2010年 08月 16日 16:51 JST
円債市場でイールドカーブのブル・フラット化の持続性を疑問視する声があがっている。今回のブル・フラット化は米国の景気減速による金利低下が背景にあり、しばらくは現在のモメンタムが続くとみられているが、マーケット内で観測が強まっている日銀の追加金融緩和策が秋口にも具体化された後は、材料出尽くしから超長期セクターの金利の振れが激しくなるとの見方が出ている。
日本におけるイールドカーブのブル・フラット化は、欧米の金利低下に日本の機関投資家が背中を押され、運用資金が長期/超長期ゾーンにあぶり出されている展開で、「ファンダメンタルズというよりは、国内金融情勢や需給バランスを反映した面が強い」(外資系証券)との指摘がある。とくに日本の超長期セクターは、銀行勢を中心にしたディーリングにより、金利が急低下してきた分、先行き金利の振幅が大きくなることを想定する市場参加者が多い。
ビー・エヌ・ピー・パリバ証券東京支店・投資調査本部長の島本幸治氏は「日本のイールドカーブのブル・フラット化は、決して安定的なものではない」と話す。8月から9月にかけての円債相場を展望すると、米国で起こっている景気減速が鮮明となる中、日米ともに中央銀行の金融緩和催促相場という側面が強まると思われ、しばらくは今のモメンタムが続くとみられている。日銀に対しては、9月の金融政策決定会合へ向け内外の政治的なプレッシャーが高まることが想定でき、米国でも9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では量的緩和の本格化で、再度、国債買い入れ額を増やしてくる可能性がある。
この日米の政策対応が具体化した後は、材料出尽くしなどから「超長期ゾーン中心に変動率(ボラティリティ)が高くなることが想定できる」(外資系証券)という。
米債金利は全体的に下がり、10─30年債利回り格差が縮小する場面も出てきてはいるが、「米債でフラット化が起こっているかというと、超長期セクターのスプレッドは、むしろ開く方向にあり、手前のスプレッドがつぶれ、長いゾーンはスティープ化する傾向にある。円債のイールドカーブにも微妙な影響を9月以降、与えるのではないか」(外資系証券)との見方も出ている。
(東京 16日 ロイター)
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