[ボストン 26日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は、自身のヘッジファンドに投じられた外部投資家の資金およそ10億ドルを年内にも返還する。金融規制改革による業界への規制強化を受け、今後は自身と家族の資産運用のみを手掛けるという。
ソロス・ファンド・マネジメントは今後、家族経営となり、キース・アンダーソン最高投資責任者(CIO)は退職する。
ソロス氏の息子ジョナサン・ソロスおよびロバート・ソロス氏は投資家向けの書簡で、金融規制改革が今回の決定の背景にあることを明らかにした。
金融規制改革法(ドッド・フランク法)では、ヘッジファンドは金融当局への登録が義務付けられるとともに、取引に関する詳細な情報開示が求められる。だが家族経営の場合は、それほど厳格な規制の対象にはならないとされる。
返還資金は全体の運用額250億ドルと比べわずかで、資金返還による影響は軽微とみられている。また会社の規模も縮小することなく、ソロス氏もこれまで通り積極的に資産運用を行う見通し。
ソロス氏は40年近く前に「クォンタムファンド」を設立して以来、年間およそ20%のリターンを実現するなど、ヘッジファンド業界で輝かしい業績を収めてきた。だが最近では市場のボラティリティーを背景に、2011年上期の運用成績はマイナス6%となっていた。
ソロス氏の考えを良く知る関係筋によると、規制強化の流れの中で、時間もコストもかかる当局への登録を行うよりは、外部資金を返還した方がより理にかなっているとの結論に達した。
著名投資家のカール・アイカーン氏も今年に入り、同様に外部資金を返還している。
ニューヨーク大学スターンビジネススクールのジム・リュー金融学教授は「資産運用のトップが過度に負担の重い規制により店じまいを行っているのであれば、最終的には機関投資家にとって損失となる」と指摘。「現在の環境下では、雇用創出や資金の調達に加え、資金分配、最終的には景気刺激など、むしろヘッジファンドの活発化が必要」と述べた。
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