2011年5月19日木曜日

小麦生産:欧州全域で危機的な状態-数十年ぶりの乾燥天候で作況悪化

5月18日(ブルームバーグ):欧州では英国やフランス、ドイツの小麦産地が少なくとも過去35年で最も乾燥した生育環境となり、作況が脅かされている。欧州の小麦生産は世界の約20%を占める。

  農業コンサルタント会社のアグリテル(パリ)の18日の発表によると、干ばつの影響でイールド(単収)が少なくとも16年ぶりの低水準に落ち込んでいることから、フランス産軟質小麦の生産高は12%減少する見通し。パリ市場の小麦相場は2月以来の高値に達した。

  昨シーズンにカナダでの洪水やロシアでの干ばつで穀物に被害が出たことから、小麦相場は1年間で57%高騰した。収穫高が予想を下回れば相場はさらに上昇する可能性がある。今年は中国で干ばつが発生しているほか、米国では一部の地域で乾燥した天候となり、他の地域では降雨量が過剰となっている。米農務省は世界の在庫が2年連続で減少すると予想している。

  欧州連合(EU)の農業資源監視部門は18日のリポートで「適切な量の穀物を確保するためには向こう数週間に降雨があることが不可欠だ。さもなければ、現行のイールド予想は大幅に引き下げられるだろう」と指摘。西欧諸国の一部が3月に記録的な乾燥天候となり、英独仏のほかイタリア北部やベルギー、オランダでも土壌水分が確保されることが「必須だ」との見方を示した。

  仏環境省の今週の発表によると、同国の小麦生産の8割を占める北部では、4月末時点の土壌水分が過去50年で最も少なくなっている。同国の農業関連機関は11日、小麦生産が「危険な領域」に入っているとの見方を示した。

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