7月6日(ブルームバーグ):米ハーバード大学教授で、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏は、中国の不動産市場の「崩壊」が始まりつつあり、これが同国の銀行システムに打撃を与えるとの見方を示した。
ロゴフ氏は香港でブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、中国経済が「特に現在のような速度で」成長するにつれて「障害にぶつかるだろう」と指摘した。また、世界的に景気回復ペースは「非常に遅い」が、リセッション(景気後退)に戻る危険性は「高まっていない」と述べた。
ロゴフ氏と同様の懸念は、投資家の間にも広がっている。上海総合指数は先週、過去1年余りで最も安い水準に下落した。
中国の国内総生産(GDP)は今年1-3月(第1四半期)に前年同期比11.9%増と、2007年以来の大幅な伸びとなった。これを受け、中国当局は不動産投機の取り締まりを強化した。一部の住宅購入についてローン金利の最低水準と頭金比率を引き上げたことが影響し、主要70都市を対象とした政府の調査で5月の不動産販売額は前月比で25%減少。不動産価格は前年同月比12.4%上昇と、4月の12.8%上昇から伸びが鈍化した。
ロゴフ氏は、「不動産の崩壊が始まりつつあり、銀行システムに打撃を与える」と指摘。「中国当局は数多くの政策手段と極めて優れた管理能力を有しているが、簡単にはいかない」と述べた。
また、中国の輸出がこれまでと同様のペースで拡大し続けると考えるのは非現実的だとし、「中国は、どこかの時点で成長戦略の方向転換が必要だ」との考えを示した。
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