3月18日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が急落し、対ドルでは約3円、円安が進んだ。前日の円急騰を受け、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議は同日朝の緊急電話会議で、円高阻止に向けた協調介入で合意。東京市場では午前9時に円売り・ドル買い介入が実施された。
円は対ドルで一時1ドル=81円89銭と3営業日ぶりの水準へ大幅下落。東日本大震災や原発事故への懸念を背景に17日には一時、戦後最高値となる76円25銭まで急騰していた。前日のニューヨーク時間終値は78円89銭だった。
外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、G7の協調介入合意により「投機色の強い円高圧力は当面封印される可能性が高くなった」と指摘。「今後はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)注視という形になってくる」とし、円の下落基調が続くかどうかは原発事故の行方と「米国景気の回復感が今後強化されてくるかどうか」次第との見方を示した。
ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対して前日終値から下落。大震災が発生した11日以降、対ドルでは6円以上円高が進んでいた。
G7、協調介入で合意
G7は18日午前に緊急の電話会議を開き、過度な円高に対応するため、円売りの協調介入を実施することで合意した。野田佳彦財務相が会議後に記者団に明らかにした。
同時に発表されたG7声明は「日本当局からの要請に基づき」、米英カナダ、欧州中央銀行は18日に「日本とともに為替市場における協調介入に参加する」と言明。「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与える」と指摘し、「われわれは為替市場をよく注視し、適切に協力する」としている。
三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネージャーは、「為替相場に対してどのようなイメージをもって介入しているかは別として、メッセージは究極の強さだ」と指摘。「これで円高の動きも止められるのではないか。このまま85円をすぐにトライするかは現時点では分からないが、元のレンジに戻るのではないか。今後の当局の動向に注意したい」と語った。
G7による協調介入は、1999年1月のユーロ誕生後のユーロ安を受け、2000年9月にユーロ買い介入を実施して以来となる。
円売り介入、ユーロ対象も
野田佳彦財務相は18日午前の閣議後会見で、G7が合意した協調介入について、場合によってはユーロが対象になる可能性があると述べた。
ユーロ・円相場は1ユーロ=110円台半ばから一時、今月7日以来の水準となる115円27銭までユーロ高・円安が進行。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.4000ドル前後から一時、1.4088ドルと昨年11月5日以来のユーロ高値を付けた。
日本銀行の白川方明総裁は「日銀は為替市場におけるG7各国との協調行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。日銀としては、強力な金融緩和を推進するとともに、金融市場の安定を確保するため、今後とも潤沢な資金供給を行っていく方針である」との声明を公表した。
クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクターの斎藤裕司氏は「容認どころか協調介入なので、海外市場まで介入が入る可能性がある」と指摘。「介入額は過去最高になる可能性もあるだろう」と語った。
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