5月26日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者のロバート・マンデル米コロンビア大学教授は、ユーロ圏の一部の国は債務再編が「避けられない」可能性があるとの見解を示した。また、アルゼンチンやエストニアなどに通貨政策を助言してきた米ジョンズ・ホプキンズ大学のスティーブ・ハンク教授は、ギリシャのデフォルト(債務不履行)は不可避になる恐れがあると述べた。
マンデル教授はユーロ圏の「1、2カ国」が5年以内に債務再編を実施すると予想。ハンク教授はギリシャが債務問題で再交渉できなければ同国は「死のスパイラル」に陥り、デフォルトという結果に終わるとの見方を示した。
ユーロ圏は今月2日の財務相会合で総額1100億ユーロ(約12兆円)のギリシャ支援で合意した。同国の財政赤字は昨年、対国内総生産(GDP)比で13.6%と、欧州連合(EU)の上限の4倍強に達しており、赤字削減は難航している。支援合意後もユーロ安に歯止めがかからず、EUと国際通貨基金(IMF)は最大7500億ユーロの金融支援の枠組みを打ち出している。
ハンク教授は米シンクタンク、ケイトー研究所のウェブサイトに掲載された25日付の寄稿文で、「ギリシャの死のスパイラルは債務再編ないしソブリン債の完全なデフォルトという結果に終わるだろう」と述べ、「EUとIMF、ギリシャの政治家や官僚は支援パッケージでギリシャの時限爆弾は撤去されると説明しているが、彼らの陽気なスローガンは信じるべきでない」と指摘した。
マンデル教授は26日にワルシャワで記者会見し、「ユーロ加盟国のうち財政的に弱い1、2カ国で債務再編が必要となる可能性がある」と述べ、「今後5年以内にそれは避けられなくなるかもしれない。しかし、ユーロが解体するという意味ではない。債務再編というだけだ」と付け加えた。
同教授は、欧州にはユーロ圏としての中長期債の発行も含め、財政のより強力な中央集権化が必要だと指摘。「この10年間のユーロは素晴らしい功績を残した。しかし2本の腕のうち1本は後ろで縛られているような状態だ」と述べ、「米国のTビル(財務省短期証券)といったような域内の短期証券がない。ユーロ圏としてのTビル発行は、ユーロをドルと並ぶ準備通貨に向上させる上で大いに貢献するだろう」と説明した。
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