2月3日(ブルームバーグ):1999年の米投資信託会社上位10社中3社を輩出したボストンの投信業界がシェア低下に見舞われている。1977年から90年までピーター・リンチ氏の下でフィデリティ・マゼラン・ファンドが急成長して以来、ボストンの投信会社が伝統的に得意としてきた銘柄選別に基づく運用手法はリテール(小口投資家)の間で人気が失われつつある。
調査会社モーニングスターによると、ボストンに本拠を置くフィデリティ・インベストメンツとパトナム・インベストメンツ、MFSインベストメント・マネジメントは昨年12月の株・債券投信(6兆9000億ドル=約624兆円)市場シェアが12%と、10年前の21%から低下した。フィデリティのシェアは首位から3位に後退、パトナムは4位から26位に転落、1924年に最初の投信を設定したMFSは6段階下がり16位になった。
過去10年間はS&P500種株価指数のリターンが配当再投資ベースでマイナス9%と低迷し、ボストンの大手資産運用会社にとって特に厳しい時期だった。個人投資家は積極的な運用手法の株式投信よりも手数料が低く、ボストンの投信会社が得意としない指数連動型投信にマネーをシフトしたためだ。運用成績がライバル会社よりも出遅れたことも、ボストンの投信会社の影響力低下につながった。
1967年以来ボストンで資産運用に携わってきたエドワード・ライリー氏(65)は「銘柄選別するストック・ピッカーを崇拝した時代は終わった」と話す。
評判が悪くなっただけではなく、ボストンの投信会社は人員削減や、コスト抑制のための業務の州外移管に動いている。業界地図の変化で最大の恩恵を受けたのは、低コストのインデックス投信を専門とするバンガード・グループ(本社ペンシルベニア州バリーフォージ)と債券ファンド最大のPIMCOトータル・リターン・ファンド(2020億ドル)を運用するパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO、本社カリフォルニア州ニューポートビーチ)だ。
モーニングスターによると、バンガードに過去10年で流入した資金は4400億ドルと、株・債券投信会社では最高。同社最大のファンドは1070億ドル規模のバンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックスで、米大型株1300銘柄のリターンに連動した運用成績を目指している。ドイツの保険会社アリアンツの傘下にあるPIMCOは運用資産が2100億ドル増加し、業界3位の伸びを見せた。
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