2010年6月24日木曜日

【バロンズ】プラチナ相場が上昇する理由

6月24日7時57分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル

 プラチナ相場は5月、他の金融相場と歩調を合わせて急落した。世界経済の成長に対する期待が後退したことが理由だった。

 1月のプラチナETF(上場投資信託)の上場をめぐる高揚感や、世界的なリセッションの終えんと製造業需要の回復期待を背景に、投資家は今年初めにプラチナ相場を押し上げた。しかし、欧州のソブリン債危機や経済成長の鈍化、コモディティー需要の後退を受け、投機筋はプラチナを売却した。

 プラチナは5月に付けた安値から緩やかに回復したが、依然として高値を9.8%下回る水準で推移している。短期的な見通しは、良く言って不安定だ。しかし中長期的、つまり年末から2011年にかけて、輝きを一部取り戻すのはほぼ確実だ。

 ニューエッジの貴金属世界責任者、マイク・フローリー氏は、世界経済が落ち着くまで、プラチナ相場はレンジ取引となる可能性が高い、と述べた。同氏は「短期的には右下がりのレンジで推移する可能性がある。ただ、中長期的にはプラチナは好ましいとみる」と述べた。

 フローリー氏によると、自動車の需要は増えている。重要なことだ。プラチナはラッパーが好む装身具であるばかりではない。最大の用途の1つは、自動車排ガス浄化用の触媒だ。アジアと米国で自動車の販売が伸びるなか、プラチナの使用も増加する見通しだ。

 バークレイズ・キャピタルは、同様の理由でプラチナの中長期的な動向にポジティブな見方をしており、鉱山からの供給はほどほどの増加にとどまる、とした。バークレイズはリサーチノートで、第3四半期と第4四半期の平均価格をそれぞれ1オンス当たり1610ドルと1710ドルとした。18日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でプラチナ先物7月限は前週比3.9%高の1587ドルで引けた。

 市場の専門家は目先、「ETFSプラチナ・トラスト」の動向に注目している。このETFのスポンサー、ETFセキュリティーズは、当初478万株(残高47万8000オンス)、5月下旬にさらに644万株(残高64万4000オンス)を発行している。このETFは現物に裏づけされている。

 ETFセキュリティーズの製品・事業開発責任者Fred Jheon氏は、相場の下落にもかかわらず、ETFからのまとまった資金流出はないとし、相場が大きく下げても懸念はしていない、と述べた。同氏は「利益確定の売りがあるだろうが、これは参加者が安い価格で買い付けられることを意味している」と述べた。

 ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会も、相場に影響を及ぼす可能性がある。最大のプラチナ鉱山の擁する南アは電力サービスが不安定なことで有名だ。政府は試合に必要な電力が供給されることを保証している。これはつまり、鉱業などの産業から電力が引き剥がされることを意味している。鉱山が閉鎖されれば、価格は一時的に跳ね上がる。しかし、フローリー氏によれば、W杯の影響はこれまでのところ、出来高が時折減少する程度にとどまっている。

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