9月28日(ブルームバーグ):会社更生法の適用を申請した武富士について、米金融機関モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスが株式を空売りしていたことがブルームバーグ・データで分かった。
24日現在でモルガンSは229万株(武富士株の1.6%)、ゴールドマンは176万株(同1.2%)を空売りしている。この空売りは顧客取引に絡んだヘッジも含まれるが、基本的には株価値下がりを予想した取引。更生法を28日に申請した武富士株はストップ安(値幅制限いっぱいの下落)となる24日終値比55円(32%)安の116円で取引を終えた。
モルガンSの渡辺美嘉広報部長とゴールドマンの松本弘子報道担当は、空売りは個別取引だとしてコメントを控えた。この空売り報告はリーマンショック後の株式相場下落を受けて2008年11月から実施されている。企業の株式の0.25%以上を空売りした証券会社(投資家は証券会社を通じて)は東証に報告義務がある。東証報告書によるとモルガンSは53銘柄、ゴールドマンは31銘柄の空売りをしている。
明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリストは、武富士の財務体質への不安が以前から市場で根強かったと前置きした上で、「武富士破たんに備えて取引先などが外資系証券を通じて保有株のヘッジ売りをしていた可能性がある」と指摘した。
投資家、空売りしかける
武富士、アイフル、プロミス、アコムの消費者金融4社の株価は1999、2000年に上場来高値を付けた後、下落基調にある。特に最高裁判所が利息制限法の上限を超える「グレーゾーン金利」支払いを無効と判断した06年初以降は下げ足を速めた。4社ともに2009、2010年に上場来安値を更新している。
BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳執行役員は、武富士は年内破たんが避けられないとの見方が多かったとして「株券さえ調達できれば空売りを仕掛けたいと考える投資家は少なくなかった」と述べた。また「モルガンSとゴールドマンの株券調達力にはあらためて感心した。自己取引部門のショートも一部あるだろうが、大半は顧客や投資家からの空売り注文だろう」と予想した。
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