4月16日(ブルームバーグ):米証券取引委員会(SEC)は、米投資銀行のゴールドマン・サックス・グループを提訴した。債務担保証券(CDO)の組成と販売で詐欺的な行為があったと主張している。CDOは、大恐慌以来最悪となった金融危機の一因とされている。
SECの16日の発表によると、ゴールドマンは2007年初め、米住宅市場が悪化するなか、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの価格動向に左右されるCDO「アバカス」を組成し販売した。この際にゴールドマンは、ヘッジファンド会社ポールソンがポートフォリオ内の証券の選択を手助けすると同時に、これらCDOの下落を見込む取引をしていた事実を開示しなかった。
資産家ジョン・ポールソン氏が経営するポールソンは、この取引で10億ドルを稼いだが不正行為に問われていない。SECはCDOの組成にかかわったゴールドマンのバイスプレジデント、ファブリス・トゥール氏も提訴した。
SEC法規執行局のロバート・クザミ局長は声明で「商品は新しく複雑だったが、欺瞞(ぎまん)と利益相反は昔ながらで単純だ」とし、「ゴールドマンは住宅ローン市場の下落に大きく賭けていた顧客の1人が、投資ポートフォリオに含める住宅ローン証券の選択に強い影響を及ぼすことを許した。一方で、他の投資家に対して、投資対象証券は独立した客観的な第三者によって選定されていると説明していた」と論じた。
ゴールドマンの株価は前日比23.57ドル(13%)安の160.70ドルで終了。SECの発表後は一時16%安となった。
「根拠のない」主張
ゴールドマンは、「SECの主張には法的根拠が全くなく、事実無根だ。強く異議を唱え、当社とその信望を守る考えだ」との声明を発表した。
SECの主張によれば、現在31歳のトゥール氏は07年1月に友人に電子メールを送り、サブプライム住宅ローンに関連したCDOを指し「建物全体が崩壊寸前だ」と指摘した。SECはメールの送付相手については確認していない。ブルームバーグ・ニュースはトゥール氏に電話でコメントを求めたが、同氏は忙しいとの理由から断った。同氏の代理人、パメラ・チェピガ氏からは今のところ返答がない。
SECは、ゴールドマンとトゥール氏について、ポールソンが証券の選択において重要な役割を果たし、同時に下落を見込む取引をしていたことを開示すれば、CDOの販売は不可能とまでは言わないまでも、難しいものになると分かっていたと指摘した。
0 件のコメント:
コメントを投稿