2010年12月18日土曜日

2011年相場をどう見るか-若林英四氏

2010年12月7日
米国長期金利のサイクルを見ると、およそ60年でワンサイクルを描く傾向があります。過去の長期金利のピークを見ると、1861年に6.45%を付けた後、2.2%まで低下。次のピークは59年後の1920年で、この時が5.27%でした。
そして、1946年には2.53%まで低下し、さらに次のピークは、61年後の1981年につけた14.17%でした。
このピーク時から27年後の2008年12月に、米長期金利は2.04%まで低下。これが、直近のボトムであると考えます。実際、米長期金利は2010年8月にかけて低下しましたが、2008年12月の2.04%を割り込むところまでは下がりませんでした。次に米国の長期金利がピークをつけるのは、2040年前後ということになるでしょう。
これからは円安が進んでいくはずです。目先としては、来年中頃くらいまで円安トレンドが続き、1ドル=90円前後を目指す動きになりそうです。
ただ、そこから先は、再び円高の傾向が強まるでしょう。2012年の1ドル=74円に向かって、円高ドル安が進むと見ています。

2011年前半は、米国の上院・下院での与野党ねじれ議会が波乱要因になってきます。2011年4月には米国政府の借入額が、デッドシーリングという借入限度額の14兆ドルに達します。それ以上の借金をするためには、シーリングの拡大を議会で通す必要があるのですが、周知の通り、下院の多数派を形成している共和党は、これ以上の財政赤字の拡大を容認しません。当然、シーリングの拡大を巡って、与野党の駆け引きが行なわれます。仮に、シーリングの拡大を認めないということになったら、ガバメント・シャットダウン(ねじれ議会の為に予算が通らず政府の法案などが滞ってしまう事)です。そこまで行くかどうかは分かりませんが、いずれにしても、米国の財政赤字とねじれ議会が、前半の大きな波乱要因になるでしょう。

そして2011年後半は、この間、米国の長期金利が上昇を続け、10年利回りが4%を超えてきた段階で、改めて米国のソブリンリスク問題がクローズアップされてきます。これがドル売りパニックに火を付け、2012年の1ドル=74円台に向けた、ドル安の引き金になってくるのです。
ちなみに、ドル安が進めば、円だけでなくユーロも買われます。今はユーロ圏のソブリンリスク問題が注目されていますが、基本的にユーロは、2010年6月につけた1ユーロ=1.18ドル台がボトムで、今後は1.65ドルを目指したユーロ高の展開になると見ています。

来年半ばにかけてはドル高トレンドですから、恐らく金は下げるでしょう。基本的に金価格は、ドル高で下落し、ドル安なら上昇します。
ところが、2010年11月中は、ドル高が進むなかで金価格も上昇しました。このようなドル高・金価格上昇という現象は、過去においても非常に珍しい状態です。したがって、このような動きは、長続きしないと思われます。
今、金のマーケットは、大勢の市場参加者がロングの状態になっていますから、何かの拍子に金価格が下げると、皆、高所恐怖症で一気に売り浴びせてきます。恐らく、1トロイオンス=1450ドル前後が目先のピークで、そこから300ドル幅の下げが起こるのではないでしょうか。
ただ、その後は2012年にかけて再びドル安トレンドが考えられますから、この間、金価格は再びピークを目指す動きになるはずです。つまり、まだ上昇余地は残されているということになります。

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