[ニューヨーク 18日 ロイター] 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は18日、米国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。議会が財政赤字削減策で合意にこぎつけない恐れがあることが理由としている。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●本質的な解決策必要、市場は予算問題織り込みへ
<RBCキャピタル・マーケッツの米経済担当エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>
格付け会社が見たいのは、状況改善に向けた本質的な措置だ。
オバマ政権は最近、2012年予算の歳出削減案について公表し、問題解決に向けた大統領の前向きな姿勢を示した。格付け会社はこれをポジティブに受け取るべきだが、一段の措置を求めている。
われわれはインフレと成長(の要因)のみで、10年債利回りが年末までに4%に上昇すると見込んでいる。これはまだ債務問題については織り込んでいない場合での水準だ。
債券市場はおそらく、きょうから予算問題について織り込み始めるだろう。
●財政問題への取り組み強化の必要性鮮明に
<米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のエラリアン最高経営責任者(CEO)>
米国が借り入れコスト上昇を回避し、世界経済の中心で重要な役割を維持する上で、財政問題への取り組みを一段と強化する必要があることを今回のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による新たな警告は浮き彫りにしている。
また今回の見通し引き下げは、先進国のソブリン格付け状況が全般的に悪化していることの裏付けでもある。
●一段のドル圧迫要因
<RBCキャピタル・マーケッツ、シニア為替ストラテジスト、デビッド・ワット氏>
米国の債務不履行リスクを指摘しているのは、もはやガイトナー財務長官だけではなく、格付け会社も米国が債務状況を制御すべきであることを指摘する格好となった。米財政赤字をめぐる問題が焦点であり、長期的な解決策を打ち出す必要があることが示された。
これは、すでに主要通貨に対し過去最安値付近にあるドルにとり、一段の圧迫要因となるだろう。
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