2011年1月8日土曜日

Byron Wien Announces The Ten Surprises For 2011

(転載)
ttp://www.thestreet.com/story/10958772/1/byron-wien-announces-the-ten-surprises-for-2011.html  

(1)ブッシュ減税と失業保険給付延長の継続により、貿易の改善と強い個人消費に支えられ資本消費に拍車がかかり、2011年のGDPは5%近くに上昇する。失業率は9%を下回る。

(2)連邦政府の財政赤字の増加と公的債務の上昇見通しにより、債券市場が圧迫される。10年債利回りは、外国人投資家のより厳しい姿勢から、5%に届くであろう。社債のスプレッドは狭まる。

(3)景気拡大のモメンタムに支援され、S&P500は過去最高値圏の1,500に接近する。幅広い銘柄が買われるが、通信と公益株はラグがある。利益の改善により、金融危機以降はじめて個人投資家が株式投資に戻ってくる。M&Aが活発化し、マーケットはユーフォリア状態に到達する。株式市場は金利上昇により年後半に調整する。

(4)インフレは落ち着いているものの、金価格は投資家の実物資産の需要に乗って1600ドルに達するだろう。ドルを外準として持っているソブリンウェルズファンド(SWF)が大きな買い手となる。ヘッジファンドは金価格が放物線状に上昇しており、金のポジションを売って、他の金属もショートしたいと考えているが、金は更に這い上がる動きを見せる。

(5)インフレと過剰な成長を心配して、中国は政策ツールとして自らの通貨を使うことを決めるだろう。中国は人民元の価格をアグレッシブに操作し、GDPを10%以下、CPIを4-5%のレンジに抑えようとしている。この操作は世界中で主要準備通貨としてのドルの代わりにRMBを含む通貨バスケットに適用させる兆しであるとみている。
 
(6)新興国の生活水準の向上により、農産物の需要が深刻なくらいに高まる。1ブッシェルあたり、とうもろこしは8ドルに、小麦は10ドルに、大豆は16ドルに上昇。商品はより多くの機関投資家にとって、ポートフォリオを構成するようになる。

(7)住宅の状況は改善する。売れない住宅在庫は高いものの、2010年の増加とは対比的に過剰供給は大幅に低下していくだろう。ケース・シラー指数は徐々に上昇し、住宅着工は60万件を超えるだろう。

(8)新興国需要の継続や、供給源が不足することから、原油価格は115ドルに上昇する。高い原油価格であっても(自動車の運転を減らすことには失敗するが、ハイブリッド車の販売が増加し、議会に省エネ対策を促すものとなろう。

(9)アフガニスタンではタリバン対策が遅れ、カルザイ政権の腐敗によるフラストレーションから、オバマ大統領は米軍の帰還を決断する。アフガニスタンは再度、軍閥支配の部族国家となる。オバマ大統領は撤退を2011年の終わりに多くの軍人の帰還を加速させる。テロリズムの脅威が高まる中で、イラクからの撤退も合わさって中東における西側のプレゼンスを低下させることになる。

(10)メルケル独首相が無理やり欧州の財政改革を進める。2014年までに財政赤字を半分にカットしなければならないことを約束した上で、EUやIMFからから追加支援を受けるであろうそれらの(財政基盤の)弱い国々は、増税や緩慢な成長に留まる。

(11)アフガニスタンやイラクの問題は沈静化するが、パキスタンと北朝鮮の問題は激化する。前者はテロリストの温床となってしまい、後者はさらなる敵対的攻撃を開始するだろう。中国はそのような問題に関与しなくなり、国際社会は無力化する。

(12)イランの国際的な制裁がワークし始める。アハマディネジャド大統領は核兵器開発計画を縮小する代わりに金融支援や海外投資を見返りとした交渉に入る。国内の若者により経済的な機会を与えるプレッシャーは政治変化の鍵となる要素である。イスラエルや米国の爆撃に関するトークはおさまる。

(13)金利の上昇や強い経済によりユーロや円に対してドルが強含む。緊縮財政や増税によって欧州の金融危機が治まり、日本経済はリセッションを回避する。米国はグローバル投資家にとって投資先として選好される。

(14)サラ・ペイリン氏が、保守派のティーパーティーの支持を受け、大統領選の共和党候補の使命獲得を目指すと表明する。より穏健な共和党員は彼女の立候補が2012年の大統領選挙において共和党候補の当選の可能性を減少させるのではないかと恐れている。共和党においてはテキサス州ペリー知事が対抗馬となるだろう。マイケル・ブルームバーグ前NY市長も候補だ。一方民主党では、リベラル派がオバマ大統領が自分たちを裏切ったと感じており、必死となって候補者を探すであろう。経済の改善によってオバマ大統領が2期目に入る可能性が最も高い。

(15)ロシア政府は同国が新興国市場で出遅れており、投資家に対してよりフレンドリーになる努力を行うことを決断する。クレムリンはさらなる核兵器の削減に同意し、同国に投資したい企業にとって法の支配の保証をする。

(16)より多くの州でマリファナ使用に関する法律が緩和される。薬物が中毒を引き起こさないことが認識されたことで、国民の(薬物に対する)敵対的な態度が過去30年で変わったことや、さらに刑務所の混雑状態を解消したいという願望が一緒になって、州議会はよりリベラルな立場を取るだろう。薬物乱用グループが憤慨するだろう。

(17)米国ではインフラの問題が深刻となる。NY地下鉄では電気的な問題で信号システムが故障し、数日間に渡って運行が止まる。ロサンゼルスのフリーウェイの交通渋滞がひどくなり、乗合などが奨励される。各州や地方政府は文句を言うが、ワシントンも資金不足で対応できない。

(18)主要な州で資金不足により地方債の利払い不能に陥り、地方債市場が大混乱となる。

(19)911テロから10周年の脅威があるにもかかわらず、2011年9月11日は諜報活動や監視などにより平和裏に終わる。

(20)活動家の鋭い運動は続くが、気候変動は米国において主要な問題ではなくなる。冬は寒いが、夏はそれほど暑くない。天然ガスの利用が高まることから、天然ガスの価格は6ドルに上昇する。しかし、欧州やアジアにおいては、環境問題への取組は前進する。

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