10月13日(ブルームバーグ):英貴金属調査会社GFMSのポール・ウォーカー最高経営責任者(CEO)は、金価格が高値を更新し、早ければ年内にも1トロイオンス当たり1400ドル程度まで上昇する可能性があるとみている。景気に対する世界的な不透明感やドル安、低金利などを背景に投資家による金価格の上昇期待が高まっているという。
ウォーカー氏は13日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、金価格の今後の見通しについて「投資意欲がどれだけ旺盛であるかをわれわれは過小評価している」と指摘した上で、「小口投資家の金投資があれば1400ドルに達しても意外ではない」と述べた。
金の現物価格は今月7日に、1トロイオンス1364.77ドルまで上昇し、過去最高値を記録したが、ドルなどの代替投資先としての金の需要は根強く残っている。この日の午後5時21分現在の価格は前日比8.7ドル高の1359.05ドルで推移している。
ウォーカー氏は同日、都内で開かれた講演会で、歴史的高値圏で推移する金相場について、「現状を維持するためには年間1000億ドルから1500億ドル程度の投資が必要」と指摘。ただ、ドル安や欧州のソブリン債危機などを理由に金市場へのマネーの流入がすぐに途切れることはないとみており、金相場が今後6カ月以内に1300ドルを下回ることはないという。
金価格の上昇率は年初来で24%程度と、ニッケルを除く非鉄金属や株式、国債などを上回っている。
GFMS予想
GFMSのまとめによると、10年の世界の金供給量は前年比2.6%増の4389トンとなる見通し。鉱山生産量が2637トンと2.4%増加するほか、中古金スクラップは1753トンと4.8%増える。一方、需要も2.6%増の4389トン。宝飾品など加工用が3.4%増の2499トンとなるほか、金塊退蔵は59%増の337トン、正味退蔵投資は7.6%増の1503トンに増加する。
中央銀行など公的部門は「買い手」に転じる見通しだ。前年は純供給量が30トンあったが、今年は純購入量が15トンになるという。欧州の中央銀行の買いなどが影響する。
ただ、ウォーカー氏は、「どのような基準に照らしても、欧州のほとんどの中央銀行では金の比重が超過しており、売り出しに出るところがいくつか出てくることになるだろう」と言い、来年か再来年には50-150トン程度の純売却量を示すとみている。半面、これらを資産のポートフォリオ形成のために金塊を求めている新興国が吸収していくという。
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