2月16日(ブルームバーグ):与謝野馨経済財政担当相は16日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、日本国債が財政悪化懸念から暴落する可能性はゼロだと強調した。同時に社会保障・税一体改革が進まなければ日本の信認には傷がつくとの懸念も示した。
与謝野氏は、巨額の財政赤字を抱えているにもかかわらず日本の国債価格が安定している理由として、国内に消化能力があることや、他に有望な投資先がないことを挙げた。その上で「財政の健全化を追求している国に対する信認がいまだ存在している。今、日本の国債が暴落するというのは可能性としてはゼロであると私は思っている」と語った。
財務省の2011年度予算関連資料によると、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高は11年度末で997兆7098億円と過去最大を更新する見通し。10年度末の段階では943兆1062億円となる見込みだ。
社会保障・税一体改革
与謝野氏は72歳。1月に「たちあがれ日本」を離れ、菅直人政権の最大の課題である社会保障・税一体改革の担当相に就任。6月をめどに政府案を取りまとめる重責を担っている。関係者と有識者で構成する「社会保障改革に関する集中検討会議」には、自民党時代の盟友だった柳沢伯夫城西国際大学学長(元金融担当相)を起用した。
与謝野経財相は消費税を含む税制抜本改革に関し、「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記した09年度の税制改正法付則104条の規定について「政府に対して11年度中に法的整備をせよ、税法の改正案を国会に出してそれを成立させろということを意味している」と強調した。
仮に104条の規定を政府が実現できなかった場合の市場の反応については、「日本の消費税はまだ5%と欧州の20に比べれば低く、税で国の収入を確保する余裕はあるというのは日本に対する信認の一つ。一体改革ができないと信認は傷つく」との懸念も示した。
古巣の自民党では林芳正政調会長代理(参院議員)を座長に昨年12月、「X-dayプロジェクト」が始動。年度内をめどに日本国債が暴落した場合の対応策について提言をまとめる予定だ。
与謝野氏は、国債暴落に備えた対応策を政府として検討しているかどうかについては「いろいろな方々が頭の中でシミュレーションをしているが、政府はまだそういうことを組織だってやる段階ではない」と語った。
自民党が対応策を検討していることについては「心配しなければいけないことの一つだが、自民党が心配するのはいいが、政府は心配していないと。政府が検討を始めたら心配があるということになってしまう」ともコメントした。
日銀の努力を評価
一方、日本銀行の金融政策については「ここ2年半の金融政策は非伝統的な金融政策であって日銀は通常時では考えられないレベルまで努力をしたと私は評価している。リーマン危機以降の金融市場の危機は日銀の努力によって回避されたと思う」との認識を示した。
その上で、日銀のさらなる金融緩和については「金利の水準からいって日銀がこれ以上、金利を引き下げることは不可能だ」との見通しを明らかにした。
米ドルについては「日本は対外資産をドルでたくさん持っているし、輸出もしているから、ドルの価値が維持されることは非常に大事なことだ。米国も自国通貨が『強い通貨である』という、その根本思想は捨てていないと思っている」と語った。
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