2011年1月14日金曜日

ハーバードとドレクセル仕込みのヘッジファンド、問題資産で大儲け

1月12日(ブルームバーグ):米ロサンゼルスに本拠を置くヘッジファンド会社、キャニオン・パートナーズの共同創業者、ジョシュア・フリードマン氏(54)は、カリフォルニア州のモハーベ砂漠やデスバレーを走る全長508マイル(約818キロメートル)の自転車レースで吹き飛ばされそうな強い向かい風を受けながらも、自らの担当区間86マイルを完走。疲れもほとんど見せずに自転車から降りた。

  個人トレーナーで2007年のレース時のチームメートの1人であるデービッド・ガラファ氏によると、フリードマン氏は「大いに楽しめた」と語ったという。

  フリードマン氏の持久力は、同氏とパートナーのミッチェル・ジュリス氏(55)によるキャニオン・パートナーズの経営手法にも通ずるものがある。両氏は1990年に同社を創業。190億ドル(約1兆5800億円)を運用し、ヘッジファドの収益性ランキングでは世界9位、運用資産ランキングでは同17位の業界大手に躍進させた。「ブルームバーグ・マーケッツ」誌2月号が報じた。

  フリードマン、ジュリス両氏はともにハーバード大学で法学士や経営学修士(MBA)の学位を取得して80年代初頭に卒業後、米証券会社ドレクセル・バーナム・ランベールに入社した。ジャンク債の全盛期だった当時、ドレクセルは両氏をカール・アイカーン氏ら企業乗っ取り屋と呼ばれる投資家の支援に使った。ドレクセルで投資技術を磨いた両氏は、同社の血筋を引いて銀行の貸付債権やジャンク債、住宅ローン担保証券(MBS)、航空機リース債権といった問題資産を中心に運用している。

ビジネスの基本

  「われわれのビジネスの基本は、取引価格が本質的価値から逸脱している混乱した市場と資産を見いだすことだ」とフリードマン氏は説明した。

  キャニオンの旗艦ファンド、「キャニオン・バリュー・リアライゼーション・ファンドLP」(運用資産90億ドル)は95年の運用開始以降、下落したのは2年だけ。多戦略投資テクニックを駆使し、市場の状況変化に応じて運用を見直している。2008年に同ファンドが損失を計上した後、フリードマン氏とジュリス氏は金融危機に乗じ、売られ過ぎた銀行融資債権やMBSに投資した。10年1-10月期のリターンはプラス11.5%と、運用資産10億ドル以上の好成績ヘッジファンド上位100本の中で51位。10年通期のリターンはプラス14.4%だった。

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