2011年 3月 17日 (木)
WSJ
先週11日の震災後、米国をはじめ各国が日本に専門家チームを派遣しているが、IAEAの天野之弥事務局長をはじめ同機関のチームはまだ現地入りしていない。IAEAの職員は、全力を尽くしているが日本の協力が得られないことに困惑していると述べている。
世界が日本の原発事故の客観的なリスクや先行きの見通しについてIAEAの分析をに期待している。しかし同機関は迅速に専門家を派遣せず、日本政府からの情報にほぼ全面的に依存していた。
IAEA職員は時宜に適した情報なしに、情報を提供しようと奮闘していた。そして14日には、福島の原発で完全なメルトダウンの前段階である燃料溶解の兆しはないと語っていた。日本政府が12日には公にその兆しを認めていたにもかかわらずだ。
こうしたIAEAの実情は、限られた人員と原発の安全性の監視役というイメージの間にギャップがあることを浮き彫りにした。
こうしたIAEAのイメージは同機関内部でも積極的にアピールしようとしたものであり、地震後、同機関の支援体制について天野事務局長が説明するビデオを作りユーチューブで視聴できるようにして宣伝していた。
だが、こうしたイメージは誤解を招くという専門家は言う。IAEAには多くの原子力の安全対策の専門家がいるが、危機管理能力は弱いという。
同機関はイランなどが国際的な核兵器に関する条約を順守しているかなどを監視するなどの役割で知られているが、1957年の設立以来、主な役割は原子力の平和利用を推進することだった。
チェルノブイリ原発事故のときにソビエト連邦の専門家チームのトップだったアンドレーエフ氏は、チェルノブイリの事故直後、ソ連政府はIAEAからの情報提供の求めに対し虚偽の情報を提供していたと明かし、「IAEAには、危機に対応できる専門家はいない」と述べた。
IAEAの事務局長が日本の原子力行政に詳しい元政府高官であるだけに、同機関が日本の情報を十分に把握できていないのは驚きだ。
天野局長は17日、日本に赴く。政府高官との会見を調整しているが、16日時点でハイレベルの会談は決まっていないという。また福島の原発を訪れ、対応に当たっている人々に会い意見交換したい意向を表明した。またIAEAの危機収拾に向けた協力を強化する一方、日本政府からの情報提供を改善するよう求めるという。
IAEAのウェブサイトは日本の事故以降アクセスが集中してつながらなくなった。そのため報道機関に対し電子メールで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、フェイスブック上に設けたページにアクセスするように求めていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿