2011年7月17日日曜日

ドルの下落トレンド終了へ-為替予想の正確さ上位の金融機関が指摘

7月11日(ブルームバーグ):為替予想の正確度が高い金融機関は、過去1年に対ユーロで13%安となったドルの下落トレンドが終わりに近づきつつあるとみている。深刻化する欧州債務危機を背景に、ユーロ売りドル買いが促されるという。

  今年4-6月期までの6四半期にわたり為替予想の正確性で上位5位に入った金融機関は、ユーロ・ドル相場の年内見通しを平均1ユーロ=1.42ドルとみている。先週末の8日は1.4265ドルだった。予想の正確性に関するデータはブルームバーグの集計に基づいている。円に対しては1ドル=83円の予想。先週末は80円64銭だった。

  米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが先週、ポルトガルの信用格付けを投機的水準に引き下げ、欧州の債務問題が一段と悪化する中、ドルは避難先としての地位を取り戻しつつある。ドルは、ブルームバーグ相関加重通貨指数が対象とする先進10カ国の通貨の中で、過去1年で最もパフォーマンスが悪かった。しかし現在は対ユーロで1年5カ月ぶり安値となった5月4日の水準から4.7%上昇している。

  為替予想が最も正確なシュナイダー・フォーリン・エクスチェンジの市場分析責任者、スティーブン・ガロ氏(ロンドン在勤)は、「ドルが対ユーロで1ユーロ=1.50ドルを超えてドル安に向かう余地はあまりない。引き続き、年末までに1.40ドル程度までドルが上昇するとみている」と予想。「今のところ、無秩序なデフォルト(債務不履行)発生のリスクは米国よりも欧州の方がはるかに高い」と述べた。

            ドル指数

  正確度で8位に入ったHSBCホールディングスの通貨戦略ディレクター、ポール・マケル氏は「ユーロ圏の危機が間違いなくドルの下落ペースを鈍化させた。ドルは依然として世界の準備通貨であり、当面その地位を維持するだろう」と指摘する。同行は、ドルの年末時点の水準を1ユーロ=1.44ドルと予想している。

  ドルは先週、ユーロに対して1.8%上昇し、年初からの下落率を6.2%に縮小した。対円では先週0.2%安。主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は、過去5週間のうち4週間で上昇している。

            否定的な見方も

  一方、正確度で2位のソシエテ・ジェネラルは、ドルが年末までに1ユーロ=1.52ドルに下落するとみている。7-9月(第3四半期)末までの予想は1.50ドル。

  同行の為替調査責任者、キット・ジャックス氏(ロンドン在勤)は、「私はドルに対してネガティブだ」とし、「米国は景気の解決策の一環として通貨安を選好する。雇用が期待する水準をかなり下回っていることからすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)は低金利を長期間維持するだろう」と述べた。

  シュナイダーのガロ氏の年末予想は1ユーロ=1.40ドルで、先週に比べて約1.9%のドル高水準。正確度3位のウェルズ・ファーゴは1.39ドルを見込む。4位のJPモルガン・チェースは年末までに1.48ドル、5位のクレディ・アグリコルはドルに対して最も強気で、1.30ドルを予想している。

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