5月20日(ブルームバーグ):4月の高値から11%下落したS&P500種株価指数は、欧州の債務危機が世界の経済成長を阻害しかねないとの懸念を背景に、下げが悪化する可能性がある。債券ファンド運用最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメド・エラリアン最高経営責任者(CEO)がこうした見方を示した。
エラリアン氏は電子メールで、「これは典型的なリトレースメントではない」と述べ、「欧州の動向やほかの重要な構造的な制度変化などを含む複数の問題で相場は未知の領域に入っている。経済的には欧州の動向は世界の経済成長に疑いなくマイナスだ」と指摘した。
米失業保険申請者件数の予想外の増加や欧州債務危機の深刻化を受けて、世界の株式相場は20日急落した。S&P500種は4月23日に付けた1年7カ月ぶりの高値から通常「調整」と見なされる10%を超える下げを演じている。ストックス欧州600指数は20日、2.2%安。ユーロは対円で2001年11月以来の安値を付けた。10年物米国債利回りは13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.24%。欧州株が下げた背景には、政策当局による協調性のない債務危機対応が投資家の動揺を招いたことがある。
エラリアン氏は「世界的なリスク回避の影響が拡大するだろう」と述べ、「米国債市場のような一部のセクターでは、質への逃避による資金流入という影響が出てくるだろう。景気循環からの追い風が過剰に強まった後、世界の市場は今、構造的な向かい風をかなり不安定な形で織り込みつつある」と分析した。
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