円からは輸出企業の売りが厚みを増すため、上値には限度があるとみる声が多い。

 前日こそ米長期金利は低下したものの「レンジは上方シフトしている」(三菱東京UFJ銀行シニアアナリストの亀井純野氏)との見方は多い。米金利に比べたドル/円の出遅れ感から「上を攻めたい」(国内金融機関)として、ドルは輸出企業の売りが待ち構える82円後半に上値を伸ばしている。

 円債市場では、国債先物が小反発。米債高を受けて朝方は高寄りしたが、引けにかけて上げ幅を縮小した。市場では「中期ゾーンで売りが出ている。簿価で買いやすい来週の5年債入札に応札するため、銀行勢が調整的に売りを出しているのではないか」(外資系証券)との見方が出ているが、下値不安が広がるには至っていないという。

 バークレイズキャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは「場合によって今週で金利がトップ形成となる可能性があり、少なくとも、来週頃までの時間帯でピークアウトするがい然性が高まったのではないか」と話している。

ベトナムが通貨ドンを8.5%切り下げ、許容変動幅も1%に縮小

[ハノイ 11日 ロイター] ベトナム中央銀行は11日、通貨ドンVND=を8.5%切り下げると発表した。ドンの切り下げは昨年8月以来。過去3年近くで6度目となる。
 新たなドンの対米ドル基準値VND=SBVNは2万0693ドン。基準値は昨年8月以降、1万8932ドンに設定されていた。

 中銀はまた、ドンの対米ドル相場の許容変動幅を基準値の上下3%から1%に縮小することを発表した。

 ベトナムでは、ドンの公式レートと非公式(闇)レートVNDUNOFF=VNの格差の調整するための切り下げが広く予想されていた。

米JPモルガン:原油価格、政情不安が沈静化すれば「顕著な修正」へ

2月8日(ブルームバーグ):米JPモルガン・チェースは、北アフリカや中東で政情不安が緊迫化しないと原油価格が今週、下落する可能性があるため、既存の買い持ち高を売却することを検討すべきだとの見方を示した。

  エジプトの政情不安が中東の供給を中断させ、地域の情勢を不安定化させる懸念が強まり、ニューヨーク市場の原油先物は1月31日、2008年10月以来の高値に上昇したほか、ロンドン市場の北海ブレント原油は1バレル=100ドルを超える水準で取引された。

  JPモルガン・チェースは7日のリポートで、デモ行動が落ち着くことは相場に「顕著な修正」があることを意味するとの見方を示した。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、ヘッジファンドの原油の買い越しは過去8週間で最大の増加を示した。

  ローレンス・イーグルス氏(ニューヨーク在勤)率いるアナリストらはリポートで「新たに情勢が緊迫化することがなく、政治的な進展があると認識されれば、今週の原油は下げ相場になるだろう」と述べた。

  7日までの5営業日で原油価格は5%下落した。エジプトではムバラク大統領の退陣を求めるデモ行動が沈静化し、政府は反政府派の指導者たちと協議を行った。

  CFTCによると、原油相場上昇を見込むヘッジファンドなど大口投機家の買い越しは1日終了週に17%増加した。

2011年2月5日土曜日

ファーバー氏:ロシア株は「非常に割安」-指標株価指数は10%上昇も

2月2日(ブルームバーグ):ニューズレター「グルーム・ブーム・アンド・ドゥーム」の発行人で投資家のマーク・ファーバー氏は、ロシア株は「非常に割安」で、同国の指標株価指数は「今すぐに」10%上昇する勢いだと述べた。

ファーバー氏は2日、モスクワでブルームバーグテレビジョンの番組「ザ・パルス」でアンドレア・キャサウッド記者とのインタビューに応じ、「欧米のメディアがロシアについて全く疎く、政治システムや汚職について常に否定的に報道しているため、ロシア市場は正しく評価されていない。汚職がひどいのは欧州や米国でも同じだ」と指摘。「テクニカル的には、相場は今すぐに上抜けし、少なくとも10%上昇すると思っている」と語った。

ブルームバーグの集計データによると、指標のMICEX指数構成銘柄の今後1年間の予想利益に基づく株価収益率(PER)は7.5倍。これに対し、中国本土株の指標、上海総合指数の予想PERは12.8倍、インドのセンセックス30種株価指数では14.7倍、ブラジルのボベスパ指数は10.7倍となっている。

ソロス氏:欧州は債務再編を-「第2のリーマン」回避で

2月4日(ブルームバーグ):米資産家ジョージ・ソロス氏は、欧州の指導者らは「第2のリーマンの危険」を回避するため、ソブリン債を再編し、ユーロ圏救済基金によって域内金融システムを強化しなければならないとの考えを示した。

ソロス氏は4日、ミュンヘンで開かれた会議で、欧州連合(EU)の政策について、貿易黒字国と「債務負担に苦しむ」国との間の不均衡を定着させてしまう恐れがあると指摘。「収束」を生むはずだったユーロが不均衡を助長していると述べた。

同氏は、総額4400億ユーロ(約49兆円)の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)について、「株式または債券の形で」金融システムに資金を直接供給できるよう機能強化すべきだとの考えを示した。

PIMCOのグロース氏:物価指数は総合に注目-商品相場の上昇で

2月4日(ブルームバーグ):パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、新興市場からの商品需要が急拡大していることを受けて、投資家は消費者物価(CPI)の総合指数に注目するだろうと述べた。

グロース氏はブルームバーグのラジオインタビューで、エコノミストの大半は、いわゆる食品とエネルギーを除くコア物価指数に注目していると述べ、その理由について商品価格は変動しやすく、平均へと回帰する傾向があるためだと説明した。

グロース氏は「総合指数とは対照的にコア指数に注目することは、新興市場で石油やエネルギーだけでなく、食品や商品関連製品にまで需要が非常に高いという事実を軽視することになるだろう」と述べた。さらに、「連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストが期待するような平均への回帰は起こらない可能性がある。私は今後、総合指数に注目するだろう」と続けた。

原題:Pimco’s Gross Says Focus on HeadlineInflation Data: Tom Keene