[ニューヨーク 24日 ロイター] 24日のニューヨーク外国為替市場でドルが全般的に上昇。ポルトガルの格下げを受け、ユーロ圏周辺国の債務や成長をめぐる懸念が強まるなか、ユーロは10カ月ぶり安値をつけた。
格付け会社フィッチ・レーティングスはこの日、ポルトガルの格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。
英国では予算案が明らかとなったが、同国財政赤字に対する懸念を払しょくするには至らず、ドル買いにつながったという。
米経済統計では、2月の耐久財受注や同月の新築住宅販売が発表され、全体的には強弱まちまちとなったが、ドル買いの動きは特に弱まらなかったという。
GFT(ニューヨーク)のFX戦略ディレクター、キャシー・リアン氏は顧客向けリポートで「ソブリン債格下げは非常に大きな事だが、投資家がユーロを買うことはもちろん、持っていることにもすでに消極的な状況で、ポルトガルの格下げは傷口に塩を塗るようなものだった」と述べた。
終盤の取引でユーロ/ドルは1.3%安の1.3324ドル。ロイターデータによると、一時1.3321ドルと2009年5月以来の安値をつけた。
ドル/円は1.9%高の92.15円。一時92.23円に上昇した。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、マイケル・ウルフォーク氏は、ポルトガルの格下げはユーロ売り継続の口実になったと指摘した。
さらに「こうした動きは短期的に終わるかもしれないが、ユーロ/ドルは週末までに1.30ドルに迫る可能性があると思う。さらに1.25ドルまで行くには、とりわけギリシャなどユーロ圏に関しファンダメンタルズ面でさらなる悪材料が多分必要になるが、そうした動きを完全に割り引くことはできない」と語った。
市場では、25─26日の欧州連合(EU)首脳会議に注目が集まっている。
ドイツ政府当局者は24日、ギリシャ支援をめぐる国際通貨基金(IMF)の関与について、EU内で支持する声が強まっていると指摘。一方、EU首脳会議では、ギリシャ問題は議題とはならず、同問題については何も決定されない見込みと発言した。
ギリシャ支援をめぐるドイツの立場としては、同国が資本市場で資金調達が不可能になった際、最終手段として支援すること、IMFの関与が不可欠であること、ユーロ圏の財政規律が将来的に強化されるべきことを確認した。
BMOキャピタル・マーケッツ(シカゴ)の国際FXストラテジスト、アンドリュー・ブッシュ氏は、ユーロ導入以降、分裂の危機が最も高まっていると指摘。「EUや国際通貨基金(IMF)がこれまでの解説姿勢から前向き姿勢に切り替え、債務状況の安定化に動かないかぎり、リスク回避によるユーロ売りは継続するだろう」と述べた。
こうしたなかドルは安全資産との見方から買いが入り、対通貨バスケットで2009年5月以来の高値をつけた。主要6通貨に対するICEフューチャーズUSドル指数は1.2%高の81.907、昨年5月以来の高値。
午後行われた420億ドルの5年債入札は、さえない結果となり、応札倍率は2.55倍と今年2月入札の2.75倍を下回り、過去半年で最低となったが、ドルの反応は前向きだったという。
スイス中銀のジョルダン副総裁は、スイスフランの過度の上昇を断固として阻止していくとし、それを行う手段を有していると語った。
ロイターデータによると、ドルは対スイスフランで2週間ぶり高値となる1.0733スイスフランをつけ、その後1.5%高の1.0729スイスフランで推移した。
ユーロは対スイスフランで0.2%高の1.4297スイスフラン。一時1.4233スイスフランをつけ、最安値を更新した。
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