[ニューヨーク 27日 ロイター] 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が26日、毎年恒例の株主への手紙の中で、米国内への投資を進める意向を示した。
週明けの米国市場で注目を集めるとみられている。
バフェット氏は株主への手紙で、米国の経済や国民性を高く評価。市場関係者は、特にここ数年の手紙と比べ、驚くほど楽観論が目立つと指摘している。
バフェット氏は株主への手紙で「資金は常にチャンスの方に流れていく。米国には数多くのチャンスがある」と指摘。
「悲観的な予測ばかりする人は、極めて重要な点、確かな点を見逃している。人類はまだまだ潜在能力を使い切っていない。潜在能力を解き放つ米国のシステムは健在であり有効だ」と述べた。
バフェット氏は、住宅市場の回復が「およそ1年以内」に始まるとも予想。「米国の全盛期が待っている」とも指摘した。
国内最大級の鉄道会社、保険会社、銀行、消費財メーカー、流通企業の株式を保有するバフェット氏が、今回の手紙で、米経済の将来に太鼓判を押したと受け止めることも可能だ。
<早すぎた予想>
バフェット氏は2008年10月17日付のニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、「米国株を買っている」と表明。
記事が出た前日のS&P総合500種指数終値は946.43で、その後1週間、同氏のコメントは株価の支援材料となった。
ただ、寄稿のタイミングは完璧とは言えなかった。同指数はその後300ポイント下落、2009年3月に底を打った。
ただ、株価反転に対する懸念が広がる中でバフェット氏が明るい見方を示したのは、良い兆候だとの声も出ている。
ハリス・プライベート・バンクのジャック・アブリン最高投資責任者は「特に米国への投資にとって、好材料となることは間違いない。手紙の中で触れている資金の規模に驚いた」と指摘。
「週明けの株価上昇につながるかどうかは不明だが、バフェット氏は長期の投資家だ。人に先んじて動くことが多い」との見方を示した。
<大型買収を視野>
バフェット氏が、買収を通じて自力で株式市場を押し上げる可能性もある。
同氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N: 株価, 企業情報, レポート)は約80社を保有。保有株式の価値は数百億ドルに達する。
出資先の企業は鉄道会社からアイスクリーム会社まで様々だが、出資先として一番良く知られ、投資規模が最大となっているのが保険事業だ。
同氏は今回の手紙で、保険以外の事業を拡大する必要があると指摘。「象撃ち銃は再装弾され、引き金を引く指がムズムズしている」とし、「大きな買収」が必要だと強調した。
同社の手元資金は380億ドル。不測の事態に備えて100億ドルを手元に残しても、巨額の買収が可能だ。
バークシャーの株主である資産運用会社YCMNETアドバイザーズのマイケル・ヨシカミ社長は「バフェット氏は大型買収を狙っているはずだ。バークシャーには巨額の現金収入がある。何か大きなことが起きると予想している」と述べた。
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