[東京 5日 ロイター] 第一生命保険の外国債券部長、宮田康弘氏は、2010年の運用戦略に関し、米金利の上昇が最大のリスク要因との認識を示した。そのうえで、ドル/円は年末に105円まで上昇するとの見通しを示した。
また、ギリシャなどユーロ圏諸国の財政悪化懸念を背景に、ユーロ/ドルは今年前半に1.35ドルまで下落するとの見方を明らかにした。4日に行ったロイターとの電話インタビューで語った。
宮田氏によると、第一生命は今後、為替ヘッジのコストが上昇し始めれば、ヘッジ付き外債のヘッジをはずす考え。ヘッジコストは現行ではほぼゼロとなっているが、将来的に米国の金利が上昇するとの見通しが市場で広まれば、実際の米国の利上げを待たずに市場金利が上昇し、結果的にヘッジコストが上がる可能性もあるとの見通しを示した。
昨年は内外金利差が縮小し、為替のヘッジコストが減少したため、第一生命を含む大手国内生保各社が積極的にヘッジ付き外債を購入した。しかし、米国の経済回復が早く、米連邦準備理事会(FRB)が欧州中央銀行(ECB)よりも早く政策金利の引き上げに踏み切るのではとの見方が強まっている。日本銀行はデフレ克服のために緩和的な金融政策を当面維持すると見込まれており、米金利が上昇すれば、日米金利差が拡大し、ヘッジコストが上がる。このため、市場関係者は、生保の外債投資の動向に高い関心を示している。
過去にも、ヘッジコストの上昇に伴って、生保各社が米国債のヘッジ外しで円を売ってドルを買い、ドル/円の大幅上昇を支えたことがあった。宮田氏は「今年は金利が上昇するリスクに備えなければならない。ドルも、ユーロや円など他の主要通貨に対しては回復するだろう。ただし、ブラジルレアルや豪ドルなどに対しては、ドルは下落する」と指摘。年末のドル/円レートは105円と予想していると述べた。
04年から開始したFRBによる断続的な利上げを背景に、05年から06年には日米の短期金利差が拡大し、生保各社が保有していた米国債のヘッジを外した。この間ドル/円は102円から121円程度まで上昇した経緯がある。
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