2011年5月3日火曜日

米ラスベガス:高級住宅を後にする富裕層増える-差し押さえが急増

4月26日(ブルームバーグ):米映画「リービング・ラスベガス」(1995年制作)でアカデミー主演男優賞を受賞した俳優のニコラス・ケイジ氏は2006年、カジノが立ち並ぶラスベガスの街を一望できる寝室が7つある高級住宅を850万ドル(現在のレートで約6億9000万円)で購入した。10年1月までにこの住宅は差し押さえられた。

  不動産売買記録によると、次の所有者はこの住宅を420万ドルで購入し、790万ドルで売りに出した。不動産仲介業者のザー・ザンガニー氏はこの価格について「現実離れしている」と指摘する。

  「悲しいことだ」とザンガニー氏は言う。住宅の内部を案内する間、同氏のハイヒールブーツが大理石の床の上でコツコツと音を立てた。この豪邸の面積は1300平方メートル。6人用のシャワー室や小さなアパートほどの大きさのクローゼットがある。「在庫はたくさんあり、購入されるのを待っている住宅はあふれている」と話す。

  ラスベガスは既に、差し押さえ申請比率が米国の大都市の中で最高水準にあるが、売却すると損失が出たり銀行に差し押さえられたりする高級住宅が増えている。

  サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの借り手から始まったデフォルト(債務不履行)と失業の波は、高級住宅の所有者にも及んでいる。富裕層はたとえ余裕があっても高級住宅に住み続けるのは意味がないと考えている。

  ラスベガス地区不動産協会とクラーク郡の不動産売買記録によると3月までの1年3カ月間にラスベガス地区で少なくとも25軒の住宅が300万ドル以上で売買され、少なくとも7軒が抵当流れとなったり買い値を下回る価格で売却されたりした。09年にはこの額を上回る値が付いた住宅は14軒、売却によって損失が出たのは1軒のみだった。

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