2011年6月26日日曜日

バーゼル委:巨大金融機関に自己資本比率の最大2.5%上積み求める

 6月26日(ブルームバーグ):世界の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は、新たな金融危機の回避への取り組みの一環として、国際金融システムの安定に重要な巨大金融機関に対して自己資本比率の最大2.5%の上積みを求めることを明らかにした。関係者1人によると、世界全体で最高30の金融機関が自己資本比率の増強を求められる公算がある。

  同委は25日の声明で、自己資本比率の増強は1-2.5%になると発表した。同関係者は匿名で、米国で最高8つの金融機関を含めて、世界で28-30の金融機関が新規制の対象になる可能性があると語った。

  金融機関は新規制が世界の景気回復を損なう恐れがあると主張しており、監督当局は自己資本比率の増強をめぐって一部の金融機関と対立している。

  米連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁は22日の議会証言で、多くの金融機関がシステム上重要だと分類されないよう「精力的にロビー活動を行っている」と述べていた。

  ポーテールス・パートナーズのアナリスト、チャールズ・ピーボディ氏は電話インタビューで、「監督当局が自己資本比率増強を求めている手法を考慮すれば、米銀にとっては考えられる最良の結果だ」と指摘。欧州の銀行はリスクの高いソブリン債へのエクスポージャーがより多く、米銀よりも自己資本比率が十分でないため、最大2.5%の上積みが欧州銀にとって持ちこたえられる上限だとの見方を示した。

  ピーボディ氏はバンク・オブ・アメリカとJPモルガン・チェース、シティグループの米銀3行をはじめ、少なくとも8つの金融機関が2.5%の上積みを求められる可能性があると指摘。モルガン・スタンレーのアナリストは19日の報告書で、英銀HSBCホールディングスとドイツ銀行も最大の上積みを求められるとの見方を示していた。

  ピーボディ氏によると、シティはパンディット最高経営責任者(CEO)がシティ・ホールディングス部門の3000億ドル強の不良資産を売却し、モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの合弁事業を分離するのに成功すれば、自己資本比率の上積みはより低い水準となる可能性があるという。シティのスポークスマンは25日、この件についてコメントしなかった。

  バーゼル委は声明で「7月末ごろに」自己資本比率に関するより詳しい内容を公表するとしている。

  同委によると、当初は自己資本比率の積み上げは最大2.5%だが、最も高い自己資本比率を求められる金融機関が規模を拡大すれば3.5%に引き上げられる。

  自己資本比率に関する新規制は2016年1月1日から19年1月1日に導入される。

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