2010年1月26日火曜日

日本株は先進国で最も割安、投資家は利益よりPBRに関心

1月25日(ブルームバーグ):日本は先進国で最低の経済成長率とデフレに見舞われているにもかかわらず、バイロン・ウィーン氏やデービッド・ヘロー氏、ジョン・アルカイヤ氏といった著名ストラテジストは日本株を遠ざけていない。

米投資会社ブラックストーン・グループのアドバイザーを務め、昨年の株・原油高を言い当てたウィーン氏は、日本株が自身のお気に入りだと言う。ハリス・アソシエーツのヘロー氏は、日本経済は停滞していても、株価は資産価値との比較で最も割安な水準にあるため、今後上昇すると予想。モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信のアルカイヤ氏は負債比率の低さを背景に日本株が米国株を上回る上昇を演じるとみる。

時価総額で世界2位の日本の株式市場は、TOPIXでみると今年は3.7%上昇しており、主要10カ国で値上がり率首位。海外投資家の日本投資は今月15日までの2週間に約130億ドル(約1兆1700億円)と、04年以来最高となっている。株価純資産倍率(PBR)は平均で約1.2倍と、S&P500種株価指数構成企業のほぼ半分であることがブルームバーグの集計したデータで示されている。

モルガン・スタンレーなどで市場ストラテジストを務めた経歴を持ち、2000年のハイテクバブル終えんを予測したウィーン氏(76)は、「わたしの投資アイデアでは日本が最高だ」と述べ、「企業収益が期待に沿った内容になると思うため、日本市場は比較的投資妙味がありそうだ」と述べた。

企業収益の伸び悩みなどを受けTOPIX構成銘柄の2010年予想株価収益率(PER)の平均は37倍と、主要10市場では最高となっているため、投資家の間では利益の代わりに純資産を投資尺度として注目する向きが増えている。TOPIXは先週、前週末比2.6%安の940.94で終了した。

バリュエーション

ウィーン氏やヘロー氏、アルカイヤ氏の見通しは、景気予測ではなくバリュエーション(株価評価)に基づく。ウィーン氏は輸出関連企業やテクノロジー企業、薬品・化粧品などの業種を有望視している。TOPIXの自動車株と電気機器株の指数は過去3カ月の上昇率がそれぞれ11%と6.2%で、TOPIX全体の4.3%を上回る。

ウィーン氏は「投資家の関心を引き付けるために日本経済が強くなる必要はない」と述べ、「日本の状況は良くなってはいないが、悪くなってもいない。悪材料は減りつつある」と指摘した。

ブルームバーグが集計したデータによると、TOPIX構成企業の1株利益は2010年に黒字転換する見通し。TOPIXのPBRは1993年以降の平均である1.8倍を33%下回る水準にある。

ハリスの外国株担当最高投資責任者、ヘロー氏は「日本はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に照らして極めて割安だ」と述べた。550億ドルの資産運用を手掛ける同氏は、トヨタ自動車とキヤノンの株を購入したという。ブルームバーグのアナリスト調査では、トヨタは2011年3月通期営業利益が黒字転換すると予想されており、キヤノンは今年、64%増益が見込まれている。

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