2月17日(ブルームバーグ):原料の海上運賃が年初来で2倍以上に上昇している。ノルウェーの通貨クローネやオーストラリア・ドル、カナダ・ドルの買いの好機かもしれない。
フェデレーテッド・インベストメンツ(米ピッツバーグ)で30億ドル(約2800億円)相当の運用に携わるイハブ・サリブ氏は、海上運賃が年初来で147%高騰しているのは、中国が導入した5800億ドル規模の景気刺激策が今後、原料価格の押し上げにつながる証拠だと指摘する。このことは、資源輸出国にとって有利に働く可能性があるため、同氏はクローネや豪ドル、カナダ・ドルを「活発に取引している」。
サリブ氏ら為替トレーダーは、このような判断材料として、世界の原料輸送コストを示すバルチック・ドライ指数を利用し始めた。同指数と、豊富な資源を保有するノルウェー、豪州、カナダの3カ国の通貨との連動性が高まっている。ブルームバーグ・ニュースが集計したデータによると、過去1年間のうち相関性を示した期間の平均は96%と、過去 10年間の84%から上昇している。
サリブ氏は「バルチック・ドライ指数は、歴史的に見て商品相場の適切な先行指標だ。商品相場は現在、非常に低迷しており、長期的に見て良好な価値を提供している。相場がいったん回復すれば、これらの通貨も堅調に推移するはずだ」との見方を示す。同氏は投資内容の詳細についてはコメントを控えた。
バルチック・ドライ指数は、中国の景気刺激策に基づいた住宅や高速道路、空港、電力網の建設への投資が国境を越えて影響を及ぼす兆しを示している。ドイツ銀行は1月20日、中国が2月28日までに景気てこ入れに向けた予算の約25%を拠出するとの見通しを示した。同銀は中国の成長率は7-9月(第3四半期)から10-12月(第4四半期)にかけてマイナス2.3%に落ち込むものの、10-12月から2009年1-3月(第1四半期)にかけてはプラス12%に回復すると予想している。
原油相場の反発
中国は銅と鉄鉱石の世界最大の消費国だ。中国の消費により、銅と鉄鉱石の価格は年初来でそれぞれ約10%上昇。これらの資源の世界の生産量の約10%を占める豪州とカナダに恩恵をもたらしている。ブルームバーグ・ニュースがアナリスト34人を対象に実施した調査の中央値では、ノルウェー最大の輸出品である原油の相場の10-12月の平均は1バレル当たり66ドルと、年初来平均である40.62ドルを上回ると見込まれている。中国は世界2位のエネルギー消費国。
米シティグループの為替戦略担当の世界責任者、ジム・マコーミック氏(ロンドン在勤)は2月5日付リポートで「中国の回復が商品相場の底入れにつながるとすれば、資源国通貨の重要な上昇要因になるはずだ」との見方を示した。
バルチック・ドライ指数に注目
米ゴールドマン・サックス・グループは、豪ドルが向こう半年間に 9.5%上昇し1豪ドル=0.71米ドルに、クローネは13%上昇し1米ドル=6クローネになると予想。カナダ・ドルについては、ほぼ変わらずの1米ドル=1.25カナダ・ドルになるとみている。カナダ・ドルとバルチック・ドライ指数との相関性を示した期間は過去5年間のうち72%だった。
バルチック・ドライ指数は01年9月11日の同時多発テロ発生後、 11月7日に2年半ぶりの低水準まで下げた。その後8カ月間に3通貨は平均9%上昇した。同指数は08年5月20日に過去最高水準の1万1793 に上昇。その後、7月にかけて3通貨は着実に下落。下期(7-12月)には豪ドルは27%、カナダ・ドルは16%、クローネは27%、それぞれ下落した。バルチック・ドライ指数は08年に年間ベースで92%下落したが、09年には2月11日に年初来高値の2055に達した。
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