7月13日(ブルームバーグ):為替トレーダーが一段と米ドルや円に強気になっている。今年の世界経済の回復に対する期待が薄れているためだ。
失業者増加と株式相場の下落を受けて、ブラジルのレアルやオーストラリア・ドルといったリスクの高い通貨の上昇を見込む動きが減退している。市場混乱時に米ドルや円は上昇することが多い。低金利通貨を調達して高利回り資産に投資するいわゆるキャリー取引の解消で、トレーダーが借り入れた円やドルを返すためだ。
ユーロと円、ポンド、カナダ・ドル、スウェーデン・クローナ、スイス・フランに対する貿易加重ベースのパフォーマンスを示すドル指数は3月4日に付けた今年の日中高値から6月2日に安値を付けるまで11.3%下落。その後は、ブラジルから中国に至るまで新興市場国の当局者らがドルの優位性に疑問を投げ掛けたにもかかわらず、2.4%上昇した。日本の今年1-3月期の成長率もマイナス14.2%と先進国で最悪だったにもかかわらず、円は16主要通貨に対して、少なくとも6.15%上昇した。
フィッシャー・フランシス・ツリーズ&ワッツの外国為替責任者、アドナン・アカント氏(ニューヨーク在勤)は「われわれは米ドルに回帰した」と語る。同氏はつい3カ月前、米ドルと円が下落するとみて、レアルのほか、世界経済の回復期に高いリターンをもたらすと見込む複数の通貨に投資していた。
ブルームバーグ集計データでみて今年1-6月期(上期)のドルの対ユーロ相場見通しが最も正確だったドイツ銀行は、同相場が10日の1ユーロ=1.3936ドルから約17%上昇して2010年までに1.20ドルを付けると予想する。ブルームバーグ・ニュースがまとめたストラテジスト48人の予想中央値によれば、ドルは対ユーロで今年はもう下落せず、年末はほぼ変わらずの1.40ドルとなる見通しだ。
通貨のプット(売る権利)オプションとコール(買う権利)オプションの傾きを示すリスク・リバーサル率によると、トレーダーらはドルの対レアル相場について、米S&P500種株価指数が12年ぶりの低水準を付けた2週間後の3月23日以来で最も強気だ。ブルームバーグのデータによれば、ドル・レアルの1カ月物オプションのコール価格は10日にプットを5.27ポイント上回った。
円の対豪ドル相場についてもトレーダーは3月20日以来で最も強気となっており、3カ月物コールの価格がプットを5.19ポイント上回った。
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