[ボストン/ニューヨーク 10日 ロイター] サブプライムローン市場の崩壊や金価格の高騰に賭けて大儲けしたことで知られる著名ヘッジファンドマネジャーのジョン・ポールソン氏は、最近の運用パフォーマンスが著しく悪化し、これまでのキャリアで最も困難な状況に直面している。
ポールソン氏の最大のファンドの一つは今年になってパフォーマンスが50%近いマイナスとなったほか、他のファンドも多額の損失を被っている。その結果、ポールソン氏のファンだった多くの富裕層顧客が資産を引き揚げており、年末までに解約請求が数十億ドルに達する可能性がある。
ニューヨーク大学のビジネススクールでヘッジファンド戦略を教えているジム・リュー教授は「大小を問わず、多くの投資家がポールソン氏への資産配分や、解約すべきか継続保有すべきかについて議論するだろう」と述べている。
ポールソン氏の旗艦ファンドである「ポールソン・アドバンテージ」や「ポールソン・アドバンテージ・プラス」を保有する多くの投資家は、解約請求を行うかどうか10月31日までに決める見通しで、投資家がそれだけ多くの資産を引き揚げるか判断するのは時期尚早だ。
ポールソン氏の運用資産は、運用損失や解約請求により、ピーク時の380億ドルから300億ドルを下回る水準に落ち込んでいる。
ポールソン氏のスポークマンは、コメントを拒否した。ポールソン氏は11日に投資家とのコンファレンスコールを行い、低調に終わった第3・四半期のパフォーマンスについて説明する予定。
ポールソン氏は、投資家による資金の引き出しは、「アドバンテージ」が11%、「アドバンテージ・プラス」が17%上昇した前年に比べ、ペースが遅いことをほのめかしている。
実際、投資家による解約はパフォーマンスが好調だった時期にも膨らむ傾向があり、関係筋によると、「アドバンテージ・プラス」が37%上昇した2008年には100億ドル以上の資金を投資家に返還した。
ただ、今年は、流出する資金を埋め合わせる資金が富裕層から流入してこないという点で、これまでと状況が異なっている。
ヘッジファンド業界の動向を調査しているある関係者は、匿名を条件に「今年は新たな資金が入ってこない」と語っている。
多くの金融関係者は、ポールソン氏の運用資産は今後2―3カ月で大幅に減少すると予想している。
一部の関係者は、最近バンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価, 企業情報, レポート)、トランスオーシャン(RIGN.VX: 株価, 企業情報, レポート)、アングロゴールド・アシャンティ(ANGJ.J: 株価, 企業情報, レポート)株などが急落したのは、ポールソン氏のファンドによる売りが大きな影響を与えたと指摘している。
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