[東京 16日 ロイター] 国債暴落時の処方せんを取りまとめ、民主党政権に警鐘を鳴らすため自民党の財務金融部会に設置された「Xデープロジェクト」は16日午前、日銀関係者からヒアリングを行った。今後、金融庁や学識経験者からのヒアリングを経て3月末までに提言を取りまとめる。
会合後記者団に話した宮沢洋一参院議員によると、日銀の企画局および金融機構局から3人が出席し、国債価格が長期間安定している背景や1990年以降4回発生している短期的な価格急落、今後長期金利が上昇した場合に大手行で想定される評価損の規模などについて説明があった。日銀側は、長期金利が1%上昇すると、大手行で2兆円の評価損が出ると説明。さらに国債価格が暴落する場合、国債を大量保有する金融機関による貸し渋りや貸しはがしが生じる可能性について対応策が課題との指摘もあったという。
日銀側は、過去の価格急落局面ではいずれも短期間に価格が回復しており実体経済への影響は限定的と説明した。これに対して、宮沢氏は「過去4回は風邪だったかもしれないが、今度暴落する場合は動脈瘤破裂でないか」とし、実体経済への影響に懸念を表明したという。
また、日銀側からは長期国債保有額を銀行券の発行内に収める「日銀券ルール」や、日銀による国債の直接引き受けは財政ファイナンスに当たるとしてこれを禁じる財政法について説明があった。これに対し、宮沢氏は、国債暴落局面での日銀による国債買い入れ増は財政ファイナンスに該当しないため可能ではないかと受け止めたという。
日銀:金利1%上昇なら大手行は年2兆円評価損-自民に試算提示
2月16日(ブルームバーグ):日本銀行は16日午前、自民党財務金融部会・X-dayプロジェクト(第4回会合)で、金融機関が保有する債権の価格変動リスクについて、金利が年1%上昇した場合、大手行は2兆円を超える評価損を被る可能性があるとの試算を提示した。
同党が国債暴落時の対応を聴取したのに対して報告したもので、座長代理の宮沢洋一参院議員が終了後、記者団に明らかにした。日銀からは梅森徹企画局審議役らが出席した。
宮沢氏は記者団に「初期的な応急措置の意味では、多くの対応は日銀がやらなければいけない。応急措置の中に間違いなく入ってくるのは、金融機関の経営危機に対してどう対応するかということだ」と語った。
宮沢氏によると、日銀側は会合で、国債価格暴落時の対応について、国の財政を助けるために国債を引き受けることは絶対にできないが、金融市場の安定の意味で市場から買い入れることはできるとの見解を示したという。
日銀は昨年9月28日に公表した「金融システムリポート」で、大手行の金利リスク量に関する試算を示しており、16日の自民党の会合では同リポートに基づき、機械的な試算として説明した。
0 件のコメント:
コメントを投稿