7月6日(ブルームバーグ):クリステン・ゴスビグさんが加入する年金基金は、デンマーク最大の洋上風力発電プロジェクトの権益のうち4億8500万ドル(約390億円)相当を取得した。この投資のリターン(投資収益率)は、ヘッジファンドの長期的なリターンの少なくとも2倍に上ると予想されている。
看護師のゴスビグさん(40)の年金を運用するPKAはこのアンホルト風力発電施設への投資で年率7-9%のリターンを挙げる見通しだ。これは、年金基金としては初めて建設計画中の風力発電施設に投資したPKAの出資に参加したペンションデンマークの見方だ。予想通りならHFRXグローバル・ヘッジファンド指数の過去10年間の年率リターンである2.8%を上回る。
洋上風力発電では風力タービンが20年の稼働期間に強風や塩分を含んだ腐食性のある海水にさらされる。耐久性が十分に証明されていない機器に投資の回収が可能かどうかがかかっており、銀行はリスクが高過ぎると考えている。年金基金がこのようなプロジェクトに投資している。欧州の電力会社は計約7000基の風力タービンを沖合に設置することを計画しており、年金基金のPKAやペンションデンマーク、オランダのPGGMが、不足している400億ユーロ(約4兆7000億円)の融資を補う役割を果たしている。
バークレイズ・キャピタルが株式の一部を保有するダブリンの開発会社メーンストリーム・リニューアブル・パワーのフィンタン・ウィーラン最高財務責任者(CFO)は「電力会社が年金基金から出資を引き出している」と指摘する。同社は発電能力計760万キロワット分の洋上発電プロジェクトに出資している。この発電能力は、原子炉約7基分に相当する。
会計監査大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の再生可能エネルギー担当ディレクター、ロナン・オリーガン氏は、アンホルトのケースは風力発電業界にとって「画期的」との見方を示した。
英国とドイツがリード
欧州のクリーンエネルギー助成制度が洋上風力発電プロジェクト開発の最大の道筋を付け、アジアと北米が後に続いている。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによると、欧州の国々はこれまでに計約300万キロワット分の洋上風力発電施設を設置し、10年間でさらに約3600万キロワット分を増設する計画を発表している。独RWEやエーオン、英セントリカが主導し、英国とドイツが最も多くの発電能力の設置を計画。米国には現在のところ洋上風力発電施設はない。
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