12月23日(ブルームバーグ):産金最大手、カナダのバリック・ゴールドがタンザニアのケニア国境部近くに保有するノースマラ鉱山からは毎週、数百万ポンドの廃棄岩が掘り出され、村人が住む地域の周辺に積み上げられる。村人の約半数は1日当たり33セント(約27円)足らずで生活している。
制服姿の子供たちが岩のがれきの山を横切って登校する。その周辺では、頭の上に水の容器を乗せた女性たちが歩いている。金が少なくとも90年で最長の上昇相場となるなか、バリック・ゴールドは増産を進めている。それに伴ってがれきの山も高くなっていく。
ノースマラ鉱山は村人の祖先が何十年もの間働いてきた場所だ。村人たちも同鉱山で鉱石を採掘している。その作業は、時には命と引き換えになることもある。
被害者の遺族や目撃者、地元当局者、人権団体の活動家28人へのインタビューによると、わずかな現金を手に入れるため金が混ざった岩を集める人々を、警備員や警察官が銃撃し殺害したとされている。
地元政府の最高機関タリム地区協議会のメンバー、マチャジェ・バーソロミュー・マチャジェ氏は「彼らは逮捕したり、裁判所に連行したりはしない。銃撃するだけだ」と語る。
インタビューした28人によると、この鉱山では過去2年間に少なくとも7人が警備隊との衝突で殺害された。報道によると、そのうち少なくとも4件について、警察当局は銃撃が事実だと認めている。
負傷者も15人
4人の子供の父親だったムウィタ・ウェレマさんは2009年10月、金相場が当時の過去最高値を更新した日の翌日に殺害された。チャチャ・ニャマコノさんは家族の中で初めて基礎教育を終えた。その1年後に殺された。妊娠中の妻と将来を築く夢を膨らませていたダウディ・ニャガブレさんは2月に銃撃され死亡した。
タンザニアのダルエスサラームを拠点とする人権擁護団体、法と人権センターおよびマチャジェ氏によると、この間に15人が重傷を負った。同氏は8月まで地区協議会の副会長を務めていた。
バリックと、同社が株式の74%を保有する英アフリカン・バリック・ゴールドの文書によると、両社はノースマラ鉱山を警察当局に警備してもらうためタンザニア政府に資金を提供しており、武装した民間の警備員も雇用している。
金相場は過去5年間で約3倍に高騰し、今月7日には最高値の1431.25ドルに達した。ノースマラ鉱山での暴力行為は金相場高騰の残酷な配当なのかもしれない。
アフリカン・バリックはこの状況に関する質問に文書で回答を寄せ、ノースマラ鉱山には侵入者グループが頻繁に入り込み、武装している場合も多いと説明。これらの人々は価値のある鉱石を盗む目的で違法に侵入していると語った。
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