2010年12月26日日曜日

「日本破綻」を生き抜くボーナス運用術

カリスマディーラー・藤巻健史の35問35答

週刊朝日2010年7月9日号配信

大手企業で平均75万9728円(日本経団連調べ)。今夏のボーナスは昨年よりもすこし増える傾向だそうだ。しかし、それを素直に喜べない世界の経済状況がある。日本でも「財政破綻」の危機がささやかれ、消費税率引き上げもありそうだ。ボーナスをどう使えばいいのか、「カリスマディーラー」の藤巻健史氏に聞いた。



 Q1 ボーナス、どうすればいいですか?
 A 日本では企業がどんどん海外に出ていき、給料を稼ぐ場所が減っています。ならば、お金に稼いでもらうことを考えるべき。それは、投資をすることです。

 Q2 預金ではなく?
 A 現金や預金はいちばん危険です。猛烈な勢いで物価が上がるハイパーインフレが来るかもしれないからです。一生懸命働いて100万円貯めても、タクシーの初乗りが100万円になれば貧乏ですよね。

 Q3 インフレになる?
 A なると思います。国の借金は今年度末に973兆円になる見込みです。毎年10兆円ずつ減らしても100年かかる。こうなると、ハイパーインフレを起こして、973兆円を実質的に意味がないものにするしか考えられません。政治的にはできないので、最終的には金融市場が先導することになるでしょう。

 Q4 日本は「破綻」するというのですか?
 A すると思います。日本は国債を発行し続け、今年度も44兆円の国債を新規発行します。新しく44兆円が必要なのです。多くの国債を買ってきたのは日本の金融機関ですが、その元手は預金です。ふつうGDP(国内総生産)の伸びに比例して預金が増えますが、この20年ほど、日本のGDPは伸びていない。いずれ国債が売れ残る。子ども手当も国家公務員の給料も支払えなくなります。

 Q5 おおげさでは?
 A 1996年、橋本龍太郎政権が財政再建法の制定を打ち出しました。このままいけば財政が「破綻」しそうだと思ったからですが、この法律は停止されました。橋本元首相は空騒ぎをしたのでしょうか?
 その後も財政状態は一直線に悪くなり、当時と比べて、借金額は2・7倍になりそうです。

 Q6 何をきっかけに「破綻」するのですか?
 A 国債入札の「未達」だと思います。これは、発行予定額に応札額が届かない状態を指します。

 Q7 その後の動きは?
 A 「未達」のニュースが流れた途端に日本の金融市場はジ・エンドでしょう。いま金融市場では先物商品の取引が大きいのですが、これが連日ストップ安で市場が開かれないような状態に陥るでしょう。それをみて現物も連鎖して下がる。国債だけでなく株も円も暴落し、トリプル安です。

 Q8 投資家だけの問題ではないのですか?
 A 銀行の「とりつけ騒ぎ」が起きると思います。たとえば、国内最大の銀行であるゆうちょ銀行では、保有する資産の8割が日本国債です。国債価格が暴落したら、貯金している人も心配になって、お金を取り戻そうとするでしょう。

 Q9 銀行が倒産するのですか?
 A そうならないように政府と日本銀行が超法規的な対策を練るでしょう。国債入札の未達は民間銀行が国債を買わないから起きるので、法改正して日銀が政府から直接買えるようにします。民間銀行からも国債を買い取り、お金を渡して騒ぎを沈静化させる。日銀が懸命に紙幣を刷るので、お金の価値が下がりインフレにつながります。

 Q10 菅直人政権は「強い財政」を掲げ、「2020年度までに基礎的財政収支(PB)を黒字化する」と言っていますが?
 A PBというのは、国債発行収入を除いた歳入と、国債の元利払いを除いた歳出を比べたものです。PBが黒字化しても、借金が積み上がることはあります。
 しかも景気がよくなれば金利は上がりますから、利払いの金額も大きくなる。いまでも国債の元利払いで20兆円かかる一方で税収が37兆円しかないのですから、「PBの黒字化」というのは、ごまかしでしかない。

 Q11 消費税率を10%に引き上げてもだめですか?
 A 今年度は「埋蔵金」などの税外収入10兆円があったので、新規国債が44兆円で済んだ。でも、「埋蔵金」は一度掘ったらおしまいです。
 一方で、消費税を5%幅上げると、国税分を4%とすれば、増収は10兆円弱になります。「埋蔵金」の分を補填するので精いっぱいです。

 Q12 「法人税率の引き下げ」も掲げていますが?
 A 法人税率を引き下げても、財政面では大きな影響がありません。なにしろ、昨年度の法人税収は5兆~6兆円にとどまるとも言われます。

 Q13 では、日本財政はいつ「破綻」するのですか?
 A わかりません。大地震と同じで、明日かもしれないし、5年後かもしれない。今年「破綻」する確率も3割あると思っています。来年度の予算を組めない可能性があるからです。

 Q14 「破綻」の確率が3割なら、残りの7割に賭けたほうがいいのでは?
 A 7割、つまり「破綻」を回避すれば日本株は上がると思いますが、3割のことが起きたときに影響があまりにも大きすぎる。積極的な運用は危険です。

 Q15 では、どう運用すべきですか?
 A まず、国を頼ってはいけません。災害が不安なときは保険をかけるでしょう。運用でも「保険」をかけることを気にする時期です。

 Q16 「保険」とは?
 A 財政が「破綻」しても影響を受けないものへの投資です。持ち家を含めて、日本国内に持っている資産は、一時的にはダメージを受けてしまう。それを相殺するため違ったものに分散して投資すべきです。

 Q17 インフレの兆候が見えてからでは遅いですか?
 A 国債入札の未達から始まるシナリオであれば、一瞬でインフレになります。

 Q18 ボーナスのうち、どれぐらいを「保険」に回すべきですか?
 A 円建て資産をどれだけ持っているかで変わります。すべて円建てであれば、今回のボーナスでは、投資できる金額すべてを「保険」に回す時期だと思います。

 Q19 どんな金融商品が「保険」ですか?
 A 財政問題の解決に向けて、世界的に中央銀行がお金をどんどん供給し、インフレが強まっています。こうした状況に強い株や不動産商品を選ぶべきです。

 Q20 具体的には?
 A 「保険」としては米ドル建て資産をお薦めします。今後いちばん強いのが米国経済だと考えているからです。日本の財政が「破綻」すれば円安になるので、為替だけで利益を得られます。

 Q21 米国株ですか?
 A そう思います。具体的には、よく知られている「ダウ工業株平均」に採用されている30銘柄から選ぶのがいいでしょう。コカ・コーラやウォルト・ディズニーなど、なじみのある会社ばかりです。

 Q22 米国株の値動きをどう確認すればいいですか?
 A わたしはインターネットで、無料の「CNNマネー(※)」を見ています。日本語であれば、日本経済新聞の夕刊にも載っています。

 Q23 米国の債券は?
 A 株だけでは心配な人はドル建て債券もいいでしょう。ただ、債券はインフレになると価格が下がります。その影響を避けるには満期までの期間が2~3年以内と短いものがいいでしょう。米国債以外であれば、発行組織の信用度(健全性)をよく確認しましょう。株にしろ、債券にしろ、運用をプロに任せる投資信託もいいでしょう。

 Q24 投資信託では、どんな商品がいいですか。
 A ドル建て債券や米国株で運用する投資信託がいちばん魅力的かもしれません。ドル建てのMMFも選択肢に入りますね。

 Q25 ドル建て商品はどうやったら買えますか?
 A 米国株などは日本の証券会社の店舗に行けば買えます。インターネット証券でも買えます。

 Q26 欧州はなぜよくないのですか?
 A 財政危機のギリシャは欧州通貨ユーロから離脱すると思います。財政赤字に陥った国の最も効果的な政策は輸出を伸ばす作用などがある通貨安ですが、ギリシャはユーロ国である以上、これができません。ギリシャ以外にも、続々とユーロから離脱する国が出てくるかもしれません。そういうときにユーロ建て資産は買いにくいですね。

 Q27 BRICsも注目を集めていますが?
 A BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)は、経済は強い半面、金融市場が小さすぎ、売りたいときに売れないリスクがあります。BRICs経済が本当に強いと思うなら、そこに進出している日本や米国の企業の株を買えばいいでしょう。

 Q28 日本の金融商品は?
 A ハイパーインフレがくれば、日本株も将来値上がりしますが、日本財政の「破綻」による混乱期につぶれない企業かどうかを考えて銘柄選びをしてください。

 Q29 日本株の狙い目は?
 A 円安が進むと業績が伸びる輸出株でしょう。「破綻」するのは日本の財政であって日本経済全体ではないので、日本が生きていくために必要なもので外資が入りにくい業種、電力やガスなどもあるでしょうか。でも、ある程度は海外に分散投資をすべきです。

 Q30 不動産商品は?
 A リート(不動産投資信託)や不動産会社の株でしょう。為替の利益も狙うつもりならドル建てがいいでしょうね。

 Q31 マンションを買うのはどうですか?
 A ハイパーインフレが起これば値段が上がります。ただ、借金で買う場合には、混乱期にきちんと元利金を払えるめどがあるか考えてからにしてください。自分が失業すれば払えませんし、賃貸に出す場合も、テナントが倒産していなくなる危険性があります。

 Q32 住宅ローンはどうすればいいですか?
 A わたしなら、早めに変動金利型から固定金利型に変えます。固定金利のほうが金利は高いのですが、それも「保険」だと考えてください。

 Q33 金がいいという人もいますが?
 A 世界のインフレ率に価格が連動するので悪くはありませんが、オールマイティーではありません。金の価格はドル建てなので、日本で金を売買するときには、金自体の価格だけではなく為替にも影響されます。日本でハイパーインフレがくると、円安となって為替ではもうかる半面、金自体の価格が日本のハイパーインフレに追いつくほど上がるかは疑問です。

 Q34 藤巻さんが言う「保険」で損はしませんか?
 A ずっと「破綻」しなければ、損する場面もあるでしょう。しかし、損しても、「保険料」と考えるべきです。万が一、「破綻」が起きた場合、ドル建て資産でいくぶんでも救われる。まさに火災保険と同じ。火災が起きなければうれしい。

 Q35 未来はそんなに暗いのですか?
 A 韓国では、原因は違いますが、97年に通貨危機で「地獄」をみました。それが、今年の実質GDPの伸び率を5・8%と上方修正するなど、実体経済でも企業業績でも日本を凌駕しています。ウォン安のおかげでしょう。
 日本もトリプル安が起これば、10年後には大回復している可能性があります。ただ、当初の混乱はすさまじいと思われるので、その準備をする必要があります。大震災に備えて避難訓練をしておくのと同じです。

【コモディティストラテジー2011年】金、原油、穀物、銅は一段と上昇へ=丸紅経研

サーチナ 12月26日(日)11時44分配信

丸紅経済研究所代表の柴田明夫氏に、2011年の金価格の行方とともに、コモディティ市場を展望してもらった。柴田氏は、現在の米国の金融緩和が簡単に引き締めに向かわないこと、また、新興国の旺盛な需要などから、金価格をはじめとしたコモディティ価格の上昇は終わらないと見ている。

――金価格の高騰は続くのか? 

 2009年後半から資源価格は、急速に戻りつつあって、世界経済の予想以上の回復ペースを移している。特に原油が30ドル近辺から70ドル台に回復し、すでに1年以上にわたって70ドル-80ドルで安定している。資源の代表である原油が、90年代の20ドル弱から比べると、4倍のところで安定している。これにともなって、相対価格の調整が進んでいる。コモディティ価格の全体のバランスが、原油に合わせるというイメージだ。

 金は、必ずしも原油のように4倍ではない。90年代の前半に原油と金がバランスしていたときは、原油価格は20ドル弱に対して金の価格比は20倍くらいだった。ところが、90年代後半に金の価格の大暴落があって、400ドルから250ドルまで下げてくる過程で、原油の値段は変わらずに20ドル程度だったので、原油と金の価格比は10倍程度にまでなった。それが今、2000年代に入って、もとのレベルに戻りつつある。現在、原油価格が85ドルとすると、20倍で1600-1700ドルという金の値段がみえる。

 金の値段については、昨年10月に1000ドルを超えてからは、未知の世界であって価格の理論値などはなくなっている。そこで、ひとつの目安として金と原油の価格比を見てみると、このようなことがいえる。

 2010年夏以降の金価格の上昇は、米国の金融緩和、FRBの金融緩和が大きい。ギリシア問題が出て、アメリカの経済自体も住宅減税、自動車減税などの政策効果が剥げ落ちてくると、結局経済の実態が悪化し始めた。特に雇用環境が改善せず、住宅市場も再び悪化してきたので、米国の出口戦略はなくなった。また、デフレの問題から脱却するために、追加の金融緩和政策をとってきた。景気が良くなるまではゼロ近辺の金利を維持していく。基軸通貨ドルの金融の一段お緩和を受けて、流動性インフレで金を買う余地が出てきている。

 世界全体をみても、ヨーロッパのソブリンリスク、南欧州諸国の財政問題は長引く。世界的なソブリンリスク問題が出てきて、それに対する安全資産の逃避先としての金が注目されてきている。

 金の需給をみても、需要は新興国の台頭。中国もインドも金の需要は伸びている。インドは、今年も9%近い成長を遂げている。1000ドルを超える金の現物でも着実に需要が出てきている。中国も国家として金の外貨準備を増やしていく。これは、インド、ロシアも同じ。また、金ETFも引き続き資金を集めている。金は強い材料ばかりだ。

 ただ、勢いが強いので、ちょっとした金利の引き上げなどで、いったんは大きく下がるという局面もありうる。それでも、下げたら新たな買いが入るということで、来年は、1600ドル程度にはいきそうな感じがしている。

――金以外での注目コモディティは? 

 原油と穀物、銅地金には、上値がありそうだ。

 原油は、再び100ドル台に乗せてきそうだ。前回、2008年の年明けの100ドル乗せは、7月に150ドルに迫るところまで値上がりした。今回は、このような上昇はないと思う。2008年当時はその後のリーマン・ショックで暴落したのだが、現在は、70-80ドル台で下値が固まっている。これをベースにして、じわじわとレンジ相場の上限を上抜けてきている。これは、産油国と消費国が折り合いながら、原油の上昇を容認するような動きに感じられる。先進国の原油需要は頭打ち、または、マイナス傾向なのだが、BRICsをはじめとした新興国需要が押し上げている。一方で、先進国の在庫は過去最高レベルにあるので、原油の供給面に不安感は少ない。世界の石油需要の伸びに応じた、緩やかな上昇になるだろう。

 穀物は、基本的には原油価格が4倍になった影響を生産コスト面で受けてくる。近代農業は燃料代、化学肥料代、飼料代、農薬代など、これらは原油と関連している。特に中国など、賃金の上昇と農業資材の投入コストの上昇、海外を含めた農産物価格の上昇によって、食品価格が2桁に上昇している。また、中国では需要増で輸入が増えている。2010年は、大豆を5700万トン輸入した。トウモロコシも130万トン輸入して、いよいよ、中国がトウモロコシの輸入国に転換するのではないかと注目されている。

 そうなると、トウモロコシはアメリカが世界の生産の40%以上を占め、貿易量の6割を占める国。そのアメリカの国内ではトウモロコシのエタノール需要が増えていて、11月の農務省の見通しでも4割近くがエタノールに使われ、この比率は毎年増えている。これは、2007年12月にブッシュ大統領のときに成立したエネルギー安全保障法というのが利いている。脱中東、脱石油のなかで、エタノールを増やしている。この結果、米国のトウモロコシ輸出余力が低下する。中国が輸入国になると、アメリカくらいしか輸出できる国はないので、供給面に不安がある。

 すでに、トウモロコシの2011年7月末の在庫は6.2%に下がる見通し。大豆は5.5%。これは綱渡りの状況。6%の在庫は端境期には1粒もなくなってしまうくらいの状況。供給に少しでも懸念が出てくれば、投機マネーが大暴れしそうな、乾ききったマーケットになっている。

 銅は、中国にインフラ整備で大量の需要が見込まれる。2020年に向けて、中国は高速鉄道の整備を進める。50万人都市を新幹線で結ぶという計画を進めている。そこに合わせて電力開発が進む。これによって高圧電線の需要が膨らんでいる。

 また、モータリゼーションで、中国の自動車販売台数は、2010年に1800万台とういう数字が出てきている。2011年は2000万台という予測もある。それでも1000人あたりの自動車保有台数が40台に満たない。さらに来年は電気自動車が量産体制に入る。銅をはじめとするレアメタル、レアアースの需要が一気に拡大する。

 アルミの資源は多いのだが、銅は鉱山の品位が下がってきている問題がある。需要が旺盛なために枯渇の問題が浮上している。チリにある世界最大の銅鉱山の品位が1%程度だったのが、0.5%くらいに下がってきている。環境コストも価格に反映させられ始めた。銅の価格は8800ドル台をつけているが、来年は1万ドルもありえる。資源価格が上がることによって、省エネ・省資源、新エネルギーなどの開発が促されてくるが、新エネルギーの開発スピードが遅くなれば、従来型のコモディティの相場は上がっていくという図式が継続する見通しだ。

【コモディティストラテジー2011年】金の高値は継続し、工業用メタルにも注目=スタンダードバンク

サーチナ 12月26日(日)12時22分配信

スタンダードバンク東京支店代表兼支店長の池水雄一氏に金(ゴールド)を中心とした貴金属市場の見通しを聞いた。池水氏は、2011年のコモディティ市場は「2010年の流れを引き継いで強い」と見通している。また、「金以外の銀、プラチナ、パラジウムといった工業用メタルには、金以上の投資妙味がある」とする。

――2011年は、金の価格の見通しは? 

 金は、2011年も引き続き強い。最大の要因は、世界金融緩和の流れ、米国FRBをはじめとした世界の政府、中央銀行が、景気の腰を折らないために資金を市場に大量供給している。そういったお金は、本来であれば、設備投資など景気拡大のために使われるべき資金なのだが、今の状況は、本来の目的には使われず、市場に回流し、それが、金をはじめとした貴金属やコモディティ市場に入ってきている。このジャブジャブの流動性と低金利が変わらない限りは、金は強いと思う。

 また、ヨーロッパの財政危機など、「通貨」に対する不安が台頭していることも、代替通貨として金に注目が集まる理由になっている。これまで金に対する投資を行ってこなかったファンドなどが、どんどん金を買っていることの背景には、過剰流動性と通貨不安という2つの理由がある。これは来年も基本的に変わらない。世界的な金融緩和から、出口戦略へと方向転換が図られ、金融引き締めに動くようになると、金は売られるだろうが、2011年には、そのようなことにはならないと思う。

 一方、需給関係から見て、金については中国の動きが注目されている。たとえば、2010年1月から10月までに、中国が金を210トン輸入していることが明らかになった。2009年の同時期の輸入量が45トンだったので、ほぼ5倍に拡大している。その上で、中国は、世界一の金の産出国であり、年間約350トンを産出している。つまり、輸入と合わせて年間に約600トンを国内で消費している計算だ。このインパクトは大きい。

 たとえば、中国の銀行では日本に学んで「(金の毎月積み立てのような)金貯蓄」を導入する検討が進められているが、中国の4大商業銀行のひとつである中国農業銀行は、保有する個人口座数が3億口座ある。仮に1口座に1グラムずつ金を売ると3億グラム、すなわち、300トンの新規需要が生まれる計算だ。数億口座という単位で個人口座を持っている中国の商業銀行には、巨大な金購入のポテンシャルがある。基本的に、中国人は金が好きな国民であるだけに、「金貯蓄」という金融商品が生まれた場合の金の現物需要は、相当大きな数値になりそうだ。

 一方で、中国の中央銀行である人民銀行でも、外貨準備高に占める金の割合が欧米と比較して低いのを是正しようと考えられている。外貨準備高に占める金の比率は、米国や欧州先進国が60-70%を占めるが、外貨準備高の多い、中国、日本は、金比率が2-3%と異常に低い。代わりに米ドルを大量に持っている。サブプライム問題以降、米ドルの一極集中はリスクだと意識されてきている。そこで、中国では金の保有を2%から引き上げる議論がされてきている。

 この外貨準備の多様化という議論は、中国に限らず、韓国、ロシア、インドなど新興国の課題になっており、現在の米ドル偏重から金の保有高を引き上げるという動きがある。中央銀行は、ずっと金の売り手であったものが、2009年ごろから買い手に転じてきている。2010年から中央銀行セクターは、初めて明確にセラーからバイヤーに変わった。このような金の現物保有を伴う実需の買い手が現れたことは需給バランスの上では、買い方優位に働く。ファンドによる買われすぎで、高値になると下がるのだが、そこで実需の買いが入ってくると底堅くなる。その繰り返しによって、価格が上昇する動きが一段と強くなろう。

――2011年の高値のメドは? 

 もはや、最高値水準を駆け上がっているので、いくらまでという価格予測ができない水準になっている。あえて言うなら、1600-1700ドルがあっても不思議ではないといえるが、その価格には根拠がない。

――金以外で妙味のある貴金属は? 

 たとえば、2010年のパフォーマンスを振り返るとわかりやすいが、1月4日からもっとも値上がりしたのは、パラジウムだった。12月6日までの値上がり率を見ると、パラジウムが92%上昇している。次いで銀が82%上昇。金は28%の上昇だったことと比較して、大きな上昇率になった。プラチナは2009年のうちに値上がりしていたため、2010年は18%上昇にとどまった。

 この金と、他の3つのメタルは特徴的に違っていて、シルバー、プラチナ、パラジウムは工業用メタルといわれていて、実需が80%程度ある。プラチナは、自動車の排ガス用の触媒として使われている。プラチナがなければ、実質的に自動車が販売できないという状況だ。このように常に需要が存在しているので、景気が戻ってくれば、おのずと需要が入ってくる。

 金のように宝飾品として使われているものは、価格が高くなると誰も買わなくなる。シルバーは太陽光電池などに使われている。その需要が戻り始めている。しかも、この3メタルともにETFが組成されてきていて、ETFを通じて資金が入ってきている。すなわち、金と同じように投資資金が入ってきている一方で、実需でも旺盛な需要が出始めている。投資と実需の両面から資金が入ってきている。もし、投資するとすれば、金よりも、3メタルの方に妙味があると思っている。

.【コモディティストラテジー2011年】ペーパー資産への信用低下で金は一段高=第一商品

サーチナ 12月26日(日)12時46分配信

 第一商品フューチャーズ24の村上孝一氏に、2011年のコモディティの見通しについて寄稿してもらった。村上氏は、「世界の経済・金融の先行きが不透明なことや、先進国を中心とした量的緩和策による財政赤字拡大やインフレ懸念などにより、ペーパー資産に対する信用が低下しつつある中、資産運用先として商品先物が今後もより一層、注目される」とみている。

――2011年のNY金の予想レンジ 

 1トロイオンス=1250ドル~1700ドル。高値時期は、10月~11月頃、安値時期は、7月~8月頃。

――NY金の強材料は? 

 先進国を中心とした金融緩和政策による過剰流動性の継続。米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策の継続を背景とした、将来のドル安とインフレ懸念。米国の減税延長措置を背景とした米財政赤字拡大と米国債の格下げ懸念による、中・長期的なドルの信認低下。ユーロ圏の債務危機問題の長期化と周辺国への拡大懸念。新興国を中心とした中央銀行の金保有量増加見通し。中国やインドでの需要増加見通しなど。

――NY金の弱材料は? 

 米景気回復を示す経済統計発表によるドル高・米長期金利上昇、投資資金の株式市場などへの流出。 米FRBの追加量的緩和(QE3)の見送り。ユーロ圏の債務問題の後退。中国の金融引き締め策による国内景気の悪化と商品需要の減退懸念。米国での商品市場の持ち高制限導入など。

――2011年のコモディティ市場における注目の先物は? 

 金に注目している。

 2011年の金相場は、現在の中・長期的な強基調を継続するとみており、最大の注目材料は米FRBの金融政策。大型の所得税減税の2年間延長を柱とする包括減税法が成立したことで、経済や雇用の回復が期待されている。しかし、米FRBが重視している雇用情勢は失業率が10%近くの高水準にあるうえ、長期失業者の高止まりなどの本格的な改善を阻む構造的な要因がある。さらに、12月のFOMC声明では「雇用者は依然雇用増に消極的」と雇用情勢の厳しさを指摘している。現在の量的緩和第2弾(QE2)による米国債購入は2011年6月で終了するが、厳しい雇用情勢とインフレ指標に変化がみられず、FRBがQE3実施の観測が強まった場合や、7月以降にQE3に踏み切った場合、10月~11月頃に1700ドルを付ける可能性はある。

 米国の量的緩和や財政赤字拡大に加え、長期化の様相を呈しているユーロ圏の債務問題により、安全資産としての金の魅力が高まり、投資資金の流入が期待される。また、こうした要因から通貨に対する信用が低下することになれば、中国やインドなどの新興国の中央銀行が外貨準備高に占める金の比率を高めるため、金購入に踏み切る可能性もある。中国では経済成長に伴い富裕層を中心に金購入量が増加しているうえ、政府による金市場自由化策によりさらなる需要増加が期待されている。

 弱材料として挙げた4つの要因、特に米国の追加金融緩和が見送りとなった場合、2011年第3四半期にも1250ドルまで下落する可能性はある。しかし、強材料として挙げたように、通貨に対する不安感により、中・長期的な強基調は継続するとみている。

 また、白金系貴金属に注目している。

 米国の量的緩和策やユーロ圏の債務危機を背景に、先物市場や上場投資信託(ETF)への投資資金流入が継続するとみている。需給面では新興国を中心した自動車販売台数の力強い成長を背景とした自動車触媒需要の増加が期待される。特に、パラジウムはロシアの国家在庫が枯渇するとの観測が現実味を帯びるようだと、1000ドル台に乗せる可能性がある。

【コモディティストラテジー2011年】資産保全に加え投資用の需要増で金価格は上昇=エース交易

サーチナ 12月26日(日)13時24分配信

 エース交易取締役第一事業部長兼大宮支店長の大橋正直氏に、2011年のコモディティの見通しについて寄稿してもらった。大橋氏は、「資産保全、投資用需要の増大で金の上昇は続く」と見通している。

――2011年のNY金の予想レンジは? 

 1,300~2,000ドル。高値時期は12月頃、安値時期は2月頃。

――強気に見通す材料は? 

 欧州信用リスクが依然として根強く残っているため、安全資産としての魅力が急低下する環境にはない。また、米国では景気回復を示す明確な兆しが見られていないことから、更なる追加緩和が実施される可能性もあり、インフレ対策としての金の需要も継続されるだろう。さらに、中国では四大銀行を通じて個人向け金投資の選択の幅が拡充され始めており、資産保全の面だけでなく、投資用の需要も拡大すると見ている。

――弱気に見通す材料は? 

 経済危機からの回復を果たしつつある新興国、特に中国の金利動向に注意したい。世界最大の経済規模を誇る中国の利上げは、早期回復を目指す世界経済にとって重石となり、株式市場から商品市場へ波及し、全面安に直面する可能性もある。また、米欧が現在直面する問題についての抜本的対策案が打ち出された場合、急落を余儀なくされるだろう。各中央銀行、政府関係者の言動にも注目したい。

――2011年のコモディティ市場における注目の先物は? 

 世界的に金の注目度が上昇してきている。2000年以降、金の裏付けのあるETF(上場投資信託)が世界の主要取引所で上場され、年金基金を中心とした需要が増加した。また、ファンド等の資金も流入し、金市場は活況を呈している。その後、サブプライム・ショック、リーマン・ショックなどの経済危機を迎える度に、金の有用性が再認識され、発行体リスクのない実物資産としての地位を再構築してきた。

 一部の新興国を除いては、未だ経済危機からの立ち直りが見えず、米国では緊急緩和による過剰流動性資金の膨張が問題視されている。行き場を失った資金の一部が金市場に流れることが大きな価格変動要因となっており、「質への逃避」と呼ばれる資金シフトは今後も続くと考えられる。また、欧州では財政問題を抱える国が続出しており、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)の支援にも限界があると思われる。この状況がさらに拡大すれば、欧州経済の破綻は免れず、ユーロ脱退の苦境に立たされる国が出てくる可能性もある。ドル、ユーロ共に経済基盤が不安定であるため、通貨の信用が低下しており、実物資産である金が選ばれるのも道理といえる。

 世界最大の外貨準備高を有する中国では、2億を越える口座数を持つ中国工商銀行で純金積立の販売が開始され、また、11年中に店舗数を増加させる計画を明らかにしている。さらに、中国証券監督管理委員会(CSRC)が中国で初となる金ETFを対象とする投資ファンドの設立を承認したことで、個人向け金投資の裾野が広がりつつある。中国政府の指示の下、国内金備蓄の強化を図っているとの憶測が飛び交うほど、現在の金市場において、中国の動向は重要な要因とされる。

 欧米諸国の経済情勢の安定化の兆しが見られれば、金価格高騰の潮流が変化する可能性もある。ただ、金融危機時に金の売却益を株式の損失穴埋めに充てるなどして難を逃れた経緯などもあり、金融機関や各中央銀行が「ラストリゾート」とされる金を大量に手放すとは考えにくい。仮に大きく値を下げる局面があったとしても、アジア勢を中心とした現物の買いなどによって価格が支えられると見ており、長期上昇トレンドは11年も継続されると予想している。

【コモディティストラテジー2011年】資産保全に加え投資用の需要増で金価格は上昇=エース交易

サーチナ 12月26日(日)13時24分配信

 エース交易取締役第一事業部長兼大宮支店長の大橋正直氏に、2011年のコモディティの見通しについて寄稿してもらった。大橋氏は、「資産保全、投資用需要の増大で金の上昇は続く」と見通している。

――2011年のNY金の予想レンジは? 

 1,300~2,000ドル。高値時期は12月頃、安値時期は2月頃。

――強気に見通す材料は? 

 欧州信用リスクが依然として根強く残っているため、安全資産としての魅力が急低下する環境にはない。また、米国では景気回復を示す明確な兆しが見られていないことから、更なる追加緩和が実施される可能性もあり、インフレ対策としての金の需要も継続されるだろう。さらに、中国では四大銀行を通じて個人向け金投資の選択の幅が拡充され始めており、資産保全の面だけでなく、投資用の需要も拡大すると見ている。

――弱気に見通す材料は? 

 経済危機からの回復を果たしつつある新興国、特に中国の金利動向に注意したい。世界最大の経済規模を誇る中国の利上げは、早期回復を目指す世界経済にとって重石となり、株式市場から商品市場へ波及し、全面安に直面する可能性もある。また、米欧が現在直面する問題についての抜本的対策案が打ち出された場合、急落を余儀なくされるだろう。各中央銀行、政府関係者の言動にも注目したい。

――2011年のコモディティ市場における注目の先物は? 

 世界的に金の注目度が上昇してきている。2000年以降、金の裏付けのあるETF(上場投資信託)が世界の主要取引所で上場され、年金基金を中心とした需要が増加した。また、ファンド等の資金も流入し、金市場は活況を呈している。その後、サブプライム・ショック、リーマン・ショックなどの経済危機を迎える度に、金の有用性が再認識され、発行体リスクのない実物資産としての地位を再構築してきた。

 一部の新興国を除いては、未だ経済危機からの立ち直りが見えず、米国では緊急緩和による過剰流動性資金の膨張が問題視されている。行き場を失った資金の一部が金市場に流れることが大きな価格変動要因となっており、「質への逃避」と呼ばれる資金シフトは今後も続くと考えられる。また、欧州では財政問題を抱える国が続出しており、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)の支援にも限界があると思われる。この状況がさらに拡大すれば、欧州経済の破綻は免れず、ユーロ脱退の苦境に立たされる国が出てくる可能性もある。ドル、ユーロ共に経済基盤が不安定であるため、通貨の信用が低下しており、実物資産である金が選ばれるのも道理といえる。

 世界最大の外貨準備高を有する中国では、2億を越える口座数を持つ中国工商銀行で純金積立の販売が開始され、また、11年中に店舗数を増加させる計画を明らかにしている。さらに、中国証券監督管理委員会(CSRC)が中国で初となる金ETFを対象とする投資ファンドの設立を承認したことで、個人向け金投資の裾野が広がりつつある。中国政府の指示の下、国内金備蓄の強化を図っているとの憶測が飛び交うほど、現在の金市場において、中国の動向は重要な要因とされる。

 欧米諸国の経済情勢の安定化の兆しが見られれば、金価格高騰の潮流が変化する可能性もある。ただ、金融危機時に金の売却益を株式の損失穴埋めに充てるなどして難を逃れた経緯などもあり、金融機関や各中央銀行が「ラストリゾート」とされる金を大量に手放すとは考えにくい。仮に大きく値を下げる局面があったとしても、アジア勢を中心とした現物の買いなどによって価格が支えられると見ており、長期上昇トレンドは11年も継続されると予想している。

【コモディティストラテジー2011年】安全資産への逃避でNY金1800ドルも=日本ユニコム

サーチナ 12月26日(日)13時46分配信

 日本ユニコム調査課部長の菊川弘之氏に、2011年のコモディティ市場の見通しについて寄稿してもらった。菊川氏は、「安全資産への逃避で金が買われる流れは、2011年も継続」とし、NY金の価格は1トロイオンス=1800ドルもあると見ている。

――2011年のNY金の予想レンジは? 

 1200ドル~1800ドル。高値時期は12月頃、安値時期は3月頃。

――強気に見通す材料について

 リーマンショック以降、リスク商品が売られる過程の中で、損失補填的に金のロングが解消されて押し目を付ける場面は度々見られたが、振り返ってみると結果として良い押し目買いの機会を提供したことになっており、「安全資産への逃避」で買われる流れは、2011年も継続見通しだ。

――弱気に見通す材料について

 QE2が終了する6月以降、米国の出口戦略が見えてくるようなら、過剰な資金供給が解消され、順調な景気回復と共に金利が徐々に上がってゆく「良い金利上昇」となり、ドル・米株上昇、金利がつかない金(GOLD)は売られるシナリオも考えられるが、現段階でその確率は低いと見る。ただし、5月に株式市場で見られたフラッシュ・クラッシュのような動きには注意を払いたい。

――2011年のコモディティ市場における注目の先物は? 

 FRBは11月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、2011年6月までに6000億ドルの量的緩和を実施する事を決定した。過去にない規模の過剰流動性相場が継続しており、商品市場は需給よりも金融相場化した値動きが続く見通し。米国の財政赤字は巨大で、金融機関から政府へ危機が移行したに過ぎず、夏前後には不良債権問題の再燃も懸念される。ギリシャショックに端を発した欧州のソブリンリスクも、スペインや英国の危機に発展するリスクがあり、「通貨」の側面も持つ金が買われるだろう。

 アジアの中央銀行を始めとして外貨準備における金の比率を高める動きも継続見通しで、世界最大の金の生産国となった中国は、公的部門・民間部門共に、売り手としてではなく、金の買い手としての存在感が増しそうであり、名目ベースで史上最高値を更新している金が、2008年の原油市場と同様、インフレ換算した実質ベースでも史上最高値をトライする流れを予想する。2010年大きく上昇したパラジウムを始めとするPGM系も、ロシアの在庫枯渇や中国を始めとする需要増加を材料にETFへの資金流入が期待される。市場規模が小さいが故に、値が飛ぶリスクには注意を払いたい。

 また、ここ数年の大豊作にも関わらず在庫積み増しができていない穀物市場は、上値リスクが囃され易い。ラニーニャ現象の発生もあり、世界各地で異常気象が報告されている中、主産地での生育不良となるなら、「豊作でなければ旺盛な需要は賄えない構造」の穀物市場に投機資金は流入しやすく、それがインフレ懸念として金(GOLD)の買い材料にもなるであろう。

 さらに、中東情勢も懸念材料だ。イランのアフマディネジャ大統領・イスラエルのネタニヤフ首相共に対外強硬派で、オバマ大統領による中東和平の動きは後退しており、中東情勢の有事は、金・原油市場の買い材料となるだろう。