産経新聞 12月4日(日)7時55分配信
中国の不動産市況が下降に向けた転換期に入り、銀行や市場に負の連鎖反応が起きることを懸念した異例の声明を、中国人民銀行(中央銀行)が3日までに公式ウェブサイトで公表した。「資産バブルの終焉(しゅうえん)」に対する警告と受け止められる。
人民銀行は声明で「不動産投資の伸びは弱含んでおり、開発業者の資金繰りが悪化。取引が減速し、不動産価格は転換期にきている」との認識を示した。
住宅価格の下落が続けば高騰を見込んで融資した多くの銀行に不良債権が膨らみ、経営破綻に追い込まれる懸念がある。
人民銀行では市場の住宅パニック売り誘発の連鎖反応も懸念。中国政府に効果的な予防措置を取るよう求めている。
中国国家統計局がまとめた10月の国内70都市の住宅価格は、新築住宅の価格指数が前月比で下落した都市が34都市と、前月の27都市から急増した。
今月中旬に発表される11月の数値はさらに悪化するとみられており、開発業者間の値下げ競争など、市場では売り急ぎの悪循環が起きていた。
人民銀行は11月30日に週明け5日からの預金準備率引き下げを発表。金融緩和策への転換を表明しているが、不動産価格の抑制策を堅持する方針は変えていない。「資産バブル終焉」警告を出しておくことで、週明けに市場が再び住宅価格の高騰に転じないようクギを刺した可能性がある。
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