4月18日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の長期格付け「AAA」について、アウトルック(見通し)を格付けが下方に向かう可能性が上方向よりも高いことを示す「ネガティブ」とした。増大する財政赤字および債務への対応をめぐり、指導者らが合意に達しない「重大なリスク」があると説明している。
S&Pは18日のリポートで、「中・長期的な財政への試練にどう対応するかについて、米国の政策当局が2013年までに合意に達しないかもしれないという重大なリスクがあると当社は考えている」と説明。「もしその時までに合意に達せず、有益な措置が開始されない場合は、当社の見方では、米国の財政状況は他の『AAA』格付け国と比較し大きく悪化することになる」と続けた。
S&Pの発表を受け、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では米国債と米銀行債を保証するコストが大幅に上昇。また株式相場は下落した。S&Pは長期格付けについて、今後2年以内に3分の1の確率で格下げの可能性があるとしている。
今回の見通し下方修正は、議員らに対し、財政赤字の縮小や連邦債務の削減で合意に至らなければ「AAA」格付けが脅かされると通告した格好だ。S&Pは、米国の債務が13年までに対国内総生産(GDP)比で84%に増加すると見込んでいる。
CRTキャピタル・グループの米国債戦略責任者、デービッド・エーダー氏は「これはまさにワシントンへの警告メッセージだ。イデオロギーを脇に置いて達成に注力すべき時に、議員らは真剣に取り組まず、党利党略に走っている」と指摘。「債券市場は依然、このアウトルック修正がどういう意味を持つのか見極めようとしている。まだどうしたら良いのか分からない状況だ。米国債を売るのであれば、代わりにどこに投資するのか。誰にも分からない」と続けた。
財務省は、S&Pによる今回の見通し下方修正について、米国の指導力を「過小評価している」とのコメントを発表した。
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