(転載)
2010年05月03日
マーク・ファーバーのブルームバーグでのインタビューが今日、かなり話題になっています。
ニュースの見出しは彼の中国株暴落予言の事ばかりに注目していますが、ギリシャ問題やドルなど、それ以外の投資対象に関してもかなり果敢な予測をしています。
ブルームバーグ:「ギリシャはどうなるとおもいますか?最善、最悪のシナリオを教えて下さい。」
マーク:「これはマネタイゼーションの過程のひとつだとみなすことができる。今、世界のいろんなところで同時に進行している現象の一部だ。ユーロは引き続き弱くなるだろう。
今後他の国も救済の対象となり、ギリシャは厳しい緊縮財政を敷き、深刻な景気後退に見舞われる。
ギリシャの財政赤字を13%から3%に圧縮すると経済そのものが委縮してしまい、景気が悪くなる。するとギリシャの借金返済能力も同時に失われてしまうということだ。
別の言い方をすれば今、ギリシャは救済されても、先々を考えるといずれデフォルトする。だから今回の救済劇でユーロが騰勢に転じると考えるのはまちがい。
資源株に関してコメントするとオーストラリア政府が資源の掘り出しに対して課税することをはじめたのは鉱山会社にとっては負担増だが、供給を細らせる効果があるということは商品価格の上昇要因だろう。」
ブルームバーグ:「つまり今回のギリシャの救済は危機の飛び火の危険性を完全に除去したことにはならないという意味ですか?」
マーク:「いま話題にのぼっている全ての問題国は、遅かれ早かれ、全て救済されることになるだろう。どんどんお札を印刷することで窮地をのがれようとするシナリオもあるしデフォルトの可能性もある。とりわけ深刻なのは各国が抱えている年金、社会保障、医療保険などの積み立て不足だ。これらは全てデフォルトする可能性がある。そうなると目も当てられない時代が来る。」
ブルームバーグ:「あなたはギリシャをEUから脱退させるべきだと主張しましたが、いまでもそうかんがえていますか?」
マーク:「企業だったら倒産するのが自然だから、ギリシャも企業と同じと考えればデフォルトされるのが筋というものだろう。でも既に多くの人がギリシャに貸し込んでいるので、それは簡単ではない。」
ブルームバーグ:「ギリシャがこけたら、世界経済の回復のモメンタムは鈍化すると思いますか?」
マーク:「ギリシャは余り関係ないだろう。でもソブリン債に対するプレッシャーは多額の借金を抱えている消費者の借金のコストが上昇するという形で跳ね返って来る可能性はある。また米国は今後、景気刺激プログラムを縮小してゆかねばならないから、悪い時に悪いことが重なる。マーケットの語りかけている事に耳を澄ませれば、鉱業コモディティの株は下がり始めている。これはなにかがおかしいことを示唆している。」
ブルームバーグ:「中国についてはどうか?」
マーク:「中国からはいろいろな兆候が発せられている。それはバブルが起きているというシグナルだ。1873年の世界万国博覧会(ウィーン)の開催前はすごく景気に対する楽観論が広がった。そしてウィーン、オーストリア、プロイセンでは不動産ブームが到来したのだ。しかし博覧会の開催前半年あたりに相場は天井を打った。そして1870年代の大不況が始まった。この不況は15年も続いた。だから上海万博も不吉だと考えている。」
ブルームバーグ:「上海総合指数はPERで22倍だが、どう思うか?」
マーク:「中国の株価は割高だ。ひとつハッキリさせておきたいことがある。それは若し中国の不動産市場が投機熱に包まれているのなら、不動産市場の投機を抑えようとすると、それが株式市場に流れる可能性が無いとは言い切れない。しかしテクニカル分析で見ると中国のチャートは醜悪だ。相場は2009年6月に既に大天井を打っており、明快なダウントレンドに入っている。2009年11月の戻り高値は6月のそれより低い位置だった。そして今は安値模索の展開になっている。香港ハンセン指数も大体おなじような展開だ。だからマーケットは何か歯車が狂い始めていると警鐘を発していると素直に受け止めるべきだ。次に工業コモディティの価格、また鉱業が重要な地位を占めるオーストラリアなどの株式の価格を見るとフリーポートだろうがリオチントだろうが、皆、頭が重い展開となっている。だから中国の経済はどちらにせよ減速するということをこれらの価格は示唆しており、もっと可能性の高いシナリオは向こう9カ月から1年くらいの間に中国株が暴落するシナリオだろう。」
ブルームバーグ:「中国は売りか?」
マーク:「投資家は人それぞれだからね。短期の投資家なら戻りを取りにゆくという戦法もあるだろうけど、僕はそういうことはやらない。」
ブルームバーグ:「人民元の切り上げは?」
マーク:「ある時点では人民元は上昇しないといけない。でもいまの世界を見回してみると、全ての政府が紙幣を沢山刷っている。だからこれらの紙幣が価値を失うのは時間の問題だ。だからゴールドだけが安心できる。中国で不動産への投機が規制されたら、お金がどこに向かうかと言う問題に話を戻すと、一番、可能性が高いのは実はゴールドへ向かうということだ。」
ブルームバーグ:「ドルについては?」
マーク:「ドルは去年の11月に売られ過ぎになった。逆にユーロは買われ過ぎだった。今はフェア・ヴァリューだろう。ただマーケットはオーバー・シュートするので、さらにドルが買われる可能性もある。繰り返し言えば、ドルだろうが、ユーロだろうが、全ての通貨は紙幣の刷りすぎで将来、価値を失う。だからゴールドが最善だ。」
ブルームバーグ:「ゴールド以外ではどういう投資戦略を持っているのか?」
マーク:「中国の成長に関係ある投資先、たとえば資源株とかは全部売りだ。また中国関連株と言われるものも避ける事。コモディティ関連では強いて言えば穀物が良い。」
ブルームバーグ:「タイランドはどう思うか」
マーク:「私はタクシンには同情しないがタクシンの支持層である赤シャツには同情する。なぜなら彼らは経済発展の恩恵に浴することができなきなかった人達だからだ。タイランドの経済の75%はバンコク首都圏で稼ぎだされているので農村が後回しになってしまい、格差が出てしまったのは当然の結末だとも言える。
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