7月26日(ブルームバーグ):欧州経済への信頼感が強まる一方、米景気減速を裏付ける兆候が増える中、ユーロ弱気派が勢いを失っている。
ユーロは今年初めの1ユーロ=1.45ドル付近から下落。これに沿って為替ストラテジストはユーロ相場の見通しを引き下げてきたが、6月初め以降の予想中央値は1.20ドルの上下2セントにとどまっていた。そんななか、ゴールドマン・サックス・グループとウェルズ・ファーゴは過去2週間でユーロの見通しを上方修正。HSBCホールディングスやドイツ銀行のユーロ高予想に追随した。
域内の債務危機によりユーロの存続が脅かされる中、ユーロは1-6月(上期)に15%下落したが、ドルが6月の4年ぶり高値から8%下落したのを受け、投資家の注目は米国に移っている。シティグループの指数によると、今月は米国の経済指標がエコノミスト予想を2009年3月以降で最も大幅に下回った。一方、ユーロ圏の指標は4月以降、予想を上回る状態が続いている。
HSBCの世界為替ストラテジー責任者デービッド・ブルーム氏は「ユーロ圏崩壊の観測が過熱したため、米国も固有の問題を多く抱えている事実が忘れ去られていた」との見方を示した。同氏は6月初め以降、ユーロの年末予想を1.35ドルとしている。
ユーロ圏の高債務国による歳出削減の発表や、欧州連合(EU)が5月に取りまとめた計7500億ユーロの緊急支援を受け、ユーロの信頼感は回復した。スペイン、ポルトガル、アイルランド、ギリシャは7月13日以降、計170億ユーロ強の国債入札を成功させた。
景気回復ペース加速
ドイツのIfo経済研究所が23日発表した企業景況感指数が、予想に反して2007年7月以来の高水準に上昇したことや、英マークイット・エコノミクスが22日発表した7月のユーロ圏総合景気指数が56.7と、前月の56.0を上回ったことも、欧州の景気回復の勢いは加速するとの観測を後押しした。
欧州銀行監督者委員会(CEBS)は23日、欧州の91銀行を対象にしたストレステスト(健全性審査)の結果を発表し、不合格は7行で、不足する資本総額は35億ユーロ(約3900億円)だったと明らかにしたが、投資家の間に驚きはほとんどなかった。
先週のユーロは前週比ほぼ変わらずの1ユーロ=1.2909ドルで取引を終了。前週までは3週連続で上昇していた。06年3月以来の安値1.1877ドルに下落した6月7日以降の上昇率は8.7%。
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