[香港/上海 25日 ロイター] 時価総額で世界最大の銀行である中国工商銀行(ICBC)(1398.HK: 株価, 企業情報, レポート)(601398.SS: 株価, 企業情報, レポート)は25日、財務強化のため新たに最大37億ドルの資本を調達すると発表した。発表に先立って同行が明らかにした2009年第4・四半期決算は58%の増益で、ほぼ市場予想通りだった。
工商銀は資本増強と今後3年間の成長を後押しする資金を得るため、上海A株(人民元建て)に転換可能な最大250億元の転換社債を発行する。また、追加で香港H株を発行する選択肢も残している。
華泰証券(南京)のアナリスト、Liu Xiaochang氏は「極めて予想外の動きだ。工商銀は十分な資本を保有しているため、こんなに早く資本調達計画を発表するとはだれも予想していなかった。一方、不透明感が払しょくされるため、市場にはいい話かもしれない」と話した。
工商銀の姜建清会長は香港で記者団に「ICBCが今回提案した資本調達計画は自己資本比率を一段と高く厳格な基準に適合させるための措置」と説明した。資本調達によって自己資本比率を12%以上に維持し、今後3年間は追加資本を必要としないようにすることが目的という。
第4・四半期の純利益は286億元(41億9000万ドル)で、前年同期の181億1000万元から増加した。トムソン・ロイター・エスティメーツが集計したアナリスト22人の平均予想は299億元となっていた。
同行は今年の融資の伸びについて具体的な目標は挙げなかったが、融資決定を一段と慎重に行う意向を示唆した。09年の融資の伸び率は16.2%だった。
09年末時点の自己資本比率は12.36%で08年末時点の13.06%から低下したが、監督当局の求める11%の最低水準は十分クリアしている。不良債権比率は2.29%から1.54%に低下した。
米ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)の出資比率は第3・四半期末時点で3.9%となり、年初の4.9%から低下した。
09年通年の純利益は16%増の1286億元。通年の純利ざやは低下したものの昨年第3・四半期から上昇に転じたとしている。
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