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発信地:東京 日付:2009/9/21 分類:極秘
キャンベル国務次官補と斎木昭隆アジア大洋州局長が会合
(要約)
1. 東アジア、太平洋地域を担当するカート・キャンベル国務次官補は、9月18日、外務省で斎木昭隆アジア大洋州局長と面会した。斎木局長は、新しい指導者である岡田克也外相を称賛しつつも、新しい政権が日本の官僚機構を従わせると脅しをかけているのは、結局は失敗に終わるだろうと話した。
キャンベル次官補と斎木局長は、米国人ジャーナリスト2人を解放させるためビル・クリントン前大統領の使節団が訪朝したことや、6者協議を巡る最近の情勢、未解決の拉致問題、北朝鮮の人権状況について意見を交わした。斎木は東南アジア諸国連合(ASEAN)のような地域統合の枠組みを作る動きには失望しており、なぜ中国が日米中の3国協議に参加しないことを決めたのか理解できないとした。しかし、今度の日中韓3国の首脳会談については楽観的な見通しを持っていると説明した。斎木は、新しい民主党政権下での日米関係、日韓関係に言及して会談を締めくくった。要約終わり
(新政権と官僚機構)
2. 新しい民主党政権について、斎木局長は、新しく外務省を率いることになった岡田克也外相について「大変知的」として、「諸問題について理解している」ため、就任をうれしく思っていると伝えた。斎木は、岡田は自分の担当する分野(北朝鮮、韓国、中国)では何の問題も引き起こしていないと説明した。民主党政権が官僚機構の力を弱めようと脅しをかけてきたことについて心配している官僚もいるが、民主党がプロの官僚のプライドを打ち砕こうとしているなら、それは成功しないだろうと斎木は述べた。
(6者協議)
3. 斎木は北朝鮮問題に関連して、米国政府が日本と協力し、緊密に相談に応じてきたことについて感謝の意を示した。斎木局長は、北朝鮮に対する国連決議に基づく制裁は維持されるべきだと、岡田外相との間で既に確認したと述べた。斎木は、北朝鮮の最近の行動に中国が敏感になっていることに触れ、中国は、隣国である北朝鮮が不安定化したり、崩壊したりすることを避けようとしており、地政学的な緩衝地帯となってきた朝鮮半島が今後も分断されたままでいる方が望ましいと、中国が考えているとも指摘した。
彼はまた、北朝鮮が6者協議に反発を示している(その不満の大きさたるや、「6者協議」という言葉を避け、代わりに「多国間協議」と呼ぶよう要求しているほどだ)ことに触れ、北朝鮮が協議に復帰するかどうかは米朝間の協議次第だと結論づけた。斎木が北朝鮮側に、6者協議の枠組みから1国を除いた方がいいのかと聞いたところ、答えは「ノー」だったという。6者協議に関心を示してきたモンゴルを加えるようなことをして、表面的な部分で変化を加えることも、今の手詰まり状態から抜け出す一つの手段になるかもしれないと斎木は話した。
(拉致問題)
4. 斎木は、北朝鮮が、2002年に日本国民を拉致したことを認めたことを「誤った判断だった」と信じていることを嘆いた。斎木局長は、まだ40代と比較的若く、国民が最も同情を向けている横田めぐみさんの運命が最も大きい問題だと説明した。
斎木は、拉致問題の新たな責任者である中井洽国家公安委員長は強硬派だとの懸念を示した。斎木は、拉致問題をどう進展させるか決めるためにも、北朝鮮側と席について交渉する必要があり、新しい政権も自民党政権と同じ程度には拉致問題に関心を向けるだろうと結論づけた。
(人権問題)
5. ここひと月が収穫期だが、北朝鮮は肥料の問題や食料生産の著しい低下に直面していると斎木は述べた。結果として、闇市場が非常に広がっている。こうした状況や、国連安保理決議1874の制裁の効果が上がっていることもあって、北朝鮮の指導者層は自分たちのことしか考えられなくなっていると、斎木は述べた。
(地域統合の枠組み)
6. 斎木は、ASEANやARFのような取り組みには「大変失望している」と告白した。首脳たちが同じ発言要領に沿って、同じ分野のことしか話していない傾向があるという。経済規模の違う10カ国の間で決めたあらゆる決定について、合意を取り付けなければならないという事情から生まれる不満はあるものの、「我々はこの取り組みを続け」、中国が東南アジアで支配を確立するのを許してはならないと斎木は述べた。同時に、斎木はASEANの国々は自分たちの利益に沿って計算を立て、しばしば日本と中国を対抗させようとするとも話し、日本が最も頼れる国はインドネシアだと述べた。
7. 斎木は10月10日に予定されている日中韓の3国首脳会談については楽観的だった。斎木は、日本は、中国がより責任感を持った、透明性の高い国になることを望んでおり、今度の会談で、中国がその方向に向かうようやんわりと促すと述べた。
8. 日米中の3国間協議については、斎木はなぜ中国が当初の意向を変え、土壇場になって参加を取りやめたのか、いぶかしがった。キャンベルは、中国の参加を確保するよう米国政府は最善の努力をしたものの、中国からは何の反応も返ってきていないと述べた。
(民主党政権下での日米関係)
9. 民主党の指導者たちの「対等な日米関係」を求める動きについて、斎木は「すでに両国関係は対等なのに、何が鳩山由紀夫首相や岡田外相の念頭にあるのか分からない」と告白した。斎木は、民主党はまだ経験のない政権与党であるだけに、自分たちが日本の強力な官僚機構を抑えて、米国に対しても強く挑戦する新しく大胆な対外政策を行う責任があると示すことで、力と確信にあふれた党というイメージを広める必要性を感じているのだと理論づけた。斎木はこうした考えは「愚か」であり、「彼らもそのうち学ぶだろう」と述べた。
(日韓関係)
10. 斎木は、韓国の李明博政権は未来志向で外交を進めようとしているため、日本にとっては良好だと述べた。2010年は、日韓併合から100周年にあたり、両国にとって大変重要な年でもあると指摘した。竹島のような歴史が絡む問題は、高校教科書の指導要領の改訂が予定されていることもあって近い将来、日韓に緊張を引き起こすかもしれないが、米国は関わるべきではないと斎木は勧めた。一方で、李明博は、日米韓の3国首脳会談かその前後に、鳩山がソウルを訪れることを強く望んでおり、日韓関係は強化されるかもしれないとも述べた。斎木は、岡田外相は首相の訪韓を支持しているが、今のところ首相官邸からは返答がないと続けた。
11. 参加者:
(略)
12. この公電は、キャンベル国務次官補が目を通し、問題ないとの確認済み
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