5月11日(ブルームバーグ):ドイツ、フランスなどトリプルAの格付けを持つ欧州の5カ国は、財政難のユーロ圏諸国を支える7500億ユーロ(約88兆円)規模の基金に参加することで、自国の格付けをリスクにさらす恐れがある。
ギリシャ、スペイン、ポルトガルをデフォルト(債務不履行)から守りユーロの信頼性を維持するため、支援基金に加えて独、仏、イタリアの中央銀行は10日、国債の購入を開始した。
ウニクレディトのミュンヘン在勤ストラテジスト、ステファン・コレク氏は、救済パッケージは「一種の最高レベルのねずみ講だ」として、「ユーロ圏諸国に域内国の問題債券購入を強いるわけで、債務を削減するのではなく増加させるリスクがある」と指摘した。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるユーロ圏諸国の格付けの平均格付けは「AA-」。エボリューション・セキュリティーズのストラテジスト、ゲーリー・ジェンキンス氏によればこれは経済規模で調整しない単純平均。独仏のほか最上級格付けはオランダとオーストリア、フィンランド。
ジェンキンス氏は、「当局がデフォルトはないと明言したことと救済基金の規模は、S&Pにあらゆる格付けを見直させるかもしれない。見直すべきだろう」と述べた。ロンドン在勤のS&P幹部のコメントは得られていない。
ドイツ銀行のファンダメンタル戦略責任者、ジム・リード氏はリポートで、量的緩和への第一歩ともなり得る救済パッケージは欧州中央銀行(ECB)の独立性を損なうほか、膨大なモラルハザード(倫理観の欠如)につながると指摘。パッケージは「特に成長に役立つこともなく、振り返ってみればECBにとって歴史的な転換点と見なされるだろう。ECBの完全な独立性への疑問は今後高まる」と分析している。
成長の障害となるばかりでなく、救済はデフォルトの可能性を減らす結果、財政健全化を遅らせるとクレディ・アグリコルのアナリスト、エリック・シャーパー氏は指摘した。
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