2010年5月29日土曜日

米リグ爆発で死亡の作業員、英BPからの圧力に不安漏らす-父親証言

5月28日(ブルームバーグ):メキシコ湾のリグ(掘削装置)「ディープウオーター・ホライズン」の爆発事故で死亡した幹部作業員が家族に対し、英BPから時間と利益のためなら安全性を犠牲にするようプレッシャーをかけられていると話していたことが、この作業員の父親の証言で明らかになった。

  事故で死亡したとみられる作業員11人のうちの1人、ジェーソン・アンダーソン氏(35)の父親、ビリーさん(66)によると、同氏は2月と3月に親類に対し、BPが油井での作業速度を上げるよう求めていると語った。ルイジアナ州沖にあるBPのマコンド油井で4月20日に発生した爆発事故によりリグは炎上し沈水、原油流出は米国史上最悪の規模に達している。

  アンダーソン氏はリグを保有するトランスオーシャンの社員。父親によると、このリグでこれまでに掘削した複数の油井での作業中には、アンダーソン氏は安全性を損なうような作業方法は避けるようBPの担当者を説得することができていた。ところが、事故の8週間前、BPはプレッシャーを強め、安全性が低下するとの意見を却下するようになったという。

  ビリーさんは27日、ヒューストンの南西約110マイル(約180キロメートル)にあるテキサス州ブレッシング近郊の自宅でインタビューに応じ「ジェーソンは、過去に担当した油井で作業速度を上げたり安全性が低下するような変更を求められたりした時、数回にわたってBP側を説き伏せたとわたしに話していた」と振り返った。「最後に2度帰宅した際には、彼らからのプレッシャーがだんだんと強まっていて不安だと言っていた」と述べた。

  ビリーさんによると、生存者の話では、事故が発生した夜、ジェーソン氏はリグの掘削フロアと呼ばれる場所にいた。油井からの圧力が急上昇するのを制御しようと、トランスオーシャンの他の作業員8人に指示を出していた。油井の先端は海面下約5000フィート(約1524メートル)の海底にあった。

  爆発時、この9人はリグと海底とをつなぐパイプからわずか数フィートの地点におり、死亡。他社の作業員2人も犠牲になったという。

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