2011年12月1日木曜日

【バロンズ】米トップ資産運用者が語る相場動向─M・ミルケン氏やS・ゼル氏など

ニューヨークで開催された投資家向け会議「アイラ・ソーン・リサーチ・コンファレンス」をモデルとする「Invest for Kids」会議がシカゴで実施された。同会議は一部の米トップ資産運用者が集まり、最善の投資アイディアを提案するもので、収益はチャリティーに提供される。

 9日のシカゴはじめじめした雨模様だった。その日の株式市場は、イタリア国債の利回りが、後戻りできない地点(ポイント・オブ・ノーリターン)とみなされる7%を上回ったことを受けて、売りこまれた。弱気筋は、欧州の大半が金融崩壊に向かう取り返しのつかない軌道にあるのだろうか、と考えていた。


AFP/Getty Images

 また、長期にわたって先物取引の要塞となってきたシカゴの金融業界で、米商品先物仲介業者MFグローバル・ホールディングスの破綻で明らかになった約6億ドルの行方不明の先物口座顧客資金を巡り多くの向きが歯ぎしりしている。つい最近までMFグローバルの最高経営責任者(CEO)を務めていたジョン・コーザイン氏は良く知られたリベラル主義の民主党議員だった。しかし、イタリアをはじめとする脆弱なユーロ圏諸国の国債取引の資金繰りに充てるため6億ドルをくすねるというアイデアは、やや行き過ぎた富と所得の再配分のようにみえる。

 こうした全ての要素にもかかわらず、今回の会議は悲観的からは程遠いものだった。その基調は先週の最後の2営業日に見られた相場の急反発により正当化されたようにも思われた。また、投資不適格級(ジャンク)債の帝王と呼ばれたマイケル・ミルケン氏や不動産王のサム・ゼル氏などの大物も今回の会議に多数参加した。

 ミルケン氏は特定の投資アイデアは提供せず、講演時間の多くを費やして医学研究と教育改革および、証券詐欺罪での22カ月間の懲役後に設立したミルケン・インスティチュートというシンクタンクについて語った。ミルケン氏の見解は以下の通り。90年代以来増え続ける米国の肥満は、完全に予防できるものに対する年間1兆ドルの無駄な医療費の支出をもたらしており、さらに米国民は教育と比べ、住宅と移動手段(自動車)に多過ぎる支出を行っている。これは中国などアジアの社会の優先順位と正反対であるということ。

 投資に関しては、ミルケン氏の見解は極めて標準的だった。欧州連合(EU)の経済通貨統合はドイツやノルウェーといった北部諸国と、効率があまり良くない地中海沿岸諸国間の労働生産性の不均衡が、失業率の大きな格差につながっていることが問題だ。ソブリン債券は、歴史的にみてギリシャのような常習的なデフォルト国があまりにも多いために、いずれにしても健全な投資手段ではない。人口拡大と中流家庭の台頭のために、中国とマレーシア、タイ、フィリピンやインドといった諸国が明らかに投資すべき諸国となっている。

 一方、ゼル氏は新興諸国について発言するよう求められた。同氏が共同経営者を務める投資会社エクイティ・インターナショナルは過去約10年間にわたって20億ドル規模の投資資金を同セクターに配分している。一方、先進国の大半は人口減少に苦悩している。同氏は日本について、2050年までには退職者1人を勤労者1人で支えることになる見通しだと指摘した。

 また同氏は、エクイティ・インターナショナルの投資が特に注目しているブラジルについて集中的に発言した。ブラジルは食料とエネルギー、水の自給が十分。ブラジルの中流階級は現在の人口の25%から65%に急拡大している。同国のルラ前大統領といった社会主義の政治家でさえ、自由市場志向を強め、財政責任を負うようになった。ブラジルの主要都市の郊外では住宅やインフラの建設ラッシュで、50年代の米国が思い起こされるという。

 スターウッド・ホテルチェーンの創業者でスターウッド・キャピタル・グループのバリー・スターンリック氏は今後数年間の住宅用不動産市場の好転の兆候について言及した。世帯数の増加が続いていること、一部がルームシェア、あるいは親との同居を余儀なくされていること、低金利に加えて値ごろ感が強まっていること(賃貸コストは最近、数十年ぶりに住宅所有コストと同等になった)などで、先送りされた住宅需要が積み上がっていると指摘。

 住宅着工件数は30~40万件に落ち込んでいる。需要が通常の状況であれば、130万件の住宅着工が必要となる。住宅差し押さえや住宅ローンの延滞件数は減少し始めている。最も重要なことに、差し押さえ物件の投げ売りを除くと、実際、住宅価格の上昇が見られている。

 スターンリック氏は住宅建設業者のトール・ブラザーズを選好している。キャッシュポジションや土地在庫がしっかりしている上、(60万ドル以上の住宅といった)より富裕な買い手という特定市場に強みがあることが理由。富裕層は直近の大不況でもそれほど打撃を受けず、住宅の購入に向ける資産が十分にある。

 同氏はまた、ホームセンター大手のロウズも推奨する。ロウズは住宅建設が急増する際に繁盛が見込まれるという。同社はアパートの修理を行う顧客を取り込んで何とかうまくやってきた。ロウズはまた、自社株買いプログラムに積極的に取り組んでおり、スターンリック氏はロウズが最終的には発行済み株式全体の約70%を吸収する可能性があるとみている。さらにロウズは店舗の約90%を所有していることから、不動産取引への参加も可能だ。

 株式運用会社のガードナー・ルッソー・アンド・ガードナーのパートナーでバリュー株の投資家、トーマス・ルッソー氏は、スイスの食品大手ネスレや英ビール大手サブミラーといった欧州の多国籍大企業の株式を推奨する。こうした企業は売上高の大部分を欧州以外に頼っており、したがってユーロの下落はこれら企業にとっては収益拡大につながる可能性がある。

 同氏はまた、こうした企業の世界的な事業展開や新興市場への参入のうまさと粘り強さに加え、強いブランド価値も称賛している。

 オメガ・アドバイザーズのヘッジファンドマネジャー、リオン・コーパーマン氏は、米国の二番底のリセッション(景気後退)は予想していない。また、欧州の政治家が懸念を強め、欧州中央銀行(ECB)にユーロ擁護を十分に公約させ、波及懸念をかき消させることができれば、欧州の金融危機も最終的には後退すると確信している。同氏は米株式が多くの基準からみて割安とみている。同氏が言及する株式の一角に米衣料店、チャーミング・ショップスがある。

 アベニュー・キャピタル・グループのマーク・ラスリー氏は、米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)の株式に多くの価値を見出している。同氏は、GMの金利・税金・償却前利益、支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益(EBITDA)に対する企業価値(EV)がわずか1倍となっていることに言及した。フォードの場合はEBITDAに対するEVは3倍となっている。また、GMの破産申請後の債務は50億ドルにとどまっている。

商品ETFの資産総額:アジアで3倍に増加か、5-7年で-S&P

11月18日(ブルームバーグ):商品に裏付けされた上場投資信託(ETF)の資産がアジアで向こう5-7年間に約3倍に増加する可能性があるとの見方を、S&Pインディシーズが示した。

  ETFライセンシングの世界責任者、リード・ステッドマン氏は17日、ソウルでのインタビューで、ETFの資産はアジア太平洋地域で現在の約35億ドル(約2700億円)から約100億ドルに増加するとの見通しを示した。

  ETFセキュリティーズの10月28日のリポートによると、金に裏付けされた上場取引型金融商品(ETP)への資金流入がエネルギーと農産物関連のETPの資産の減少を上回ったため、商品ETPの資産総額は7-9月(第3四半期)に過去最高の1782億ドルに達した。株式のMSCIオールカントリー世界指数が過去2年間に1.5%低下する一方、商品相場の指標となるS&P・GSCIスポット指数は26%上昇している。

  香港在勤のステッドマン氏は「商品ETFは他地域で伸びているため、アジアでも増加する見通しだ。成長の余地があるのは間違いない」と述べた。

  ステッドマン氏はドイツ銀行のデータを引用し、アジアのETF資産のうち商品が占める割合は3.6%で、欧州の19%、米国の10.4%を下回ると指摘した。

  欧州の債務危機が続き通貨が下落する中、ブルームバーグのデータによると、世界でETPを通じて保有されている金の量は8月18日にピークの2330トンに達した。

銅相場:来年4-6月に「力強い上昇」、供給不足で-米ゴールドマン

11月21日(ブルームバーグ):供給の不足が予想される中、銅相場が来年4-6月(第2四半期)に「力強い上昇」を示すとの見通しを、米ゴールドマン・サックス・グループが示した。

  ゴールドマンのアナリスト、マックス・レートン氏とアリソン・ネーサン氏は20日付リポートで、銅需要は供給を2011年に17万6000トン、12年に18万トン、それぞれ上回るとの見方を示した。リポートは、銅相場が向こう3カ月間は1トン当たり8000ドルを、半年間は9000ドルを、1年間は9500ドルを、それぞれ上回って推移すると予想している。

  欧州の債務危機の影響で同地域の需要が抑制されるとの懸念が高まる中、銅相場は過去最高値の1万190ドルに達した2月以降、20%以上下落し、弱気相場入りした。欧州は世界の銅消費の約19%を占める。中国国家統計局によると、世界最大の銅消費国である中国の10月の鉱工業生産はエコノミスト予想を下回った。

バフェット氏:欧州株1銘柄に買い注文、十数銘柄に妙味-CNBC

11月21日(ブルームバーグ):著名投資家で米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、1銘柄の欧州株を購入する指示を今週出したことを明らかにした。同氏は米経済専門局CNBCとのインタビューで、欧州株の価格は「1年前に比べ合理的だ」と語った。

  バフェット氏はまた、英小売り大手のテスコ株が一段と下落した場合は買い増すと述べた。十数銘柄の欧州株に妙味があるとも付け加えた。

バフェット氏:オリンパス問題でも「日本で投資機会探る」-初来日

11月21日(ブルームバーグ):米著名投資家で米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏(81)が21日、初来日した。投資先の工具メーカー、タンガロイが福島県いわき市で開催した新工場の完成式典に出席するためで、市場では同氏の今後の日本に対する投資姿勢に関心が集まっている。

式典は当初、3月22日に予定されていたが、東日本大震災の発生を受け延期された。バフェット氏は21日午後1時過ごろヘリコプターで現地に到着。社員らを前にスピーチし、「世界の目は日本に、特に福島に注がれている」と述べた。訪日が実現し、「きょうは素晴らしい日になった」と語った。

バフェット氏は同日夕の記者会見で、オリンパスの損失隠しについて「ときどきあのようなことが起きるのは欧米も一緒だ」と指摘。日本には「たくさんの投資機会がある。持続可能な競争力を持つ企業の価値を勘案し、妥当であり、そのときの経営陣を信頼できれば投資する」と引き続き投資機会を探っていく方針を明らかにした。

  割安な銘柄に長期投資する「バリュー投資の父」と称されるバフェット氏は、米飲料最大手のコカ・コーラや住宅金融大手のウェルス・ファーゴなどに20年以上投資している。アメリカン・エキスプレス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などを保有する。同氏は日本について5月に安心して投資できる国との認識を示していた。

バークシャーは2011年に入り株式購入を拡大。特に株価が大きく下落した第3四半期(7-9月)に239億ドル(約1兆8300億円)を投じた。米ルブリゾールを90億ドルで買収したほか、バンク・オブ・アメリカ(BOA)の優先株や、半導体メーカーのインテル、電子決済ネットワークのビザ株式なども購入した。

バフェット氏は21日夜、いわき市の新工場の敷地内でブルームバーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、日本を含む世界市場での企業買収の可能性について「80億ドルから100億ドル(6000億-7700億円)の案件ならちょうどいい」と言及。ただ、「今のところ、具体的な計画はない」としている。

被災地訪問の意味

大震災から8カ月以上が経過する中、日経平均株価は11月18日終値で8374円と震災直後の安値8605円を下回り低迷を続けている。スパークス・グループの阿部修平社長はバフェット氏来日について、被災の中心地を訪れる意味は大きく、今後日本にもっと投資していくのではないかとの期待もあるなどと指摘した。

バークシャーの7-9月期の純利益は、デリバティブ投資の価値下落で前年同期比24%減の22億8000万ドルとなった。10月には米ゼネラル・エレクトリック(GE)が金融危機下の2008年10月に発行した優先株の買い戻しで33億ドルを受け取り、今月14日には米IBMの株式5.5%を107億ドルで取得し大株主になっている。

米誌フォーブスによると、バフェット氏は2011年世界長者番付でメキシコの富豪カルロス・スリム氏(740億ドル)、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ会長(560億ドル)に次いで3位(500億ドル)。米富裕層への増税や、ゲイツ氏らとともに資産を慈善事業に寄付する「ギビング・プレッジ」を働きかけるプロジェクトなどを展開している。

金鉱株:「ばね仕掛け」のように上昇か-金相場高値でも割安で推移

11月30日(ブルームバーグ):産金業界の利益は今年、ほぼ倍増すると予想され、金相場も過去最高値近辺で推移している。それにもかかわらず、金鉱株は少なくとも9年ぶりの割安水準で取引されている。

  指標となるNYSE・Arca金鉱株BUGS指数の先週末時点の株価収益率は17倍と、少なくとも2002年11月以来の低水準となり、過去5年平均の37倍を下回った。同指数の構成銘柄には、カナダのバリック・ゴールドや米ニューモント・マイニング、南アフリカ共和国のアングロゴールド・アシャンティなどが含まれる。

  欧州の債務危機の影響で企業収益予想が悪化する中、投資家は株式全般の売りに動いており、アナリストによる金相場や金鉱株の見通しを無視している。ブルームバーグが集計したデータによると、同指数を構成する16社の1株当たり利益の合計は今年、94%増加するとみられている。

  CQSグループ傘下のニュー・シティー・インベストメント・マネジャーズ(ロンドン)のポートフォリオマネジャー、ジョン・ウォン氏は「歴史を振り返ると、今は買いの好機だと言えるだろう。ばね仕掛けのような状態だ」と指摘した。同氏は金と銀の採掘会社の株式を保有する運用資産2億ドル(約160億円)のファンド、ゴールデン・プロスペクト・プレシャス・メタルズの運用責任者を務めている。

  金鉱株は今年に入って5.6%下げ、年間ベースでは08年以来の下落となる可能性が高まっている。一方、金相場は9月6日に最高値の1オンス当たり1921.15ドルに達し、年間ベースでは11年連続の上昇となりそうだ。

2011年11月20日日曜日

イタリアはすでにリセッション入りした恐れ=フィッチ

[ミラノ 17日 ロイター] 格付け会社フィッチは17日、イタリアはすでにリセッション(景気後退)に陥っている可能性があり、ユーロ圏経済の悪化でモンティ新政権の課題がより困難になったと警告した。
 フィッチは声明で「失業が増加するなか、構造改革と緊縮財政策に対する政治的な支持、および国民の支持を維持することは難しくなる」と指摘。「改革が効果的に実施され、中期的に経済成長を後押しするということを投資家に納得させることは、同じくらい困難になる」とした。

 またイタリア国債利回りについて、現在の水準で推移し続けた場合、イタリアの債務は持続不可能となる水準まで上昇していると指摘。2012年には総額1930億ユーロの国債償還が控えていることから、同国が市場から資金調達できる状況を保全することは「絶対に必要」との見方を示した。

 イタリアでは来年2月だけで360億ユーロの国債が償還を迎える。