8月9日(ブルームバーグ):米資産家で投資家のウィルバー・ロス氏は、世界の市場下落は経済の現状より恐怖心が主因になっているとし、資産を購入していることを明らかにした。
投資会社WLロスを率いるロス氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、中国やインドなどの新興市場だけでなく日本やアイルランドでも向こう数年間のうちに魅力が証明される資産が数多くあり、現時点で投資家はこれらの資産を購入できると述べた。同氏は海洋石油輸送関連企業や米国のガス業界を支持している。
ロス氏のほか、資産運用会社テンプルトン・アセット・マネジメントのエマージング・マーケッツ・グループのマーク・モビアス執行会長やニューズレター「グルーム・ブーム・アンド・ドゥーム」の発行人で投資家のマーク・ファーバー氏も売られ過ぎの市場で好機を見いだしていると述べている。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国の長期格付けを引き下げ、投資家の間で悲観的な見方が強まった5日の前日の4日以降、MSCI世界指数は約7%下落している。
ロス氏は「世界は本当にこれまでの48時間に10%か12%、15%も悪化しているだろうか。私はそうは思わない」と述べ、「株式を現時点の価格で購入すれば今後数年の間にそれが比類ないほど有益な経験であることが証明されるだろう」との見方を示した。
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は9日、ブルームバーグテレビジョンの別のインタビューでS&Pによる米国債の格下げについて「正しい判断」であり「非常に勇敢だ」と指摘。他の格付け会社もいずれ後に続く可能性が高いと述べた。
WLロスは破綻企業の再建を専門とする。ロス氏(73)はロスチャイルドで企業の破綻関連業務を統括した後、2000年に同社を創業した。
買いを継続
ロス氏によると、WLロスは保有する企業や取引可能な企業を注視している。
ロス氏は「5日に幾つか購入し、8日にもさらに購入した。ニューヨーク市場の取引が9日に再開すれば多分もっと購入するだろう。相場の下落局面で買い続けている」と述べた。同氏はロサンゼルスからインタビューに応じ、アジアでは9日に放映された。
モビアス氏は5日、世界の市場が混乱する中で、新興市場の株式の投資妙味は高まっているとの認識を示した。ファーバー氏は8日、ブルームバーグテレビジョンで、株式市場は「信じ難いほど売られ過ぎとなっている」と指摘し、「8日または9日に底打ちし、上昇し始める可能性がかなり高い」と語った。
ロス氏は、保有株式の価値が急激に低下したことから銀行からの追い証の請求に直面した投資家による「強制された不本意な売り」が市場の損失につながっていると指摘。原油相場が下落し失業率は高水準を維持しているため、米連邦準備制度理事会(FRB)がさらなる量的緩和を実施する「可能性は十分にありそうだ」と述べた。
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