2010年12月8日水曜日

ルービニ教授:スペインは「巨象」、救済の場合は資金不足も

11月29日(ブルームバーグ):米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は29日、スペインは欧州の債務危機に生息する「巨象」だとして、同国を救済する十分な資金はないかもしれないと述べた。

  欧州各国は28日に、850億ユーロ(約9兆4000億円)規模のアイルランド救済パッケージで合意。懸念の焦点はスペインとポルト ガルに移った。

  ルービニ教授はプラハで開催された会議に出席。ポルトガルが次に金融支援を求める可能性は「極めて高い」とした上で、「部屋の中の巨象(誰もが口に出したがらない重大な問題)はポルトガルではなくてスペインだ。問題が起こった場合、スペインを救済するのに十分な公式の資金はない」と語った。

  HSBCホールディングスは、スペイン救済なら3年間で3510億ユーロが必要と試算。また、ノムラ・インターナショナルは欧州連合(EU)が4400億ユーロ規模の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)から拠出できるのは2550億ユーロだとみている。

  クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を使ってスペイン国債とポルトガル国債を保証するコストはこの日、過去最高を記録した。

  スペイン銀行(中央銀行)によれば、スペインの銀行は10年にわたる不動産ブームがしぼんだ結果、建設および不動産関連の問題債権1810億ユーロ相当を抱えている。7月に実施されたEUの銀行ストレステスト(健全性審査)ではスペインの銀行5行が不合格となった。

  ルービニ教授は「私の見解では、金融システムを大掃除するためのスペインの最終的財政負担は、政府がこれまでに見積もってきたよりもはるかに大きくなる」とし、「明らかに、ストレステストは十分なストレスを加えていなかった」と付け加えた。

  さらに、救済を必要とする国が増えれば、国家や超国家的機関の債務も増えると指摘。「国家や超国家的金融機関の債務再編を避けられなくなる時が到来するかもしれない」と語った。国際通貨基金(IMF)もそのような金融機関の1つだと述べた。

  ルービニ教授はまた、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加債券購入について、資産インフレを引き起こす可能性がある一方で、成長率押し上げ効果は0.2-0.3ポイント程度にとどまるとの見方を示した。

  同教授は、米当局の「量的緩和第2弾も米経済を潜在成長率に回復させるには力不足だろう」とし、「流動性の問題ではなく支払い能力の問題であり、金融政策によって解決することはできない」と解説 した。

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